おっさんって長生きした分無駄に色々背負い込むから高速移動が出来ないみたいだ。
63日目 昼前 ムリムリ城
恐らく時間は1週間より早くなる、王都を抑えられて焦って動き出してるはずだ。
7日間の予定を……4日は無理か? 5日位?、6日だと意味無くない? でもあのトロさで3日は無理そうだ。
王子と第3師団は離れている、貴族達もだ。
数千単位に分かれて分散しながら進んでいる、王子に付いているのは大侯爵家の貴族軍らしい。
王子とは言っても大侯爵家の出の母親と二人で大侯爵家にべったりの馬鹿王子らしい、それだけ癒着すればそりゃあ長子でも王太子には選ばれないよ? まじ馬鹿だ。
その第1王子軍が急いで来てもその位だろう強行軍に切り替えても尾行っ娘一族には強攻偵察用遠隔有線操作ゴーレム君を渡してあるから嫌がらせされる度に足が止まっているだろう、そして強攻偵察させても結局第1王子軍には隠し玉が無さそうだ、少なくとも隠し戦力は出て来なかった。
何考えて攻めて来たんだろう? まあ考えていない、つまり操られている。囮か使い捨ての強攻偵察か、まあ両方なんだろう。
偽迷宮対策は分からないが軍事力だけで来るならば鴨だ、鍋の材料にもならない駄目鴨だ、ネギも鍋も無しで手ぶらで来る上に食べられない駄目鴨なんて用は無いから平らに磨り潰そう。
俺が王都まで移動を1日で済ませても正味5日で王都の第2王子軍を崩さなければならないだろう、しかし「ひきこもり」持ちを前に王都に引き籠るとか「ひきこもり」さん舐めてんのだろうか? 時間がオシオシでマキマキなのにおっさんたちがまた会議しているんだよ? 俺達なら1日かからない、委員長達も2日有れば余裕で着くだろう。だが軍は遅い、精鋭だけの強行軍でギリギリ2日と言った所だろう。
行きは良いが戻りは間に合わないだろう。
尾行っ娘一族の情報で偽迷宮で追い払われた王女っ娘直下の近衛師団が途中の街で再編成中らしい、合流し再装備も考えれば2日でもキツイだろう。時間が無いからさっさと動いて欲しいんだけれど。
こうなったら王弟案の第1に送って貰う案を取り入れて第1を軽く叩いて一気に王都に行けば2日で集合できる、で軽く叩かれて足が遅くなった第1が辺境に辿り着くまでなら1週間以上かかる可能性も出て来る、余り遅くなると隠れている本命さん達が動き出してしまうだろう。これが最速か?
面倒でややこしくなって計算が狂うが足止めされるくらいなら速い方が良い、さっさと計画書を書き上げてE+B+A案として側近の人に渡して置いた。あとは返事待ちだ、おっさんたちの案は両方含んでいる形にして見せて有るから落し所はこれだろう。
尾行っ娘一族からの情報でもどうも王子自体が碌でも無い様だ、出向いた方が良いかも知れなかったからちょうど良いんだろう。
あっちも未だ出て来ないならこっちじゃない可能性がある、オタ達だけでもと先に行かせたが順序が狂うと困るんだけど……まあ、あいつらに指示出すってどうせ無駄だしスライムさんに言い含めてあるからほっとこう。
後は奥の手迄に戦力を再集中できるかどうかの勝負だ、7日間で終わらなければ拙くなる、10日以上過ぎると恐らく間に合わなくなるんだろう。それまでにはこっちも出て来るんだろう、それこそがお持て成しの本番だ、あっちもこっちも好き勝手にやっちゃうんだからこっちが好き勝手に好き放題したってきっと文句は無いだろう?
「あ~奥の手と取って置きが気になる、大した事が無いんならゆっくりでも良いんだけど舐めて滅びるとか愚者過ぎるんだよ。準備はしてあるけど準備何てどれだけしても完全には程遠いし結局完全何て出来はしないよ、なら手前で終わらせなければ負けと同じなんだよ~。だって俺だったらやる、ならやられた時の対策とやらせてやらない為の策は必要だよね~。」
(ウンウン。)
図書委員だけは戦争を読んで織り込んでいたのに俺が出遅れるとか完全な失態だ、好感度さんも失踪しているのに失態まで犯し失策で失敗までするときっと俺の好感度さんは失念されてしまうだろう! 筍に全てをかけるしか無い様だ、やっと茸の森から出て来たらまさか我が手で筍の里を生み出さねばならないとは……世の中も分からなかったが異世界も分からないものだ。
「て言う訳で筍って来るからお返事来たら「すぐ出る準備してね」って伝えといてね? じゃあ行ってくるよ、2時間も掛からないと思うけど後よろしくね?」
(ウンウン。)
城の周りだから護衛も要らないし仕掛けは簡単後は御覧じろなんだからサクサク済ませよう、委員長達は王女っ娘とメリメリさんまで誘ってダンジョン踏破に行ったから後で隠し部屋探しも行かないといけないしやって置く事は多い。なのにおっさん待ちって言うのがなんかムカつく。
「まさかの異世界農業生活? でも収穫じゃ無くて放穫、田植えじゃ無くて筍植えってある意味食べ物の無駄遣いと言うか省エネ省コスト兵器と言うか?」
第1王子軍の主力は王国第3師団と貴族軍、重装のスキル付き甲冑を纏い大盾と3メートル以上の長槍の重装歩兵と魔術師部隊を中心とした軍だ、だから遅い、マジ遅い、亀さんだってぶっちぎってドリフトかまして追い抜いて行く位遅い、兎さんなんて待っている間が永過ぎて寝すぎてそのまま永眠してしまう位の遅さと言っても良いだろう。無視した方が早いが王弟が未だ交渉に拘っている、メリお父ーさんも素通りさせることに不安を抱いている、だからおちょくるだけでも意味は有る。それに……
まったくおっさんって言うものは長生きした分無駄に色々背負い込むから高速移動が出来なくなっちゃうんだよ、どんなに背負い込んで重くなっても動きがその分遅ければ結局軽くて速いのと破壊力は変わらない。そして速さは力だ、だって先に殺せば勝ちだ、そして速ければ次々に殺せる、戦争は重く守るより速く殺す方が強い。
出来る事しか出来ない。だから守れないから殺して回る、そして悪さしない様に最悪で脅す、ゲリラ役こそが最強戦力だ。固まってまっすぐに辺境に来るしかない、御持て成しの準備も大変なんだよ? 筍植えとか? 筍ご飯にしようと思っていたのにまさかの栽培育成計画だ、美味しそうなのに。
「遥様、オムイ様がお話を聞かせて欲しいとの事ですがお時間は宜しいでしょうか? 何なら連れて来るか、どっかで待たせて置きますが?」
側近さんだ、なんだか会う度にメリお父ーさんの扱いが悪くなっている様な気がするのは気のせいだろうか? まあ無駄な会議してるだけなんだから暇なんだろう、こっちは一生懸命に汗水たらして筍植えに勤しんでいると言うのに、「魔手」さん達が。
「もう終わりだから良いよ、決まったの? おっさんとおっさんの無駄会議?」
「決定したようです。本当に良いのですか? 王弟閣下は…………」
「別に向こうがしたい事とこっちがしたい事が一緒なんだから良いんじゃない? って言うかアレで必死で懸命で全力の最良の心算なんだよ、アレしか残らなかったんだよ。きっと」
「メロトーサム様は王国もご友人である王もその弟君である王弟様も見捨てられないでしょう、ですが遥様は? 遥様が救う理由がお在りになるのですか、あのような無意味な行いに……いっそ……」
なる程、メリお父ーさんにではなく王弟のおっさんに不満が有り、その王弟のおっさんを庇うメリお父ーさんに対して不機嫌なのだろう、あとメリお父ーさんが働かないのも不満なんだろう、だっていつ領館に行ってもずっとマッサージチェアに座ってるんだよ?
まあ誰に聞いたってあの王弟のおっさんは不人気でみんな不満で不快みたいだ。だけどあれは王国を救う事に必死な真面目で無能で無力な何も出来ない哀れな英雄さんだ、英雄になる力も能力も才能も無い駄目駄目な志だけの英雄さんだ、ただひたすら「何とかしよう」って「何とかしなければ」って足掻いても何も出来ない自分にその力も能力も無いと知っていて差し出せる唯一の物である無価値な自分の首を持ってウロウロと手探りで彷徨い迷う愚かな英雄さんだ。
「意味は無いけど意義はあったみたいだよ?」
誰からも当てにされず誰からも見捨てられ誰もが見放し誰も味方がいないのにそれでも王国の為にと無駄に悩み無意味に苦しみ無能に足掻き続け無力に打ちのめされても諦めない、きっと何一つ出来ないし報われないのに莫迦みたいに独りで戦いにも為らない戦いを無意味に続ける無能な英雄さんだ。
「無意味で無駄でも無力で無能でも誇りだけは有った? みたいな?」
動けば動く程に事態を悪化させて自らの首が締まって行く無能な足掻き、それでも首を捨ててでも諦めきれないのだろう、それでも代理の代役の役立たずでやればやる程泥沼でも王で在ろうとしている。もう首など捨てて這いずって為せる訳も無いのに成し遂げようとして這いずっている。
脳無しの上に首なしの無能な王だ、無駄で無意味で無価値で無力だがそれでもあの哀れなあれこそが王なんだろう。
だから誰からも認められず馬鹿にされ蔑まれて見捨てられて嘲笑われて無視されて罵られて忘れられてきっと無意味な英雄さんなんだ。
何も出来なくても寧ろ邪魔でも厄介者でもやらない方がましなのに戦っている、何ひとつ持たずに、誰にも認められずに無駄に無意味に未だ戦っている。
「無力で無能で無駄どころか災いみたいな無意味な無謀さだけど、誰も知らなくて何の意味も無くてもあれが英雄なんだよ、きっとああいうのが英雄なんだよ?」
だから王国は救われるんだろう、正直どうでも良いし潰した方が早い、王女っ娘も王位には興味が無さそうだし残す価値が欠片も無い終わった王国なんだから終わらせた方が早くて簡単ですっきりだろう。
だけど何も持たなくても何かが在ったみたいだ、王女っ娘も言っていたし無駄な英雄さんも言い切った「民の為に騒乱は起こさせない」と、手遅れ処かもう武器を持った軍が迫っているのに飛び込み止めようとして見せた。吃驚仰天の無能無意味の無駄無策な無力に無知蒙昧な王族さん達だ。
だから最もその無能さに苦しめられ無力さのせいで滅びかけた辺境の領主メリお父ーさんまでが王家の為に戦おうとしているのだ、素敵な迄に無限に無謀な王族さん達だ。
「無能過ぎて外国の圧力に負け貴族に裏切られて国の予算も牛耳られて、それでも王家の伝統の私財を売り払いながら援助し続けたんだって? だったらしょうがないんだよ、投資を受けたら配当が有るのがお約束? 的な?」
だから王国は救われるみたいだ、無能無意味無駄無策無力無知蒙昧にも無謀に無力な身で内戦を無くそうとしたのだから無理なんて返事は無い。だから王国は救われる、無駄で無意味な厄介者のきっと後世にも無能で無力と罵られる愚王な代王が誰にも知られずに自らも知らずに名も無い英雄として王国を救う。
だってもうそれってどうしようもなくメリお父ーさんと同レベルだ、だったらどっちでも変わらないなら王家だって良い。能力も才能も引き継がれなくてもその志が引き継がれているならば無力で無能で無駄な王家でも無意味の中に意義だけは見せた、無価値の中に無駄な価値を見せたんだから。
だから内戦なんて無い、だって戦ってなんかやらないよ? こんな哀れな何の力も無い無能で無知蒙昧に戦う莫迦な英雄が無意味に這いずっているんなら、そこを通りすがりの殺す事しか出来ない脇役が通っても良いだろう。
通り掛けの行きがけの駄賃は殲滅で決定だ。
いつもお読み頂きありがとうございます。
750人以上の方から評価を頂いておりました、本当に分不相応な評価を頂き本当にありがとうございます。励みにさせて頂きます。
お礼投稿と言いうのも烏滸がましいですが、もし万が一何かの間違いで御気に入って頂けてお付き合い頂ければ本当に幸いです。




