表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/87

その69・子猫たち、還る

▼その69・子猫たち、還る


「……というわけで、何か欲しいの、ある?」

「兵器が駄目、文明変えちゃうようなのは全部駄目、となると……」

「何欲しいの? 媚薬? 作れるよ!」

「恐ろしいこと言うなー。この猫耳宇宙人は!」

「地球人って年中発情期なんでしょ?」

「それもいちかちゃん情報ですか?」

「んにゃ。おかーさんとママに聞いた」

「お母さんとママ?」

「同性同士で子供が作れるということでしょう、さすが宇宙人。ハイテクですな」

「すごーい。君らはIOSと名乗れるぐらいのフレンズなんだねえ……」

「時事ネタは錆びやすいよー」

「錆びやすいよ-」

「すいよー」

「YO! YO! YO!」

「なんかこの子たち、時折イラッと来るなー」

「で、何が欲しい?」

「うーん」

「あたしたちとか? でもだめよー」

「いや、それはいい。だって君ら、巨乳でも腹筋あるわけでもないし……」

「あーひでー! 女性を性欲のたいしょーとしてみているだけじゃーん!」

「だめだよー」

「だめだよー」

「う……(グサ)」

「だめだよー。社会的リテラシーなさ過ぎー」

「あー、そういうことは今のご時世、余り口にしないほうが……」

「まー、冗談じょーだん。地球文明の強い言葉って真似したくなっちゃうのよねー」

「バカにしてる?」

「んにゃ。これリスペクト。あたしたちの文明はもう行き止まり、だからこれからの地球は胸張っていいと思う。乱雑と混乱の中、真っ直ぐ上を見据えることから文明は成長していくし、それはきっとあたしたちキャーティアとは違う成熟をすると思うから」

「10歳ぐらいなのになんか凄く大人びてるなあ」

「そこはまあ、基礎教育が圧縮でいろいろあるのでー」

「のでー」「でー」「みゃー」

「うーん。そうだなあ……あ、そーだ地球人の本や映画のデータってある?」

「え? あるよー」

「じゃあ、それを全部本やDVD、Blu-rayとかにして出力して」

「うーん……いいよ」

「いいの?」

「うん。それぐらい帰りの地図が貰えたんだから安い安い……というか、情報の共有は別に報酬の範疇に入らないから、別に何かオーダーある?」

「さっさと還って貰ったほうが一番の報酬という気もしますが……」

「ナビさん黙ってて、今考えてるから……そうだ。量子アンカーから本体まで、位置を辿ったり、本体を見つけられたりするような装置、出来る?」

「まー、うちの船のナビゲーションシステムをコピーしちゃえば出来るよ。ついでにおまけ機能もつけたげようか?」

「それなら、いくつかお願いがあるんだけど」

「ほいほい」


(※暗転)


(※眠りから覚めるヘクトパスカル。森の中に突然出来たような広場の中。側にBとFも寝ていたが起きる。A、ニコニコしながら空を見上げている)

【ぬ、これはどういうことだ、友よ?】

「変な魔法を使う、森の猫耳エルフと話をつけたの……ここを出て行くって」

【なに……猫耳エルフ? 魔獣イチカーのことか!】

「なにそれ?」

【我がまだ卵から出たばかりの頃、この世の外からやってきて、古龍と神々を相手に戦を仕掛けてガチンコで殴り合い、最後は神々とダチ公になって、世界の彼方へ去っていった謎存在だ。猫の耳と尻尾を持ち『アロハオーエーイ』という謎の挨拶をして古龍の王を一撃で叩きのめしたという……】

「いや、それじゃないと思うよ……暢気な12歳ぐらいの女の子たちだったから」

【ふむ……ぬ……なんだ?】

(※地面が揺れて、何かが森の中から浮き上がる……全員の上に落ちる影。流線型の美しい宇宙船)

「うわー本当に宇宙船だー。凄いなあ」

「ウチュウセイン? なにそれ?」

「あ、B、起きたんだ……うんあれは……空の彼方、星野向こう側まで行ける船……僕らの子孫が作るかも知れない、未来の船だ」

「……何言ってるかよく分からないけど、キラキラ光って綺麗……」

『やっほほーい! A君、じゃなかった勇者A、感謝スルー』

『するー』

『するよー』

『するーす!』

「わ、あの金属の塊、生き物なの?」

「いやあ……A、B、古龍さま、ありゃあ凄いなあ」

「あ、Fさん」

『勝手の分からないところだったんで、現地の方にはごめーわくおかけましたー』

『しゃーした!』

『すますた』

『すたー』

(※エンジンの唸り高まっていく)

『んじゃ、いくねー! また、縁があったらあおーねー!』

『バイバーイ』

『バッハハーイ』

『ケーロヨーン♪』

(※宇宙船、ゆっくりと回頭、一瞬の後、空の彼方の光点になる)

「うわ……なにあれ?」

【龍の我でも視認出来ぬ速さであったぞ?】

「ま、細かい事はあとで説明するよ」

(※A、振り返る)

「その前に、ヘクトパスカル、あの本の山を僕らのビルに移そう」

(※A、指し示した先に巨大なコンテナ)

「あれは……中身は全て本か? いや、DVDやBlu-rayらしいモノまであるぞ?」

「そー。未来は僕がいた時代から五年後まで、過去は僕がここに生まれ変わる前から70年分分のあらゆるマンガと映画とアニメとテレビ番組の情報が詰まってる!」

「なに!」

「え?」

「とりあえずこれを持って帰ってよ、そしてE王女たちの軍勢をここへ連れてきて……次に魔王たちが動いたら、本拠地に、今度は全員で殴り込むから!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ