その25:特殊な意味の部隊(前)
▼その25:特殊な意味の部隊(前)
「して、お主等は本当に魔王たちとは繋がりがないのか?」
「はい殿下。我らとしても富を回さず独占のみを行い、盗賊同士のルールもなにもなく一方的すぎる彼らを敵視しております、が、魔王軍は神出鬼没にして強力無比、手出しできず日和見を気取っていると思われても致し方ない事態、というのは以前書簡にてお送りしたとおり。
「ふむ。だが我らと同盟して魔王軍を追い散らさぬは何故だ?」
「我らは盗賊が本性にございます、閣下。表には出ず闇にうつろうもの。この街も盗賊都市と呼ばれ国のごとき人数をして強烈無比と謳われますがそれはあくまで数のみの話。集団で動いても二〇〇がせいぜい、それ以上の軍勢となればそれは総力戦となります、お国のように数百万の戦士や騎士、兵隊が我が国にいるわけではないのです」
「(小声で)数百万?」
「ああ000国の人口は2千万人、ほかの大国は軒並み1千から1千500万前後の人口ですな。ナーロッパ世界なんで、戦闘可能な人員はそのうちの10パーセント前後」
「たったそれだけ?」
「あなたのいた世界の中世、近世だと5パーセントを超えると健全な社会だとは言えなくなります…さて、まあE王女の国でも120万の軍勢がいることになりますね……ただし、フル稼働させると国が傾くのはこの世界でも変わりませんから、常時動かせるのは40~60万ぐらい、ってとこですかね」
「それでも勝てない魔王の手勢って一体どんだけ数いるんですか……」
「この世界の場合、魔王軍とは犯罪結社の別名ですからね。テロリストみたいに賄賂を使って役人を動かしたりニセ情報を流したり、市民に隠れて犯罪や戦闘行為をおこなったりと、浸透作戦できてるから、真っ向勝負というのはなかなか」
「…………まるで盗賊みたい」
「だからE王女はあなたたちを仲間だとみたんでしょう」
「でも昨日のFさんの襲撃は……」
「あれは王女暗殺か誘拐を企んだからですよ、戦闘となると一点集中で即離脱、殆ど表だって国や軍隊とは対決してませんね。ヘリがあるから機動性は抜群なんでしょう」
「うーん……拠点が判ればそこへ僕らが潜入して、親玉をやっつけちゃえば……」
「ところが拠点が常に移動し続けているんです。私たちでも見つけられないほど頻繁で」
「どれくらい?」
「一時間と同じ場所にいません」
「それ、移動要塞か何かじゃないの?」
「とおもうんですが、我々も観察は出来ても情報の収集はどうしてもリアルタイムじゃなくて後追いなんで、彼らの拠点の規模や移動方法は不明なんですよ。この世界全体が完全に把握出来ていればあなたのような転生者を呼び込んだりはしないので」
「なるほど……あ、なんか話し合いが終わりそう」
「よかろう。では国家としての呈をなさぬ故、協力するもなにもない、ということであるな?」
「はい、ただ都市を挙げてのご支援は不可能にしても、金を代行とさせることは出来ましょう」
「軍資金をだすと申すか」
「はい」
「どれくらいであろうかな?」
「大陸古代金貨で300万枚」
「凄い金額出されてる気がするんだけど?」
「大体、この盗賊都市の年間売り上げと同額ですね。4万人ぐらいの規模の国だったら王権を譲り渡して貰う交渉が出来る金額かと」
「い!? 王位が買える金額?」
「小国の、ってとこですが」
☆あとがき
無我夢中、楽しくキーボードを叩き続け、気がつけばPV数が1万を超え、ブックマークしてくださる方も100を越えてビックリしています。
ありがとうございます。
また、300以上もの評価ポイントをつけてくださった方々にはさらに有り難く。感謝の言葉もありません。
勢いで書き始め、書き続けている小説(?)ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
神野オキナ拝




