表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユースフル!  作者: 幕滝
ユースフル
26/67

二.解答!

前回の続き。解答編。

 もうすぐ私の『中学二年生』が終わるのだと改めて思いました。振り返ってみても、特に大きな変化もなかった一年でした。それがいいことだとは思うんですけどね。だからといって、去年まで『堺麻子』として、最高の人生を送れてきたのかと問われれば、胸を張って肯定することなんてできません。できる人なんて少ないんじゃないでしょうか。

 でも、そんなこと、今考える必要なんかないですね。

 私が一学年の終わりを実感した要因は、ひとえにこの『ユースフル』の記事を読んだからです。

 『ユースフル』は、私が尊敬する葵さん(ここではハイムと名乗っていますが)が日々を書き連ねたブログです。これがまた面白いんです。愛犬のことや、花川少年という探偵ごっこ仲間についてや、その日に起こった不思議なこと。今日の記事は、その不思議事の答えです。私自身、昨日は頭を使って考えてみたんですけど、わかりませんでした。だから、更新がとても楽しみだったんです。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 二月二十九日

 タイトル:解答!


 ニーハオ! ハイムですよぉ!


 はあ。……今日、カレンダーに久しぶりに目をやったら改めて実感したよ。なんだかんだでもうすぐ卒業式なんだよね……。中学校生活はあと数日で終わる。高校は高校で楽しみだよ。でも……、皆高校違うし、それにわたしもうすぐ引越しするから、おそらく今の友達とはほとんど会えなくなるんだよねー(落胆)。


 いーや。暗ーい日記にしたって、どうせいいことはないのです! 人は前を向いてないと歩けない! 前向きに行くべきである! ←どこかで聞いた言葉だ……。


 というわけで、昨日話した『仙人様』事件の解答ですよぅ。しょぼすぎな解答に、がっかりしないでね!


 フフフ……。『仙人様』の正体は、『人』です! ヒントは昨日に記事にちゃーんと用意してありましたんですよ! わたしたちの校舎のすぐ先、道路を挟んだ向こうには背の高い廃址があるのです! その屋上に上った誰かの影が、二階に位置する我が教室のカーテンにうつったのですよ! 昨日わたしがした豆知識があったでしょう。教室の窓は南を向いているって。太陽は東から昇ろうが、西から昇ろうが、南の空を通る。だから、南側にある建物の影は学校へ向かって伸びるんですよ!

 日の角度や廃址の高さなどの関係上、あの時間でしかおきることのない奇跡でした!


 うん、改めて書くと、しょうもなすぎ! 笑えてくるねー。

 少しでも考えてくれたひと、どうもありがとうございました!


 それにしても、屋上に何の用があったんだろうね、その人。おそらく一人だったしね。まあ多分、お昼時だったし、お弁当を見晴らしの良いところで食べようと思ったんだろうね。チラリと見たんだけど、その人、背広で両手に何かが入ったコンビニのビニール袋持っていたから。片方にはおにぎりらしきものと二リットルペットボトルが入っているのが透けて見えたし。もう片方は見えなかったなあ。おにぎりよりかは大きいものだった。

 あ、そうそう。そういえば、今日もいたよ、その変な人。全く、何が目的なんだか。一つしかビニール袋を持っていなかったけれど、おにぎりと二リットルペットボトルを提げてたから。ただの昼飯にしては多い水分ですよねぇ。考えてみれば不思議だ。


 ……今日はこれくらいしか記すことがないし、じゃあ、このへんで!

 ヘレテ! ハイムでした!


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 なるほど。そういうことだったんですね。言い訳がましいかもしれませんけれど、私は葵さんの学校と周囲の建物の位置関係を知らなかったのだから、答えがわからなかったのは当然です。普通、古いとはいえ、学校の近くに大きな建物なんてないですし。

 そういえば、昨日、半年ぐらいぶりに『ツバキ』という方がコメントを残していました。もちろん、律儀な葵さんはしっかりと返信していました。他人宛に送ったメッセージですけど、ついついどんな内容なのか気になった私は目を通してしまいました。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 コメント:ツバキさんへ。久しぶり! 管理人・ハイムです! 読んでもらえて嬉しいですよぉ。この『仙人様』事件、ちょっと期待はずれかな、というような真相だから、まともに考えるのはやめたほうがいいかもしれませんねえ。。。ヒントを言うなら――廃址。学校のすぐそばにあって、背がウチの校舎と同じくらい高いの。ほとんど全ての窓ガラスが割られていて(悪戯っ子が石を投げたのかな?)、中々ホラーなムードが出てたりするんだよ。昔は肝試しでよく侵入してたなぁ。何か倉庫に使われていたのか、色々な物が置いてあるの。ま、どれも価値なんてほぼゼロなんだろうけどね。何にしてもそれにその廃址はその外見で、来月には取り壊しが決まったって噂で聞いたから、すぐに消えるだろうし。――なんにしても真相は明日書きますので、楽しみにしてくれたら嬉しいなあー。長文失礼、それじゃあ、ではでは!


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 相変わらずのハイテンションですね。この少し遅いヒントが載った文面やエクスクラメーション・マークが異様に多いブログだけではないんです。実際の彼女はこれから想像される通りな方で、天真爛漫、向日葵のごとく明るい人です。彼女に振り回される人が結構可哀想だと思ったりもしますけれど、笑って許せる程度です。害はないです。

「……あっ」

 画面の左のほうにある新着コメント欄が増えているのに気づきました。ついさっきの時刻。

 クリックしてみると、あの『ツバキ』さんからじゃないですか。まず開いて思ったことは長い文章だということです。どういう内容なのか、パッと見た感じでは、『監禁』や『犯罪』というどこか危なげな単語が含まれていました。忠告をするような文章です。

 ……一体、どんな内容なんでしょう。恐る恐る読み始めます。

まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ