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その48・戦雲戦乱、嵐の中を(3)

▼その48・戦雲戦乱、嵐の中を(3)


(※戦場から50キロ地点、E王女の国の砦の城門が開閉する)

「ここまで来れば大丈夫かと」

「うむ、I、大義であった……皆のものもご苦労!」

「はい!」

(※E王女とB以外、全員馬から下りると霊子で出来た馬は消滅)

「あの、E王女様、お願いがあります」

「判っておる。霊馬(これ)を出すためのスクロールが欲しいと言うのであろう。往復二本」

「はい」

「よし、至急、戦馬召喚(グレートホース)のスクロールを持って来い! 二本じゃ!」

「はっ!」

「……そなたが羨ましいぞ。好きな男の元へ駆け戻る自由がある」

「あ、いえあの、Aはそんなんじゃないです! で、デキの悪い弟みたいなもんで……」

「まあよいわ。妾からもそなたに頼みがある。近う参れ」

「?」

(※B、馬E王女の側に寄せる)

「もちっと近う」

「はい」

(※B、さらに王女の側に馬を寄せる」

「よし、動くな」

(※E王女、Bにキス)

「Aにこれを届けて参れ。妾からの口づけじゃ」

「は、はいっ、か、必ず!(真っ赤)」

「姫様、ご所望のスクロール、持って参りました」

「ありがとうございます」

「頼んだぞ、妾だけ処女ではつまらん」

「はい!」

(※B、馬を走らせて引き返す)

(※E王女、それを見送り、意を決したように馬から下りる)

「王女たるこの身を悔いたことは今までの人生で一度もないが」

(※眩しそうにE王女、暗く雲の立ちこめる戦場へ戻っていくBの背中を改めて見つめる)

「今日ほど、疎ましいと思った日はないのぅ」


(※戦場、空中で魔法使いの攻撃を受けたヘリが爆発四散する。地上では幻影魔法で半透明の軍勢が殆どになっている)


「第五、第七部隊も無事離脱!」

「損耗率は?」

「全体の二割です!」

「良かった……みんな良くやってくれた! あの、宮廷魔導士さんたちも、次の合図で逃げて下さい!」

「しかし、それではA殿を守る人数が半分に!」

「ここまで来たら機動性で逃げ回るしかないんです、むしろ疲弊した魔導士さんたちは邪魔です! 武器に魔力はチャージしていただいたし、持っていた攻撃魔法のスクロールは全部頂きましたから、用なしです、生きのびて下さい!」

(※A、不敵に笑う。女宮廷魔導士、きゅん、となるが顔を伏せる)

「……わかりました」

「最後に僕が合図したら東から南へ一斉に爆炎魔法を撃ちまくって土煙を派手に上げて下さい。そしたらその中に突っ込んでひたすら東へ、あとは小高い丘が見えてきたらその麓に馬が通れるだけの洞穴がありますから、そこに入って、ひたすら走れば南にでます。あとは王女様たちと合流を!」

「は、はいっ」

「用意……今です!」


(※コレまでの念話による通信業務で疲弊し、必死の形相の魔法使いたち、地面に向かって爆炎魔法を叩き込む。彼等から見て右手から左手へ次々と爆発の土柱が上がり炎が天を焦がす)


「では、御免!」


(※魔法使いたち離脱していく)


「で、オレ達はどうするんだ、A」

「Fさんたちはこれからが勝負です。そろそろ敵は僕らの軍勢が空っぽになったと気付く頃ですから」

「僕らの軍勢、か。つまりオレらはお前の近衛部隊ってわけか」

「僕は王侯貴族じゃなくて盗賊ですよ?」

「いいさ、盗賊王になるんだろ? だったら近衛がいるさ」

「Aさん、そろそろ武装も終えたヘリが上がってきますよ」

「じゃあ、全員敵陣に斬り込みます!」

「よし! 運試しの時間だ、全員スクロールは持ったか!?」

「おう!」

「よし、手当たり次第に撃ちまくれ。魔法も銃も! どうせ四方は敵ばかりだ! 味方に当たる危険はねえ!」


(※意気上がる傭兵部隊)


「この突破作戦での損耗予想は?」

「全体の9割が失われます」

「…………」

「気をつけて下さい、あなただってスキル発動中とはいえ、死亡する可能性が80%もあるんですから」

「判ってます……」


(※魔王軍陣地)


「観測ドローン班から報告、どうやら光学魔法で軍勢を作っている模様!」

「くそ……幻影系か。ここの奴はどうしてそこまで精密なんだ」

「我々と違ってアカシックレコードにアクセスしての発動ですから、脳に負担がかからない分、緻密さが……」

「技術論はいい! で、やつらどれくらい水増しされてる?」

「それが……もうすでに九割に上っているものと」

「……くそ。Y崎の野郎にまたドヤ顔をされるか」

「敵軍、突っ込んできます!」

「よし、全力で迎え撃て……戦国武将ならその意気に感じて素通しするかも知れんが、俺達は近代軍隊の兵士だ!」

「火力の集中はどうしますか?」

「最初にヘリ、次に地上の装甲車だ、ミノタウロス、サーベルタイガーで背後を! 特に魔法召還した奴らは惜しむな!」

「りょ、了解!」

「しかし、E王女が後方から指揮を執ったり、知恵を部下に授けてその通りに動いているのだとしたら……いや違う、あの中にきっと軍師がいる。出来れば生け捕りにしてみたいもんだが、無理だろうしな」

「指揮官、何か?」

「いや、とにかく、幻影魔法を解除させるようにうちの魔法屋どもに全力を傾けさせろ、あのままじゃ同士討ちになる!」

※しばらく1日1回更新としましたが、台風で外に出られない皆さんが少しでも楽しんでいただけるように本日はできる限り更新してみます。

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