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その13・成り行きですが生き延びましょう

登場人物


A:主人公。現世ではとっても恥ずかしい死に方をしたらしい、今は12歳(※お話の展開如何によっては変更)の美少年。褐色筋肉質の美人と未亡人が好き、腕はヘタレ。12歳までは一種のオートプレイモードで記憶はあるが実感はない。

ナビさん:主人公に異世界転生の世話をした人。主人公が無自覚に裏技を使い、通達を見なかったためにそれをうっかり通してしまったので後フォローに回ってナビゲーターとしてついてくる。

いわゆる「管理者」「超越存在」の下っ端。結構毒舌。主人公にしか見えない。


B:異世界における主人公の幼なじみ。胸は薄いが情けは厚いらしい。褐色で腹筋が浮いているので主人公ドストライク


C:暗殺者、マスク以外身に纏わない主義、タトゥがセクシーで巨乳なので主人公ドストライク、A暗殺に失敗

Dおばさん:Aの異世界における父の自称元許婚で敵対勢力のボス


E王女:000王国の王女で当面の主人公の標的。切れ長の目を持つ日焼けした巨乳腹筋の美人。




その13・成り行きですが生き延びましょう


「勇者って聞いてないです(キッパリ)」

「いや、そこはこう『そうだったのか!』と燃えてくれる所じゃ……」

「(伏せたまま)いまそれどころじゃないんです! そもそもまだ檻から出てません! っていうか銃弾と魔法飛び交う直っただ中にいるんですけれど!」

「グダグダわめかないのA! 男でしょ!」

「判ってる!」

(※銃弾飛び交い、防御魔法、攻撃魔法が飛び交ってる。森が燃えてシルエットで銃を構えている鎧姿の兵士、撃ちまくっている歩兵、騎士たち)

「そーですねえ、こちらとしても流れ弾で転生させた人が死んじゃったら困りますし……」

「じゃあせめて状況を説明して下さいよ!」

「あー、つまりですね魔王ションジー・ガー・イシャーというのはあなたのいた現実世界から侵略してきた人たちのコトです」

「…………まさか、商事会社、って意味じゃないですよね」

「そうですよ?」

「……んなベタベタな!」

「私らは自動翻訳されてますから気になりませんが、ションジー・ガー・イシャーというのはよく聞き取ったなーと思いますよ。何しろ日本人はウィスコンシン州だと思って発音してもアメリカ人には「上杉謙信(ウエスギケンシン)」と発音したほうが通じる、なんて話もありますから」

「無駄知識をどうも!」

(※銃弾飛び交い、防御魔法と発砲、攻撃魔法が飛び交ってる)

「防御せよ! 固めよ!」

(※前回ラストにラペリングで降りてきた美女が敵の陣頭指揮を執っている)

「突き崩せ! E王女を奪えばこっちの勝ちだー! 安心しろこのオレ、戦エルフのFがついている!勝利は目前だぞいけー!」

「あー、あっちの指揮官は片目のエルフですか、凄いなあ」

「褐色? 腹筋、巨乳ですか?」

「好きですねえ……いえ、残念ながら肌真っ白で貧乳です。腹筋はありそうですね。ボディアーマーから見える腕は結構逞しいです」

「なんでまたエルフが魔王の手先なんですか? ダークエルフには見えませんけど?」

「ダークエルフという種族はここの世界にはないです。エルフの肌の色は白、黒、褐色に、青、赤」

「え? 青? 赤?」

「いろいろありますなー」

「で、なんで彼女は魔王の手先に? あんなに美人なのに!」

「そこは判りませんねえ。この世界全ての人のパーソナルデータがあるわけではないんで。ただ、この世界のエルフは色々分かれてて、さっきFと名乗った彼女の属する戦エルフはあちこち渡り歩いてドンパチするのが大好きという戦闘種族ですから。利害関係が一致しているのか、報酬を受け取ってるのか、どっちかでしょうね」

「へー。じゃあ森エルフとか砂漠エルフとかもいるんですか?」

「います。砂漠エルフは褐色で戦エルフとも近い性分を持ってるようですね」

「うわー」

「ちなみに基本、この世界のエルフは女性ばかりです。男性エルフは貴重。三毛猫の雄なみですね。だからエルフは人間……えーとこっちの世界ではヒト族、あるいはヒトと呼ばれますが……と子作りもします。ドワーフとも、オークとも。ですが生まれるのは大抵エルフとなっていますね。ハーフエルフだらけといえなくもないですな」

「なんかすっごく都合が良いような…………うわああ!」

(※爆発して檻が転がる)

「B!」

「!」

「へー。Bさんを抱きしめて転がる檻の中守ってあげましたね。感心感心、さすが転生勇者」

「イタタタ……しにそ……」

「ば、ばかっ! いまのぐらい別に守って貰わなくっても!」

「うん、とは思ったけどやっぱり万が一考えると怖くって」

「…………ったくあんたはそれだから馬鹿にされるのよ!」

「そうなの? あ、そうみたいだねえ。そうかヒャッハーさんの世界だからナア」

「あんたの親父さんもそれを心配してるの! もう少し非情になりなさいよ!」

「うん、まあ……考えとく」

「ったく!」

(B、上着の隠しポケットから針金を取り出して解錠する)

「逃げるわよ! この混乱に乗じて王女様を掠うわ!」

「えー! まだ諦めないの?」

「バカ言わないの! あたしたちは盗賊。盗賊は諦めない!」

「そーだっけ? なんか僕の記憶じゃ諦めが肝心、ってことになってて君はそれでいつも教官に……いたたたたた!耳引っ張らないで!」

「いいから来る! あたしたちのコンビのこれからの重大事なんだから! 気合い入れなさいよ!」

「はい……」

「えーと、今の状況だと王女様は馬車の奥で指揮を執ってる感じですね。ただ相手の火力がバカにならない上に、向こうにも魔術師がいて防御魔法は優位状態にあります。間もなく均衡が崩れますな」

「てことは?」

「魔王側が王女を奪う、ってことです」

「そりゃまずい、助けなきゃ」

「掠わなきゃ、でしょ! 走って!」

「はいっ!」

「……完全に尻に敷かれて、その後NTR展開ですね、これは」

「いーから!」

「ロケットランチャー、前へ! 撃てーっ!」

(※爆発音)

「穴が開いたぞ、突撃!」

「させるかーっ! 爆炎魔法(デッドオアアライブ)!」

(※爆発音)

「うわ!」

「大丈夫ですか?」

「地面の味は苦いです……」

「しかしあれですね、あのFさん、人間じゃなくってゴーレムを率いてますねえ」

「え? 鎧つけた骸骨戦士(スケルトンウォリアー)とかじゃないんですか?」

「今見たらあれはゴーレムのコアと各種関節を守るために適当に鈑金鎧(プレートメール)着せてるだけみたいですよ?」

「じゃああのエルフ姉さん以外は撃っても大丈夫?」

「ってことになりますね」

「コアがうんぬん、ってことは、どこを撃てば止まる感じでしょう?」

「胸にある紋章核エンブレムコア部分が弾丸でなら抜けると思いますよ?」

「よっしゃ!」

(※A、立ち上がって銃撃、倒れるゴーレム)

「あんた、それまた持って来たの?」

「銃じゃないと倒せない相手がいた時を考えたの! さ、早く中へ! 王女様(さら)うんでしょ! 誘拐するんでしょ!」

「わ、わかってるわよ!」

「おー、早いですねえ。さすが若者」

「えーっと、ここじゃないわ、A! 外に戻るわよ!」

「え? なんで?」

「いいから!」

「従ったほうがいいと思いますよ? 彼女の考え、多分正しいです」

「え? 馬車の後ろ?」

「お高い人たちが立てこもる場所には必ずいざというときの逃げ道があるもんなの!」

「?」

「どうしました? 急がないといけないんじゃ?」

「いや、えーと……さっきのあのE王女様の性格からすると、裏から逃げるかな?」

「え?」

「まってB! 多分逆! こっち」

「あ、こらまて! なんで正面入り口にいくのよ!」


「わーははははは!」


 どかーん!


「わ。ゴーレムが全部叩き出された! うそっ!」

「あらあら」

「あ……やっぱり」


(わらわ)を暗殺しに来るとはいい度胸だ、お前等全員、この王の魔剣「ニュートン・キログラム」にて(しょ)す!」


「あ、やっぱり」

「なんで判ったんです?」

「あの腹筋と巨乳、それにみこやん先生が描きそうな吊り目……絶対にむっちゃ強いと」

「我々の観察計算よりも正確とは……うわ、E王女様ったらゴーレムやら武装兵やらを文字通りちぎっては投げちぎっては投げ……」

「さすがー!姫様ー!(※騎士団員)」

「よし、押し返すぞ!」

(※意気上がる騎士団たち)

「でもどーすんのよ! あんな阿呆みたいに強い王女様!」

「えーと、そこは多分……あっちがなんとかしてくれるんじゃないかな?」

「いい相手に出会えたねえ……じゃあ、オレもこんな無粋な銃なんか使わず、久々にコイツで行くよ!」

(※MK46を放り出し、巨大な剣をどこからともなく引き抜く)

「ほう、『エルフの王たる剣(バイドハーン)』のひとふり、『雷撃剣・ヘクトパスカル』か……となれば汝はFであろう? 戦エルフの勇者ともあろうものが、魔王に(くだ)ったか! 恥を知れ!」

「戦エルフは強いものと戦うのが本能! 善悪はお呼びじゃないんだよ!」


(※ガキーン!)


「うわっ!」

「さすが王の魔剣同士、打ち合うだけで中に込められた破壊の魔法が衝撃波になるんですねえ」

「B! 大丈夫?」

「これぐらい! で、どうするの?」

「王女でも傭兵でも、勝ったほうをボコって王女様を連れて行けばいい」

「なるほど!」

「煙か何か出せる?」

「もちろん!」


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