表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/321

トラウマの原因は寝不足の原因さんで乙女の危機らしい。


51日目 朝 ダンジョン



 女子達が脅えている。恐怖に目を見開きこっち見てるよ!何で魔物と戦って俺が恐怖の目で見られちゃってるの!


 「「「触手怖いよー!串刺し公爵だったよー!別の意味でも怖いんだよー!にょろにょろさんなんだよー!」」」


 触手さんが不人気だよ?いや、魔手さんに昇進してるんだよ?昨晩のトラウマなのだろうか?甲冑委員長さんはまじトラウマみたいだよ?女子達の後ろに隠れて震えてるし?


 地下18階層で「グラウンド・ハンガー Lv18」の奇襲を受けたんだけど触手さんの戦闘が不評なんだよ?だって地面からいきなり現れた6本腕のゴリラみたいなのが抱き着いて来るんだよ?嫌だよ?可愛くないし?


 実際の所、俺も甲冑委員長さんもスライムさんも気づいていたんだけど女子達の訓練だからって無視してあげてたのに選りに選って俺に抱き着いて来たんだよ?岩みたいなゴリラもどきが?ちょうど少し前の階層で針鼠さんを見てたから「魔手」の武器化で針鼠みたいになってみたら抱き着いて来たグラウンド・ハンガーは滅多刺しで即死した。痛そうだった。


 そして触手さんが苛められているんだよ?可哀想だよ。


 「怖いよーってこの触手さんは働き者の良い触手さんなんだよ?昨日の服だって触手さんメイドのフルオーダーだったんだよ?触手さんに採寸だってして貰ってたじゃん?全身くまなく?何処どこ彼処かしこも?みたいな?」


 「「「それがトラウマの原因なんだよっ!寝不足の原因さんなんだよっ!乙女の危機なんだよっ!」」」


 文句を言う割には朝からファッションショーの様に色とりどりにマルチカラーを変化させては見せびらかしてたよねー?それ触手さんが縫ってくれたんだからね?苛めたら駄目なんだよ?俺も苛めたら駄目だと思うよ?俺も縫ってたんだよ?苛めると可哀想なんだよ?泣きそうなくらいマジだよ?


 気配探知が出来る様になった女子達は的確に魔物を見つけ、奇襲をかけては狩り尽くして行く。


 地面の魔物だけは見逃しちゃったけれど、それ以外は見敵必殺の女子校生だ。それもどうなんだろう?女子力なの?


 隠し部屋も無いので狩っては下り、下りては狩り尽くす。


 苦戦らしい苦戦も無く魔物に一方的に攻撃を仕掛ける速攻戦で進めている。


 嵌まれば強いんだよ、嵌められると押されちゃうんだよ。攻撃と防御が極端すぎる、それが強みだが臨機応変に対応できない。作戦通り、想定通りなら強いが予定外や予想外に弱い。何となく適当に良い加減に戦う男子たちとは対照的だ。


 適当に適切に当たれていない、良い加減に加減が出来ていない。攻撃と防御の間が無いから切り替えられないと崩れやすい。のらりくらりと戦うオタ達や、相手合わせで攻め手が変化する莫迦達の様な駆け引きが無い。だから強いときは強いが弱いときは弱い、自分たちの強みで押し切れば無敵だが相手に併せては戦えていないから押し切れないと崩れてしまう極端な強さなんだよ。


 甲冑委員長さんのしなやかに受け流し相手の力で撫で斬る様な戦い方が必要だ。押し斬れないなら流し斬る、攻めても受けても結局は斬っちゃうんだから強いんだよ。個人でも戦術レベルなんだよ。


 だから技だけでなく戦い方を盗まないと駄目なんだよ?寧ろあの技盗む方が無理なんだよ?朝起きてから魔手を使って八刀流とかして遊んでたら、剣一本で受け斬られちゃったんだよ?受けられたんじゃなく八本全てが受けられ斬られて受け斬られたんだよ?意味解らないんだよ?


 「「「絶好調だー!次に行こう。」」」


 ノリノリです。既に49階層までは図書委員達が踏破しているから数が少ない、これなら苦戦する事は無いだろう。


 「「「きゃああーっ!助けてー!」」」


 ボロボロです。攻めきれずに守りに入ろうとする瞬間に突破され侵入されて乱戦状態です。甲冑委員長もヤレヤレってしているよ?でも見てないでちゃんと助けてあげてね?攻守が極端で乱戦が苦手だから陣が崩れると弱い。委員長がいると特にその統率力で強化される分、乱戦に持ち込まれ指揮の無い各個撃破状態になると乱れてしまう。


 さて「無限の魔手」なのだから無限なのかも知れないが制御できる数に限界がある。でも敵は「バニッシュ・イーグル Lv35」鳥さんだ、イーグルって言うと格好いいけれど禿鷹さんだ。だから消失しながらも飛び続け動き続けている、追い切れないまま反撃される。追う必要が無ければ制御する必要もないから無限に魔手を作れる。上空いっぱいの細い硬質な糸を一瞬で張り巡らせると突っ込んでは切断され、網に掛かっては細切れにされ、勝手に飛び回っては糸に両断され落ちていく禿鷹さん達。空中で止まれないのだから斬られるしかない、地面に降りて来れば戦いようがない。ずっと消えられるなら助かっただろうがバニッシュさんのシリーズは数秒しか消えられない、罠にめっぽう弱いんだよ?空飛ぶ消える鳥さんを何で追いかけるの?莫迦になっちゃうよ?莫迦達はマジでやってたよ、莫迦だったよ。

  

 「ありがとう。助かったよー、空飛ぶ群れとかが苦手なんだよ?速いと最悪なのに消えちゃうとか反則だよ!つつかれて痛かったよ!」


 「あの禿げ鳥!目をつつこうとしてたんだよっ!乙女のつぶらな瞳だよっ!つぶしちゃ駄目だよ!つついちゃ駄目なんだよっ!禿の癖に!」


 この台詞を利いたら武器屋のおっちゃんは泣いちゃうだろう、禿だから。髭は有るんだけど?


 「搦め手か魔法戦かを使いながら戦える様にならないと崩されちゃうよ?剣と盾だけじゃ戦えない相手もいるんだよ?甲冑委員長さんみたいにあれ全部迎え撃てるんなら良いけど、全員がそのレベルにならないと突破された時が危ないんだよ?この前の自爆爆弾蝙蝠さんもそれで苦戦したんだよ?相手に合わせた戦い方が出来ないと危ないよ?」


 問題は魔法戦のスペシャリストである大賢者さんはハンマーを振り回して全機撃墜してノーダメージな事だろう?あれ、白兵戦最強なの?大賢者って?


 「分かってはいるんだけどどっちかに集中しちゃうんだよ?剣で戦ってると魔法が駄目だし、魔法戦してると剣が使えないし。後衛の人は最前列で肉弾戦してるし?」


 「え~?あれくらい落とせないと~っ、大火力の魔法に頼ると強くなれないんだよ~?」


 実は正論だ。オタ達が最もなんだけど魔法やスキルを柔軟に組み合わせられるから戦闘自体は強いんだけど、剣技や体技がいまいち上手くならない。もともとがオタだから割と酷い。


 甲冑委員長さんやスライムさんはともかく副委員長Bさんも掠りもしていないのだから個人技を上げた方が良いのだろうか?しかし普通の後衛にあれは無理だと思うんだよ?


 「搦め手ってさっきのは何だったの?魔法の魔力は感じなかったんだけど、鳥さんがバラバラ死体になって降って来たよ?」


 「あれ触手さんだよ?って言うか「魔手」さんだよ、糸状にして張り巡らせたワイヤーカッターだよ、だって飛んでるから勝手に死ぬよ?あれだけで。だから触手さん苛めたら駄目なんだよ?」


 「「「あれって罠だったんだ!触手さん達の罠だったんだ!逃げ場がない程の無数の触手さん達に覆い尽くされてたんだー!」」」


 何故そこまで触手さんを敵視して警戒するのだろう?何で遠くを見てて何故に顔が赤いのだろう?甲冑委員長さんは何故女子の後ろに隠れて震えているのだろう?魔手さんだよ?昨晩会ったよね?凄い数の魔手さん達に?


 魔手さんがコントロールできれば強いんだけれど「至考」さんでも制御に手古摺てこずっている。俺自身が高速で「転移」まで使って動くから制御しきれないのだ、それ以前に「転移」自体が制御しきれていない。速過ぎる上に瞬間移動が絡むので制御どころか予測不可能なのだろう、動いてる俺にも分からない。


 「もう少し迷宮を減らしたら訓練日も増やした方が良いよ?弱点克服と戦闘スタイルの増加?みたいな?しごかれるが良い!みたいな?」


 実戦が最も訓練になるが、多様性は戦闘だけでは身につかない。それに個人技は集団だと磨きにくい、逆に個人技しか出来ない俺は集団の連携に入れない。特に俺の場合は制御しきれないと巻き込む危険がある、甲冑委員長さんやスライムさんクラスなら向こうが避けてくれるが同級生と一緒となると大技が全て使えない。


 かと言って俺が同級生に合わせて戦うと一人だけずば抜けてステータスが低いから死んでしまう、(ぼっち)の効果でパーティーも組めないから連携のスキルも付かないんだよ。だから単独で動いた方が効率が良いし、いざと言う時周りを巻き込まない。このユニオンは隠し部屋探索用の俺の護衛に組まれているのだろう、だが階層主戦だとどちらかが機能しない、迷宮王だとヤバい。


 迷宮王が迷宮の階層レベルならまだ良い。だがスライムさんはLv100だった、おそらく迷宮皇候補クラス。あんなのが敵だったらヤバいなんて物じゃ無い位ヤバいんだよ?あれは甲冑委員長さんが本気出すレベルだった、戦っていれば俺も手加減どころじゃなかっただろう。そうなると敵が危険なうえに俺が巻き込む危険がある、今迄倒した迷宮王は見た事が無いからわからないが魔石から言ってレベルは50程度だった、おそらくその辺りのレベルまでならこのユニオンでも何とか戦えるかも知れない、何とかできるだろう。だがLv100の迷宮王は危険すぎる。スライムさんはお腹が減って力が出ていなかっただけなのだ、あの戦闘は省エネの為に魔力を殆んど使っていなかった筈だ、本気だったらヤバかったのだ。守りきれずに誰か殺られていたかも知れなかったのだ、お腹が空いて食べようとしていただけだからアレで済んだんだよ?戦いだったら誰が死んでいてもおかしくなかった、そう言う強さだったんだよ。


 ぽよぽよして踊っているが甲冑委員長と戦えるレベルの強さなんだよ。敵だったら凄まじくヤバかったんだよ、ぷよぷよして踊ってるけど。そして他にもLv100がいるかも知れないんだよ。


 「もしこのダンジョンの階層主が迷宮王でLv100だったら撤退だよ?俺たちが戻らなくても撤退しないと駄目なんだよ。これはマジだよ。」


 委員長達は泣きそうな目で睨んでいるけど駄目なものは駄目だ。心配されているのは分かるが危険を冒し過ぎだ。 


 俺と対極なのは盾っ娘だ。俺が1発で死ぬ攻撃を盾っ娘は100発でも受けられる。だが俺が1発受ける前に100発以上受けてしまうのだ。


 そして盾っ娘が100発殴らないと倒せない相手でも俺なら1発で倒せる可能性がある。そして盾っ娘が1発殴る間に俺は100発は撃てるんだよ?


 俺は脆いし其れはどうしようもないのだけれど、俺の相手も脆いのだ。相手を脆く出来るのだ、俺なら。


 魔纏しての虚実で次元斬が使えれば相手の防御力も生命力も耐久力も無意味に出来る。早い者勝ちに持ち込める、斬った者勝ちだ。少なくとも技量の勝負に持ち込める。


 そしてLv100の迷宮王って言うのはそういう相手だ。


 それでも未だましなのだ、大迷宮の最下層に居た時の迷宮皇はLv100の迷宮王など目にもかけない程の強さだったんだから。あれは誰にも倒せない。


 迷宮皇があの闇に飲み込まれていたら世界は滅んでいた。あれは誰にも倒せない。


 あの時の迷宮皇のレベルは27だった。おそらく10%の力も出せていなかった、5%も無かったのだろう。それでもあれは誰にも倒せない。


 そして闇に飲み込まれLv100の完全な力だったら世界が滅ぶくらいでは済ま無かったのだろう。神など軽く超えていただろう。

 

 Lv100の迷宮王はその候補者クラスなんだ。殺さないと拙い、だが危険すぎる。殺せる可能性が最も高いのは俺だろう。ただ殺される可能性も最も高いだけだ。

 

 そして迷宮を放って置く訳にもいかないんだよ。


 だから下りて行く。


お読み頂きありがとうございます。ブックマーク登録頂いた方ありがとうございます、気が付いたら500件超えていましたので調子に乗ってもう一本投稿してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

i970590/


アニメ公式ページ
アニメ公式ページはこちら

オーバーラップストア購入ページ
オーバーラップストア購入ページはこちら

アマゾン購入ページ
アマゾン購入ページはこちら

既刊一覧ペタリ

i947047/
i970596/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ