その83・秘剣「斬られて突かれて一〇〇万年」
▼その83・秘剣「斬られて突かれて一〇〇万年」
「とにかく、B、Fさん逃げて! これはもう僕とヘクトパスカルで対応するしかないから!」
「ばか龍はともかく、あんたは役に立たないでしょうが! かっこ付けてないで……」
「いくぞB!」
「え? でも……」
「コイツなら出来る、お前も気付いてるだろ? コイツは何かを【持ってる】んだよ」
「……」
「行って!」
「……死んだら、ただおかないからね!」
「うん」
(※Fに守られて最後にありったけの魔法障壁のスクロールを発動させて走るB)
(※Fたちとは逆方向に走るA、洗脳勇者、Aを狙って火焔の矢を撃ち出す)
(※次々とナビに言われるまま伏せて転がり、通路沿いの部屋に入り、次々と走り抜ける。最後に宙返りをすると火焔の矢はAを追い越していく)
「どうやら洗脳状態だから咄嗟の機敏な反応はできないみたいですね」
「ナビさん、よろしくお願いします」
「はい、頑張りますよ……あと2秒したら攻撃が戻ってくるか、ご本人がコノ近くに斬り込んできます」
(※A、ダガーをしっかり両手に握りしめる)
「あと、この期に及んで、なんですけれど、やっぱり相手、殺さないと駄目ですか?」
「……ほんとにコノ期に及んで、ですな……とりあえず解析してみますが、余り期待しないで下さい。彼等は結構抜け目がない」
「お願いします」
「でも解析は今から1分だけです。それ以上解析して何か見つけても、その時にはあなたの命がない」
「そんなに強いですか?」
「強いです、今の見たでしょ? 中~遠距離攻撃しかも全方位もちで、チャージ時間は極小、至近距離での刃物の切れ味は……」
(※壁が切断されてバラバラになる)
「アノ有様で」
「うわぁ……」
「さあ、戦え、魔王……」
「あ、意外とハスキーな声、格好いい……緒方恵美さんみたい」
「聞き惚れてる場合ですか! 完全にあなたを敵認定してますよ!」
「え? あ、そうか魔王って……」
「お前のことだ! なぜ蘇った!」
「わわわ!」
(※聖剣を振り回す洗脳勇者、逃げ惑うA)
(※切断される床、壁天井。ガラガラ崩れる瓦礫のお陰で何とか距離を置けるが、やがて逃げ惑ううちに追い詰められる)
「うわわわわ!」
「だめです、こっちの予測よりも僅かに向こうのほうが早い、さすが勇者……」
「どどどどどどうするんです!」
「ダガーを交差させて受けて! 二秒なら持ちます!」
「!」
(※洗脳勇者の刺突を短剣を胸の前で交差させて受けるA、だが一瞬で砕け散る)
「のわああああ!」
(※辛うじて身を躱して転がるA)
「どうした魔王……自慢の魔剣は砕けたか?」
(※じり……と距離をゆっくりと縮めてくる洗脳勇者)
「えーと、えーと真剣白刃取りってどうやるんでしたっけ?」
「あれは架空です、実際には懐に飛びこんで猿臂打ち(※肘打ちの一種)で相手の武器持った手首とかを打って奪うッていうやり方ですけれど、今のあなたじゃ懐に飛びこんでも、相手の魔法でドカンで終わりですし、打撃も武器を奪うほどでは……」
「なんか手は?」
「すみません、もうないです……」
「ひぎゃああ! 助けてエエエエエエ!」
(※わたわたと逃げ出すA)
「今さら哀れを請うつもりか、この卑怯者!……この必殺技<大断罪>&秘剣・斬られて突かれて100万年!」
(※剣をかざす洗脳勇者、刀身にかつてないほどの光が集まる)
「冥府へ、疾く疾くもどれえええええ!」
「ふぎゃああああ!」
スミマセン、大分遅れました……




