振動魔法で波紋の力だーとか叫びながらオーバードライブして遊んでみても使えないんだよ?
51日目 昼過ぎ ダンジョン
そうして地下第60階層が終点みたいだ。だが今迄で大迷宮に次ぐ深さだ、最低でもLv60の迷宮王。
浅いダンジョンは氾濫の危険性が少ないと後回しにしているから深いダンジョンが多いのだろうが50階層越えが思っていたよりもある。
最初は村に近過ぎて危ないという浅い迷宮に行かされたが、水没して終わりだった。
それからは中層迄ある迷宮ばかりだ、そして徐々に進めなくなっている。
結局中層から下は正攻法ではまだ無理なのだ、だから50階層からは女子達には危ない。男子は危険を冒さない、あいつらヤバそうだとすぐ帰って来るんだよ?まあ、正しいんだけど。あの危険に対する臆病さや野性的勘が女子達にも必要なのだろう、でもオタとか莫迦とかになられても困る。マジ嫌だ。
そして地下60階層、そして最下層の迷宮王「サンド・ジャイアント Lv60」ただの砂の巨人だ。巨大な体で暴れ回るだけの巨人さんだ、これなら委員長達連れて来ても良かったんじゃないかとか思ったりもしたんだけどさー?いやー、死人が確実に出てたよ?冗談じゃ無く。
薄鈍な砂巨人を次元斬で斬り飛ばし、魔法で燃やし、凍らせ、濡らし、感電させ、掌握して圧力をかけ、重力で潰し、虚実で吹き飛ばす。うん、ずっとやってるんだよ? 甲冑委員長さんの斬撃の嵐でもスライムさんの殴打の嵐でも吹き飛び砂嵐になってまた戻る。スライムさんの捕食でも食べきれないだろう、美味しくなさそうだし。死なないが「不死身」は持っていない、殺せていないのだ。
いくら羅神眼で探しても核が無い、階層中を見回しても隠し部屋も怪しい物も無い。砂の塊だ、魔力の流れも無い。だから殺す方法が無い。
それだけだったら逃げても良いのだが砂の兵士が次々に生まれている、斬っても崩しても燃やしても何をしても次々に生まれて来る。まあ、こいつ等も鈍いし弱い。有象無象の死なないだけの人形だ。でも死なないのだ。
殺し方が分からず、倒し方も分からず、無限に増え続ける砂の軍隊とそれを操る砂の巨人。
そして、逃げたとしても付いてきたらどうするの?これが外に出れば辺境壊滅だよ?殺せない魔物に襲われるんだから?無限に増え続ける敵なんて外には出せない、そして逃げ道も無い、砂の壁で覆われている。
無理矢理に特攻で砂の壁を突破して逃げても付いて来られれば最悪の事態だ、甲冑委員長さんとスライムさんが斬撃を撒き散らして辺り一面を砂に返して回っているがまた復活する砂の魔物の群れ。核も何も無いただの砂なのに?何かに操られている気配もない?仕組みが分からないから決め手が無い、だからずーっと殺している。
水魔法で流しても意味はなかったし、燃やしても燃え尽きない?次元ごと斬って切り刻んでもも元に戻るんだよ?振動させても崩れるだけだし?ステータスを見ながら思いつく手を片っ端から打ってるのに未だに弱点が分からない、どんな仕組みかすら分からない。かなり拙いんだろう?打つ手が無いんだよ?あれ?詰んじゃってる?これって無理じゃない?いやマジで!手が無いから賭けるしかない。
「ちょっと試してみたい事が有るんだけど?ただ動けなくなっちゃいそうな気がするんだよ、多分?でも任せても良い?みたいな?」
出来るかどうか何て分からないんだけど、でも50階層まで育った迷宮はいつ氾濫するか分からないらしいんだよ?何よりこいつだけは絶対に外に出せない、出てしまえばどうやっても止められないのだから。
(プルプル!)(ウンウン!)
いや、甲冑委員長さんはちゃんと喋ろうよ?まあ確かに兜で喋りにくいのかも知れないんだけど?
まあそれでも了解が取れたんだから大丈夫だ。何故なら元とは言え迷宮皇と迷宮王のお墨付きだよ、こんな死なないだけの砂遊び何てほっといて良いんだよ?無限の数が無限に湧こうと戦力不足なんだから、だって異世界で最大の過剰戦力さん達がプルプル!ウンウン!言っているのだから。
無尽蔵に蠢く砂人形たちの群れの中に座り込み集中する、没頭する。「無心」で「至考」する。
もう考えられるのは2つだけなんだよ?1つは磁力、魔力の流れが無いなら磁力生命体の魔物なのでは無いか?だが、雷魔法に何の反応も無い?電磁力に無関係な何かだ。
だとすれば残る1つは最悪の予想だ、この階層に敷き詰められている砂が核の欠片、集まると1つの核になる。つまり砂の1粒1粒が破壊されないと死なない、殺せない。でもそれしか考えられない。
ならば試すも何も殺す方法など無いだろう、砂粒を斬って廻っても集まって核になるだけだし、砂粒を破壊し尽くす方法なんて無い。実際に燃やし尽くしても溶けもしないよ。だから方法など無い。無いのだからしょうがない、造ろう。
僅かな心当たりと、微かな可能性と、莫大な疑惑が有る。
ずっと以前から疑っていた、そしてやっと手に入った異世界の攻略本の一冊「魔法考察」を読んで疑惑を確信した。この世界に振動魔法なんて無かったんだから。
なのに同級生たちは振動魔法を覚える事が出来た、この世界に存在しない振動魔法を。そして恐るべき事に莫迦達でも覚えられたのだ!莫迦なのに!莫迦に出来るなら異世界人だってゴブだってお魚さんだって覚えられるはずなのに、この世界に振動魔法なんて無いのに覚えた。
この世界に無くて、それでいて莫迦達でも有るもの。そう驚愕の事実だったが莫迦達にも現代知識がちょびっと有ったんだよ!それが一番吃驚だったよ!
だから使えた。振動を、振動現象を知っていたから、物理振動、振動波が理解できていたから。だって莫迦もオタもみんな振動魔法で波紋の力だーとか叫びながらオーバードライブして遊んでたんだよ?俺のお説教中に?俺もやりたかったのに?仲間外れだったんだよ。
まあでも、波紋なんて使えないし、振動なんて効かない。でも理解できた。
火魔法も有って、氷魔法も有って、火炎や氷結なんて有るのに「温度」なんて魔法は無かった。ならばそれは熱魔法では無い魔法だ、熱運動の振動の原理の知識があったから「振動魔法」が簡単に取れたんだ。
だとすれば温度魔法は振動系ではあるが過熱では無い、だって冷やせてるし?きっと雷魔法が有って電磁波の効果で過熱が出来ても温度魔法は取れないのだろう。
だって梱包魔法は掌握魔法になった、魔力操作の特殊系だった、だから魔力操作や魔力纏が簡単に覚えられて魔力纏なんて技が出来たのだ。
だって斤量魔法は重力魔法になった、重力操作の特殊系だった、だから空歩や疾駆なんて技が出来たのだ。
だって移動魔法は転移魔法になった、空間操作の特殊系だった、だから瞬身や瞬速なんて技が出来たのだ。
だとすれば温度魔法は何なのだ?何になるのだ?何の操作の特殊系なのか?振動魔法が出来たのならば原子分子振動では無いのか?
重力や空間の知識があったからこの世界には無い重力魔法や転移魔法になったのなら振動の知識があるから温度魔法なんだよ。
ならば温度魔法は振動操作系の魔法になる、ならば原子分子操作の特殊系の筈だ、原子分子振動の増減が出来る筈だ。分子の原子核の運動の自由度、振動運動の自由度が操作できるなら最終的には原子崩壊させられる、無敵だ。ただし崩壊する時に放射線を放出する、放射性崩壊、放射性壊変、あるいは放射壊変どのみち核攻撃になってしまう。そんなもの怖くて使わないよ!
だが使わないのは良いが、使えないのは最悪だ。敵が使うかもしれないのに使えないなんて狂気の沙汰だ。使わせないために使えなければならない、そしてサンド・ジャイアントが外に出れば辺境は死ぬ。辺境を封鎖して閉じ込める以外に手が無い、それくらいならこの地下で核攻撃した方がましだ。辺境の土地の多くが死ぬだろうが全滅は免れる、少なくとも辺境の人達を逃がす事だけは出来るだろう。
だがそれは最後の手段だ、最悪の結果だ。だってそこまで切羽詰まって無いのだからのんびりと落ち着いてて良いんだよ?
あの二人が任せて良いって言ったなら何も起こらない、何も起こさせない、何も起きっこないんだよ?だからまだ焦る時間じゃ無いんだよ?だってあの二人なら試合終了のホイッスルまで破壊し尽くすから。任された以上俺が諦めるまで永遠に試合が続行されちゃうんだよ?マジなんだよ。
欠片でも核の一部なら壊れるはずだ、壊せるはずだ、崩壊するはずなのだ。
だから砂の巨人を、砂という砂を掌握して温度を上げる、原子を振動させる、熱崩壊とかしてくれれば良いんだが最悪は原子崩壊だ。
「無心」で「至考」する。「魔力制御」と「振動魔法」で「温度魔法」を制御しきる、完全な集中状態で。だって指一本動かせない状態で座り込んでても安全だから?魔物の大群衆なんてここまで来れないよ?だって斬線しか無いんだから。
そう、見回す限り辺り一面の斬線に継ぐ斬線、階層中の空間を満たす無限大数の斬線。敵なんていないんだよ?ただ死なないだけだ、只々殺せないだけなんだよ、永遠に死なないだけだ。だから永遠に吹き散らされ、永劫に吹き飛ばされる、永久保証の安全地帯だ。
だから焦らずにゆっくりとゆっくりと揺らす、じっくりとじっくりと震わす、そしてのんびりと結果を待つだけだ。死なないなら崩壊するまで。
集中し過ぎて時間の感覚が無くなっている、無心の副作用なのだろうか?時間の流れが理解できなくなる、思考速度と時間の流れが噛み合わなくなるんだよ?周りは相変わらずの砂嵐、形作る前に切り刻まれ吹き散らされる砂の嵐、斬撃の嵐の中で吹き散らされるだけの砂の吹き飛ぶ暴風だ。
無限の命の無限の砂の兵隊達が無限に湧いて無限に斬られ無限に崩れ無限に散っている。無限の命や無限の数なんて意味無いんだよ?無限に殺され続けるだけなんだから?相手が悪すぎたんだよ?その二人は永遠に殺し尽くせるんだよ、絶対的攻撃力で究極的な防衛線を引けちゃうんだよ、ここは絶対領域なんだよ。あっ、帰ったらニーソを作ろう、作って履かせよう、履かして頑張ろう。もう終わりみたいだし?崩れ始めている、だから制御する、ゆっくりとじっくりと魔力を制しスキルを御する。
只の砂漠になるまで。
「うん、迷宮が死んだみたいだから大丈夫かな?一応全部崩壊させたと思うし?動く気配もないし?って言うかお腹空いたし帰ろうか?今何時位なんだろう?みたいな?」
お腹空いたよ。晩御飯の時間を大幅に過ぎているのか?魔力の使い過ぎなのか?お腹が空いたんだよ、でもハンバーグを作らないといけないんだよ。何故残業する条件がハンバーグ作り?労働の対価が労働みたいな?労働の報酬も労働的な?永久労働機関なのだろうか、それ以前に先に帰った人たちが宿でお腹を空かせて待ってるっておかしくない?いや、作るんだけどさー?
お読み頂きありがとうございます、なんだか管理ページを見る度に凄まじく総合評価が上がって行くので動揺中です、殴り書きのまま誤字脱字を量産するお話にお付き合いいただけて感謝と感激と動揺でいっぱいです。
もともと誰も読みはしないだろうって適当に書いてたんで今朝からずっと全部消して書き直したい衝動に駆られ中です。生まれて初めて胃が痛いです。
何かブックマークも700件まで本当に行きました、日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングで10位らしい?です、怖くて見てないんですが本当にありがとうございました。
と言う訳で調子に乗っていたら動揺しながら投稿させていただきます、重ね重ねありがとうございます。




