その63・そこのはなし。あのはなし
2日間休んでしまったのでちょっと早めの更新です。
▼その63・そこのはなし。あのはなし
(※E王女の天幕、王女の玉座前にA、宮廷同士他)
「なるほど、い舫い綱と船と突堤か」
「そういうことになります。他の国と共同して、魔法ではない異質な反応というか、気配を探して貰うというわけにはいかないでしょうか」
「……ふむ、どう思う、宮廷魔導士長?」
「大変難しい話ですね。概念ばかりで具体性がなさ過ぎます。せめてその『舫い綱』の具体的な反応の手本というか、そのもののサンプルか、魔法使いに説明出来る言語化が出来ていれば良いのですが」
「……ですよねー。見本も無しに探せってのは難しいですよね……なんかいい案ないですか、ナビさん?」
「そうですねえ……この世界の禁断地帯になら、解決策があるんですが。E王女がウンというかですな」
「禁断地帯?」
(※ざわっと騒然となる天幕内)
「お主、今なんと言った?」
「禁断地帯ってなんですか?」
「……そうか、お主たちは盗賊都市の住人であるから、しらぬのも当然か」
「?」
(※E王女、深い溜息)
「だが……うーむ。話してしまえばお主の性分だから必ず行くと言い出すだろうし……」
「????」
「そんなにキラキラした目で妾を見るな! 実に居心地が悪い……(溜息)」
(※しばしの沈黙)
「ええい、仕方あるまい。話そう……禁断地帯というのはつい最近出来たのだ……ほんの五年前、いきなりここから東に400キロほど離れた、小さな森のことである」
「なんでまた禁断地帯ということになったんですか?」
「元々その周辺の小さなふたつの国同士の国境にあって、どちらに属するか境界線争いがよく起こる土地でな。五年前のその日も、あわや軍事衝突、となるはずだったのじゃが……」
「どうなったんです?」
「領国の軍隊が全員、翌日にはそれぞれの国境に気絶した上、武装解除して転がされておったそうだ。側には誤字脱字だらけの手紙があって『けんかはだめ』と書かれておった。で、このふたつの国はそれぞれ近くの大国を味方につけておってな……で、泣きついた」
「まさか、その大国が軍隊を派遣したら同じ目に遭ったとか?」
「その通り。最初に送りこんだ軍勢500、その次に送りこんだ軍勢1000、さらにその次に送りこんだ軍勢2000、ことごとく全員半殺しの目にあって、森の外で気絶しておった。武装解除されて、さっきもいった内容の手紙付きで」
「……古龍でもいるんですか?」
「さてそこよ。兵士たち全員、率いていた将軍全員、何も憶えておらぬ」
「記憶抹消の魔法とか?」
「魔法の痕跡はなかった。それだけに不気味じゃ。で、二年前にそこへ最後の第四次遠征部隊、軍勢3000を派遣するかどうか、ということになったとき、妾が止めさせた。その二大国事態が妾の国との同盟国でな」
「なるほど……」
「つまり、あそこには字が書けて、6千の軍勢を返り討ちにして殺さないで返すだけの化け物がいるらしい、ということでな……お主の言う舫い綱の先がそやつだとしたら、これはもう総力戦しか有り得ぬ」
「うーん…………魔王の暗躍はいつから?」
「6年ほど前からじゃな」
「計算が合うような、合わないような……ナビさん?」
「彼等の手口に関しては殆ど不明なんですよね。我々の管理が及ばない平行世界から来てるので……実はその禁断地帯の中も私には見通せないんです」
「どういうことですか?」
「五年前から一切のこちらの見通しが出来なくなったんですよ。急に……だから王女様が少しは情報を握ってるかと思ったんですが」
「なにか、判らないんですか?」
「戦闘に加わらず、真っ直ぐ逃げた、という第3次遠征部隊の兵士の話では、猫の耳と、尻尾を見かけたという話は聞いた
「猫の耳と尻尾を持った異様に強い存在……ジャガーマンでもいるのかしら?」
「バビロニアの神の使いですか。金色頭の。古いのをしってますねえ」
「いえ、中身がタイガー道場な人のほうです」
「ああ、そっち」
「というか、古代バビロニアの戦士はジャガーの皮を被って戦ったそうですから、そういう種族でも住み着いたのかなあ?」
「そのバビロニアという国は聞いたこともないし、じゃぐあ、という生き物の皮を被って戦う戦士のいる種族というのも知らぬ……色々賢者や学者にも尋ねたがな」
「ふむ……」
(※A、首を捻る)
「来週、ヘクトパスカルが来ますから、彼に頼んでついてきて貰えれば、僕行きます」
「……そう言うと思った。じゃが心配なのだよ」
「?」
「第三次遠征軍には妾と同じクラスの破壊力を持つ魔剣を持った戦士も参加しておった。だが見つかったとき戦士は記憶をなくし、魔剣は小さな紙を貼り付けられて封印されておってな……未だに破れぬ」
「なんですか、それ?」
「つまり、剣に封印されていた古龍、ヘクトパスカルを持ってしてもあやうい相手かも知れぬ」
「たしかに、ヘクトパスカルを封印していた剣を破壊する王女様の武器と同じクラスのものをあっさり封印してしまう能力ですか……」
(E王女、立ち上がって考えるAに近づく)
「そうじゃ、そんな危険な所にお主をいかせるのは心配なのじゃ」
(ぎゅう)
「お、王女様、おっぱいが、おっぱいが!」
「何を恥ずかしがっておる、あの夜、さんざんにこの胸を味わっておったではないか」
「あの、えーとそれはそうですけれど皆さん見てる前でその、その僕のほうの肉体変形がデスね」
「(※小声でAの耳に囁く)よいではないか、見せつけてやりたいのじゃ。これまで永らく処女が故に『攻める価値もない城』と陰口をたたかれてきた妾じゃ、それがこんな凄い男と蜜の夜を過ごしたのじゃと、喧伝したい」
「いや、それ喧伝しちゃ行けない類いの話だと思います!」
「あー、完全にデレってますね。E王女様。何とかの深情けと言いますか」
「あの、えーと、とととととにかく、今は駄目です、まだ日が高いです」
「2、3回もすれば低くなろう?」
「いやそういう問題ではなく……」
「侍女長、妾は急に眠くなった。床を用意せよ」
「はい、姫様」
「あのあのえーと……」
「明日にもヘクトパスカルが来れば行ってしまうのであろう? その前に妾を連れていっておくれA……(囁くような声で)快楽の園へ」
「あのあの、えーと(汗&照)」
「ほら、この前のようにまたお主の部分が妾の太腿にあたっておるぞ?」
「あいえあのこれは生理現象で」
「のうA、妾が嫌いか?」
「あのえーと……そんな可愛い顔で見ないで下さい……」
「可愛いと言ってくれるかえ?」
「はい……あの、可愛い人は可愛いとしか言えないです(真っ赤)」
「ふむ、うい奴。上でも下でも」
「そ、それは言っちゃ駄目です、王女様(真っ赤)」
「ふふふ、あんなに凄いのになんで照れる? お主は妾のものじゃ。どちらの意味でもな」
「あ、それはその……」
(※E王女、そのままAを押し倒す。いつの間にかAの背後に巨大ベッド。上にまたがったまま、E王女服を脱ぎ捨てて下着姿に)
(※侍女たち、香油をその身体に注ぐ)
「Fに聞いたぞ……お主、こういうのも好きなのであろう?」
「ああ……王女様のおっぱいが、腹筋が……ぬらぬら、ぬらぬらしてきて……」
「あー、Aさん、明後日の朝までごきげんよう」
(※ナビ、そっと消える)
「はふーはふーはふー」
「おお、目の色が変わって参ったぞ?」
「ああ、ぬらぬらしてて、鍛え上げた身体の、柔らかいディティールがくっきりわかってああ! 素晴らしいです! 素晴らしいです! 王女様!」
「おう、妾を突き上げるお主もすごいぞ?」
「あ…………(完全に耳まで真っ赤)」
「さて、どうする? A。このまま帰るか?」
「そ、それはその……」
「うむ、では楽しもうぞ。A」
「はい王女殿下」
「Eと呼べ。床の中では」
「あ、はい……E」




