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定められた運命の理で分かり易く言うとお金が無いから寄こせ。


56日目 朝 宿屋 白い変人



 「おかえり~。寝てないんでしょ?今日はお休みしなさいって委員長が言ってたよ。」


 「今日は中層までをユニオンで回るから大丈夫だからね、稼いでくるよ~、お弁当も買っちゃうよ~。」


 「「「おかえりなさーい。」」」


 そう言えばお弁当販売もあったんだったよ、まあ仕込みは済んでるし炒めて焼くだけだ。脂っこいけどダンジョン巡りするならカロリーだってたっぷりととっても問題ないだろう、きっと無いんだよ。たっぷりと脂がのっても俺のせいじゃないんだよ?そもそも今日のお弁当は「餃子炒飯弁当」だと告知されているのだ、注文する時点で覚悟は出来ているのだろう、勇気ある挑戦者チャレンジャーたちだ。多分負けるだろう、せめて3個までにしとこうよ?

 

 「朝ごはんも仕込んであるよー、焼き魚と茸炊き込みに卵焼きの定食だよー?安いよ安いよー?本当は結構いいお値段だけど安いと信じればきっと安いんだよー?」


 「「「食べる!」」」


 朝から小金持ちさんだ、雑貨屋のお姉さんは当分帰って来ないだろうし武器屋のおっちゃんの所にでも行こうか?お金も巻き上げたいが武器と装備の量産も始めたい、戦争だか何だか知らないんだけど兵隊のおっさんたちは俺がマッサージチェアーで巻き上げるんだから死なせてやらないよ?どうせ高級装備で勝つ気なのだろう、毒や状態異常狙い以外に勝機があるとは思えない。ならば高級装備が壊されて毒も状態異常も効かなければどうする気なんだろう?それに一体どうやって軍隊で偽迷宮を突破する気なのか?まあ突破させる気も無いし戦争してやる謂れも無い。問題は王女っ娘かな?あれは強いしそれ以上に指揮能力が脅威ではある、戦わせると厄介だが戦闘以外が脆い。既に色々壊れてるから問題ないだろう、全軍で「ふぃーぶぁーっ!」って叫んだら一発だろう。


 紡績機織り工房を覗き、稼働状態を確認して一寸改良してから武器屋へ向かう。


 「おっちゃ~ん、金を出せ?って言うか有り金をよこせ?ぶっちゃけると出さなくても奪い取る、それは定められた運命の理で分かり易く言うとお金が無いから寄こせ?みたいな?みたくなくても取るんだよ?運命的に?」


 「なんかもう台詞が強盗よりも悪質になってるぞ?取り敢えず支払い分は用意してあるし分割でも建物の建設費だって払わなきゃいかんだろう?普通に持って行け、奪い取るな。後この間の弓も買い取るぞ?効果付きのアクセサリーだって完売間近だしなー。」


 相変わらずにおっさんだし禿で髭だがちゃんと鍛冶をしている!まあ鍛冶師が棍棒磨いてたのが元々おかしかったのだが珍しい光景だ。


 「ちょっと待ってくれ。やっと真面な鉄が手に入る様になったんで注文が多くて天手古舞なんだ、まあこれでやっと鍛冶師って名乗れるな。」


 燻っていた。鉄の無い辺境でする事も無く売る武器すら無い、だからせめて手に入る棍棒を冒険者たちの為に掻き集めていた。そんな鍛冶師の下に鉄が届いたのだ。燻っていたから燃えちゃたのだろう、禿のおっさんだから萌えないだろう、って言うかおっさっが萌えてたら燃やすよ?ちょうど火炉も有るし。


 いつもの不機嫌そうな仏頂面のおっさん顔だが目が違うし口の端から笑みが零れている、だってやっと自分で鍛冶師って名乗ったよ。鉄が無いから手に入る僅かな木材や屑鉄で何とか戦える武器を作っていた、口惜しかっただろう、そんな武器しか用意できなくて、それで冒険者や兵隊たちが死んでいくのだから。だからこれで武器が造れる、本物の武器だ。やっと解放されたんだろう、何も出来ない無力さから。


 それでもちゃんと燻っていた、剣すら打てなくても燻り続けた。なら一度だって火を消さなかった、鉄が無くても諦めなかった。それがようやく解放されたのだから鬼気迫る笑顔も当然だ、だってこれほどの腕を一度だって火を消さないままに燻らせ続けていたのだ。本懐なんだよ。


 「じゃあ武器も有るけどこっちが良いよね?山ほどあるし取り放題だし?あと欲しいものあったら探しとくから書き出しといてね。」


 あれだけ渡していた鉄が殆ど残っていない、一体いつから打ち続けてるんだろう?だから山の様な鉄と銀に銅に炭。あとお昼ごはんに「餃子炒飯弁当」だ、弟子のおっさんたちもいるから40個も有れば3個は食べるだろうが足りるだろう。そして付与済みの魔石と魔石粉だ、使えるんだと思うんだよ?このおっさん錬金持ってるし鍛冶もLvがMAXだから。随分な持ち腐れだったから存分に使いたくてしょうがないのだろう、何と言っても俺の内職が一つ減って助かるんだし良い事だ。


 さて、いざお休みだとする事が無い。


 したい事は山ほど有るが、甲冑委員長さんはお目付けに行って貰った。つまりする事が無い!


 スライムさんも今日は教官さんだ、2ユニオンに分かれたから二人に行って貰った。ダンジョンで何か起こる事は無いだろう、既に中層なら危なげが無い。そして集まる程に強くなる、ユニオンなら万が一も無いだろう。だが戦争前だ、尾行っ娘一族が情報を持ち帰れたのならば向こうからだって送り込む時間は有ったと言う事だ。ついに美人女暗殺者さんなのだろうか?胸熱だ!いやいや美人女工作員さんかもしれない?御持て成しだ!もしかすると美人女情報員さんかも?夢が膨らむよ!まあ「美人女」なら何でも良いんだよ?美人女説教師以外なら大丈夫だ、美人女説教師なら充分に足りている、美人女ジト目師だったら何人乗っても大丈夫!乗っちゃうんだよ!100人も来てくれるだろうか?


 独りで遠くに行かない事と約束させられたから偽迷宮は行くと拙いし一人で洞窟に帰っても楽しくない、どうして迷子の迷子の迷子ちゃんみたいな扱いなのだろう?ひきこもりとにーとの帰巣本能を甘く見ているのだろうか?スキル「地図マップ」持ちさんなんだよ?


 宿で一人で寝るのも寂しい物が有るし睡眠前の運動なしだと寝つきが悪そうだ。まあ運動するから寝る間が無いと言う話も有るが規則正しい生活と充分な運動はきっと大切だ!だから規則正しく毎晩運動を頑張るんだ!だって男子高校生なんだ!


 う~ん。やはり美人女情報員さんが捕まえられると一番美味しい、情報が足りないのは不利どころか致命傷にもなりかねない。そして美人女情報員さんなのだ!美人の女スパイさんだ!きっと全国の男子高校生に捕まえたいものランキングを作らせれば間違いなく上位だろう、だって他は捕まえるとお巡りさんに捕まるのだから。恐らく美人女怪盗さんと接戦だろうが優勝も充分に有り得るだろう。来ないかな?


 「って言う訳で美人女情報員さんとか来てないかなー?100人までなら乗っちゃても大丈夫らしいんだよ?寧ろ乗りたいんだよ?このビッグウェイブに?みたいな?」


 「あのですね?「来てないかな~」って来れないから軍が冒険者を雇用して来たのですよ?どうやったらあの迷宮を美人女情報員が無事に通り抜けられるんですか?あそこに入るなんて命令聞いただけで女情報員が逃げ出しますよ?大体来たのが分かってたらオムイ様が捕まえています。あの迷宮がある限り女性は来ません、絶対来ません!」


 王女っ娘に駄目出しされた。これはドレスとか宝石入りの宝箱を設置してアピらないと女性客は見込めなくなりそうだ、いや逆転の発想で溶かされる度に新しいお洋服が出て来るんなら人気スポットになるのだろうか?でもきっと脱出するころには全身網タイツになりそうだ、あれは良い物だ。


 「あ~、そうだ忘れる所だったよ。これ壊した装備の代わりと、溶かした服のお詫び?と言うか補填的な洋服なドレスって言うか?戦闘にも耐えられるから戦闘服なの?戦闘用ドレスって言うか……エロドレス?みたいな?」


 「そんな豪華な装備を頂いて宜しいのですか!これは……王国の国宝級装備ですよ?将軍であっても身に付けられない国王専用の装備に値します、こんなすごい物を頂いて宜しいのでしょうか?それに素敵なお洋服……迄…エロ?あれ?何のためにこんなに透け透けで空き空きなのでしょうか?これで戦闘って…+DEFに全耐性!しかもPow、SpE、ViTにMiNまで20%もの補正が!これは国宝級以上?でも着るの?あちこち透け透けですよ?色々と空き空きですよ?隠す気は有るんだけれど隠し通す気が無さそうですよ?こんなエロドレス来て戦ったら視えちゃいますよ?いろんな所が透けたり空いたりしていて危ないんですよ?これ着ちゃうの?やっぱりエロいドレスで一晩中ふぃーぶぁーっってされちゃうんですね!この穴から私今晩ふぃーぶぁーっ!なの?透け透けで破廉恥で露出の高いのに空き空きでもう隠す気無さそうなえっちなドレスでふぃーぶぁーっ!な夜がれぇっつだぁんすぅ!がおーるないと?献上品なのにエロドレスって目的はやはり私のふぃーぶぁーっ!だったのですね!もうふぃーぶぁーっ!な夜が一晩中れぇっつだぁんすぅ!でおーるないとな破廉恥な透けてるあんな所や空いているこんな所がああぁんびりーばぁぼぉーっ!ってされてしまうんですね!…(爆走中)」


 情報収集は無理そうだ、この王女っ娘は王国の命令に逆らえなくても辺境を守ろうとしていた、そして王国さえも守ろうとしている。危険だろう、余りにも敵が多すぎる。全方位を敵に回しかねないのに味方がいない可能性すらある、装備にアクセサリーも付けておこう。武器さえあれば充分に強い、ドレスやアクセサリーにも付与が付けて有るから普段着でも戦闘可能だ。サイズぴったしに作ったから他人には使えない、そしてこのデザインなら「ふぃーぶぁーっ!」の一声で壊れるから敵に回っても問題ない、寧ろ味方だったら心配だよ?まじで。


 兵隊さん達の装備は鍛冶師のおっちゃんに任せてればいいだろう、過剰なほどの腕前だよ。何で鉄すら無い辺境にあんな腕のいい鍛冶師がいるんだろう?メリお父ーさんとメリメリさんにも武器と装備を作って来たから預けておこう、視察に出てるらしいんだけど俺は外出禁止だし別に説明とかいらないだろう。


 これで安全確保まで出来たとは思わないが、最低条件は満たしただろうか?後は同級生たちと俺なんだが……やはり迷宮の装備品が欲しい、現状ミスリル化した迷宮の装備品が最も性能が良いし特殊効果も多い、そして使える物が多い。奥の手と迄は言わないが搦め手か千日手が欲しい、触手は足りてるんだけどおっさんには使えない!絶対に嫌だ!だって楽しくないうえに感触がフィードバックして来るのだ。お断りだ。


 情報が欲しい、どんな手を思い付いたのだろう?どう考えても詰んでるのに攻めて来るんだよ?本当に愚かなのか、何か手が在るのか。偽迷宮を通らないで来る気なのかそれとも偽迷宮を通れる手立てが在るのか、奥の手が無いなら搦め手なのか?向こうは千日手なんて使う余裕はないのだから。


 「早ければ2週間だけど遅ければどの位なんだろうね~?まあ辿り着ければの話なんだけどね、だって邪魔するに決まってるんだよ、お招きしてないお客さんを御持て成しなんかしないんだよ。歓迎はしてあげるんだけどね、歓んでお迎えしてあげるよ。だって殺しに来るんだから歓迎されたって文句なんか言わないんだよね?当然だけど。」


 そう。殺しに来るんだよ?だから熱烈歓迎が必要なんだ、熱火と烈火が歓喜の迎撃してあげるよ。誰かを殺しに来るってそういう事なんだよ。



沢山のご感想を頂きありがとうございます。前話の「滅びた村」は人によっては凄く嫌いなお話になるんじゃないかと不安は有りましたが、遥君を書く以上は絶対に外したくないお話でした。

もし御気に入って貰えたら本当に嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 滅びの村の話は1番と言っていいくらい好きな話です。悲しい話だけど優しさで溢れてて泣きたくなります。でも大好きです。
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