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その37・ソルリーマンへの尋問

その37・ソルリーマンへの尋問

「というわけでY田さんとT中さんから話を訊いて、魔王の居場所を突き止めましょう」

「また英語モードですか」

「いえ、Fさんを通じてお願いします」

「考えましたね」

「まずその前に捕虜から色々回収してみました」

「銃にナイフ、GPSシステムに軍用タブレットですね、これ……あと……今時らしくスマホですな。iPhoneの最新機種ですよそれ」

「え? レンズ三つもありますよ! そーゆーのってandroidの独壇場じゃないんですか?」

「androidは今折りたたみスマホのほうで有名です」

「へー。技術って進歩してるんですねえ」

「ようA、相変わらず誰かと話してるのな」

「あ、いえFさん……ちょっとした独り言です」

「ああ、奴らの装備か。あたしにはさあっパリ分からねえものも多いが、やたら贅沢だよな」

「Y田さんとT中さんはどうしてますか?」

「ああ、今の所大人しくしてる。やつらソルリーマンとか言ってるような連中だからな。普通の戦士と違って死ぬまで抵抗はしない」

「ソルリーマン……」

「多分ソルジャーとサラリーマンをかけた用語なんでしょうな」

「すご日本っぽい……つまり企業戦士転じて企業兵士って、ことですかね」

「ああそうそう、その名前もよく使うぞ、キギョ・センシー」

「尋問に立ち会ってもらってもいいですか?」

「生爪剥がしたり鞭で打ったりするのか? うーんオレそういうの苦手なんだが」

「いや、それは拷問です、尋問はただ話を訊くだけです」

「みんなそう言って最後は鞭で叩いたりするぞ?」

「しませんって」

「私はH……A、そういうアクティブなところ……みてみたい気もする……女……」

「あなたSなんですかMなんですか?」

「私はH……優秀なSはMリバもまた好みの女……」

「……あの、翻訳し切れてない単語があるんですけれども」

「性知識の深淵は深いですからねえ」

「あんまり覗きたくないなー」

「まあ、大抵覗き返されただけじゃすまないですからねえ」

「……で、俺達に何の用だ」

「魔王軍って本拠地はドコにあるんですか?」

(※Fが通訳する。以後Fの通訳は省略)

「言うと思うか?」

「……というより言えない。俺達も時間指定で戻るだけだ。次の任務の時はもう別の場所に出てる」

「移動拠点ってこと?」

「しらんね」

「空母とか、巨大な飛行戦艦とか?」

「おい、A、クーボってなんだ?」

「ああ、カテゴリーエラーですね。この世界にまだないものは翻訳できないんです」

「えーとじゃあ、空母ってなんて言いましたっけ英語で」

「エアクラフト・キャリアーでしたかね」

「あー、ユア・おんざ・エアークラフトキャリアー?」

「へえ、空母なんて洒落たもんしってるじゃねえか。そういうもんじゃねえよ。ちゃんと地面にある基地だ」

「これ以上は言えねえな」

「なあ」

(※T中とY田顔を見合わせて笑う)

「なあA、こいつらの股間に酸性スライム流しこんでいいか?」

「いやあのそういう御大事系へのゴーモンはその……」

「じゃあ、爪の間に何か入れて体重かけるぐらいで」

「いやそれも拷問」

「こいつら、オレらを完全に舐めてる」

「元味方でしょうに……」

「金払いがいいからな。だがこいつらオレたちのことを『イセカイジーン』とか呼んでバカにしてるんだよ! 隙を見せりゃヤろうとするし! 装備だってケチる! この前の戦闘でヘリ使わせるのにどんだけ交渉したと思う? 俺達のことを『イセカイジーン』だからバカにしてるんだよ! 智慧の足りないゴブリンみたいにな! Aと会わなかったとしても、オレきっと叛乱してたぜ」

「あー、なんかそういう上から目線は恨み買いますよねえ。さらに軍隊内のセクハラパワハラの割合は男女問わずどこでもかなり高確率です」

「気持ちはとーってもわかります、ええそりゃもうわかりますが、ダメです」

「それぐらいなんだよ。俺達の側につきゃ、圧倒的に文明低い連中相手にドンパチして、あとは待機の楽な仕事じゃねえか」

「あんたらはそうだろうけど、オレらはあちこち飛ばされるんだぜ?」

「そりゃあそっちは現地雇用だからしかたねえさ……でも真面目にやってりゃ俺達みたいになれる」

「そうそう」

「年収1千万の仕事だぜ? そうそうフイにできるのか? ってんだ。なあT中」

「全くだぜ……そーいや、オレ入社してボーナスまだ3回しか受け取ってねえからな」

「四回目からは剛毅だぜ? 10か月分だからな」

前回は出来なかったので今回はもう一回更新しますー

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