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ここは人類最前線8 ~攫われた勇者様を救え!~  作者: 小林晴幸
班別行動A班! ~鬱陶しい男神たち~
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23.突撃! お宅訪問 ~悪戯人形の作り方魔境式~




 筋肉むっきむきの巨体で毛布を頭から被り、ぷるぷる震える鍛冶神様(牛頭付)。

 この方が一心不乱に嫁人形を作り続ける事情は把握しました。

 何だか色々と、別居中のお嫁さんに言いたいことが溜まってそうですよね? それでも口に出せないから、募り募ってこんなことになってるんでしょうけれど。

 美の女神は今にも勇者様を害そうとしているのかもしれません。

 そのことを話せば協力は得られそうな気がします。

 ですが、私達は真っ直ぐ話すことを少し躊躇していました。

 何しろ、目の前にいるのが嫁への愛憎を(こじ)らせた牛男です。

 うっかり話運びに失敗して勇者様を、妻を奪った間男認定されてしまう可能性も否めない。それで敵視でもされたら堪りません。

 正直、この繊細(笑)な牛男が相手では、何が地雷か測りかねます。

 だからといって酒神様に説得を担当してもらうのも、鍛冶神様側に視点が偏り過ぎて心配になりますし。

 どう説得したものか考えあぐねていると、うちの御先祖様があっけらかんと言っちゃって下さいました。

「勝負すりゃ良いじゃん」

「勝負、ですか?」

「そう、神に意見を押し通す。その伝統的な手順が神の試練を超えることだって言ったろ。そんで相手に認めさせれば、要求の一つや二つごり押しも簡単だ。ついでにそれが面倒だから倒してねじ伏せて押し通るっつったのはお前らだろ」

「ですが、勝負といっても……」

 私は、チラリと鍛冶神様を見ました。

 目が合い、身を竦める鍛冶神様(半分毛布の中)。

 ……アレと勝負とか、成立するんでしょうか。下手したら私達が一方的に虐げてる図式になりかねないんですけど。

 別に勝負の手段は戦闘に限る訳じゃありませんが、あの様子じゃ何で勝負を吹っ掛ければ良いかもわかりません。

 ですが、そこで酒神様のお声がかかりました。


「よし。んじゃこうしよう。お前らが鍛冶神(ブラザー)が唸るくらい素敵なお人形☆を作れたら要求呑むってのはどーだ? 嫁モチーフの精巧な人形を見たら、流石に鍛冶神(ブラザー)も歩み寄ってきそうだし」

「鍛冶の神様に物作りで挑めとか、あなた馬鹿ですか?」


 おっといけない! うっかり素でモノを言ってしまいました。

 でもうっかり本音を言ってしまうくらい、とんでもないと思ったのです。

 物作りは鍛冶神様の真骨頂。そこに対抗するとか、この面子じゃ…………

「あっれ? 前にリアンカちゃん、陛下と一緒になって短時間ですっごい陛下そっくりな人形作ってなかった?」

 ……ヨシュアンさんが、何やら余計なことを思い出しました。

 言われたことに、心当たりはあります。

「そうですね。一見して本人以外に見えない、とても見事な出来栄えでした」

「そうそう、陛下のあの麗しのご尊顔を忠実に写し取ったってだけで快挙だよ。たくさんの芸術家が讃えて泣くね!」

「………………その人形を、仕事をサボる際の目くらまし用身代わり人形としてお使いにならなければ、私も素直に讃えることが出来たのですが」

「あー…………そういやそんなこともあったっけ」

 ヨシュアンさん、完全に余計な記憶を掘り返してくれましたね……! 今ここでりっちゃんの怒りが再燃したら、主犯のまぁちゃんがいないせいで私に説教が集中するのは目に見えているじゃないですか。

「あんな精巧な人形、実際にどうやって作ったものなのかと実は俺、ずっと気になってたんだよね! リアンカちゃん、ここは一つ!」

「作り方……って画伯? そんなもの気にしてどうするんですか」

「え、趣味の世界」

「……女の子のお人形作って売るんですか? 等身大は流石に気持ち悪くてやめてもらいたいんですけど」

「あは☆ リアンカちゃんが俺のことどう見てるのか如実にわかる台詞だよねぇ」

「それに作るにしたってまぁちゃんがいないですし……っていうか画伯、否定はしないんですか?」

 あのお人形はかなり邪道な方法で作成したものです。

 作るにもまぁちゃんにたくさん助けてもらったんですが……私はその場の顔ぶれを、くるりと見回しました。

 ……そういえば、この面子を総動員したら再現できそうですね?

「作っても、良いですよ。ただし皆さんが力を貸してくれるなら」


 ――こうして、私達の人形作りチャレンジが始まりました。



 本物そっくり☆人形 作成手順

  材料 ヒトニマンドラ

「……リアンカちゃん、ヒトニマンドラってなに?」

「特別な栄養剤(・・・)で育てたマンドラゴラの亜種です。乾燥させてあるので、水で戻して使わないと」

「特別な栄養剤ってなんだ、リャン姉」

「ドッペルゲンガー」

「……え?」

「ですから、ドッペルゲンガーですってば。正しくはドッペルゲンガーを細切れにして溶解した末に色々混ぜた栄養剤です。これ(・・)を一定量以上取り込ませて育てたマンドラゴラから品種改良した亜種をヒトニマンドラって呼ぶんですよ」

 本来なら様々な薬効を持つマンドラゴラですが、亜種である筈のヒトニマンドラには殆どそれら特別な効能は引き継がれていません。いえ、一部の毒素は継承されていますけど。

 ですがヒトニマンドラの真価は、効能ではなく性質(・・)に見出すことが出来ます。

「ヒトニマンドラはですね、独特の習性を持っていまして」

「独特な習性? 植物で習性っていうと……食虫植物みたいな?」

「ちょっと似てますね」

「似てるの!?」

「ええ。ヒトニマンドラには、植物というには異様な……擬態する習性があるんです」

 元は何百年か前のハテノ村の薬師が、戯れに与える肥料を変えてマンドラゴラの適した育成方法を研究していたのが始まりだそうですが。

 どんなお茶目な遊び心を発揮したものか、変わり種の肥料まで検証過程に交えちゃったらしく……イロイロ与えるモノを試した結果、爆誕したのがヒトニマンドラ。

 最早大元のマンドラゴラとは別物に進化しちゃったようでして。

 最適な適正環境以外では細々とか弱く小さな苗のままなんですが、自身の育成に適した環境が整うや否や周囲の魔力を吸収して爆発的な勢いで成長します。ここまでは魔境の植物ではあまり珍しくありません。

 ですがヒトニマンドラには最終形態に成長する為にどうしても必要な因子があります。

 それは一定以上の質量を持った他の生命体。

 ヒトニマンドラには近くにいる生物を模した姿に育つ習性を持っています。目的は『動物性の栄養素(エサ)』の確保……何らかの動物の姿を真似ることで、種々様々な理由から接近してきた生命体を絡め取り、養分にすること。理由からしてまさに擬態って感じですね。獲物を逃がさない為に亜種と化しても生物の束縛に流用できる毒素が残っている辺りに執念を感じます。

「えーと、そんな植物を用意するってことはまさか……アレって人形じゃなくって植物だったの!?」

「いえいえ、植物の鉢じゃ『作った』とは言えませんよ。それに擬態はしても色がおかしいのでそこまで人間の目は誤魔化せませんから。ただ、この擬態の習性を利用して材料にするだけです」

「材料ってどんな風に使うのさ」

「――はい、って訳で、ここで画伯の出番です!」

「…………ん?」

 私がパッと両手を広げて言うと、画伯はきょとんと首を傾げました。

 ……さっき、お手伝いしてもらうって言いましたよね?

「えっと、何やるの?」

「ヨシュアンさん、りっちゃん、リリフ……三人とも、確か光属性でしたよね?」

 ヨシュアンさんは複数の属性を持っていますが、その中に光属性が含まれていたはず。それから光竜であるリリフは言うに及ばず、りっちゃんは一族の特性として光属性に特化していたと記憶しています。

 そんな三人に、私からお願いです。

「確か光属性って……魔法で幻覚作るのも得意でしたよね。虹の応用で」

 つまりはそういうことです、はい。

 有能な魔王のお目付け役と軍人(兼エロ画家)さんは、察しの良さも抜群でした。

 私が言わんとしているところを正確に読み取り、画伯はニタァと微笑みました。美少女としか言えない(ツラ)のせいか、可愛くしかなりませんでしたけど。

 画伯が悪い顔をしても、それは悪人面ではなく小悪魔美少女面です。

 早速とばかり、持参していたらしい小さなスケッチブックと絵筆を構えます。それどころか簡単な色が付けられるよう、色鉛筆まで準備されていました。……天界に殴り込みするぞーって時に、この人は何を持参しているんでしょうか。荷物は厳選しろってりっちゃんが口を酸っぱくして言っていたのに、蓋を開けてみればコレです。いえ、大変画伯らしくはあるんですけど。

「それじゃ、俺が幻覚のデザインを指定するから、リーヴィルとリリフちゃんは俺の補助ね。今から絵を描く。それに合わせて力を貸してくれ」

 そう言いながらも、画伯の腕は霞んで見える程の速度で絵を描き上げていきます。それはもうスケッチと呼べる代物を超えていました。

 前に画伯が見た時も試合の観客席からでした。

 ……いえ、女神様の美貌は割と遠くからでもはっきり確認できましたけど。

 それでも、一応絵姿に違和感がないか酒神様に確認していただいて。

 大丈夫とのお言葉をいただき、三人が画伯の絵に従って幻覚を練り上げます。

 その間に私はロロイに水を出してもらって、ヒトニマンドラの苗を復活させることとしました。

 おっと、重要な頼みごとを一つ忘れていましたね。

「ロロイ、ロロイ、魔力を練り込めた氷って作れる?」

「リャン姉、誰に言ってるの? 俺、水の竜なんだけど」

 それくらい簡単だと、自信ありげなロロイの言葉。

 ……と、同時に怪訝そうな目で見られました。

「だけど、どうするんだそんなもの。魔力を込めると、術者が命じるか、術者より格上の者が魔力を破るかしないと融けない氷になる」

「それで良いのよ」

 私が何をしたいのかと、疑問符を浮かべながら。

 それでも私が望むならと快く手を貸してくれるロロイは、大きくなっても良い子です。

 ……ちょっと背が伸び過ぎて、頭を撫で難くなっちゃいましたけどね。

 って、なんでそれで嬉しそうなの? ロロイ???


 それから、画伯が描き上げた無駄にセクシーな姿の女神様が幻影として周囲を囲い。

 幻影に囲まれる形で置かれた鉢植えの上には……近くの『生物の姿』に擬態したヒトニマンドラが大きく育ちました。

 人間とほぼ同じくらいの大きさの、どこぞの某女神そっくりに擬態した艶姿で。


 ちなみに画伯の描いた絵は、下着姿でした。


 いや、後で上に服を着せかけられるよう下着姿で!って指定したのは私なんですけどね?

 画伯……そんな無駄に色っぽく際どい下着にする必要、ありましたか?

 女神様(幻)の着用している下着は、画伯が最近嬉々として研究していた――人間国家の、最先端のエロ下着そのものでした。

 いや、違う! 良く見たら画伯の研究成果なのか、先日サンプルに見せてもらったものよりも数段階エロく可愛く危ない代物になっている! これもうむしろ、ただ裸でいるより恥ずかしい格好ですよ!? こんな卑猥物披露されるくらいなら最初から裸でって指定すればよかったとうっすら後悔しました。いや、裸は裸で問題大有りですけどね!

「ちょ、これ誰を悩殺するつもりなんですか、画伯ー!?」

「え? 鍛冶神様でしょ」

 納得しました。

 ああ、うん……そうですよね。

 こんな男の妄想(ユメ)詰め込みました☆みたいな下着姿突き付けられたら、いくら繊細でびくびくおどおどした鍛冶神様だって男には違いないんですし……きっと悩殺されちゃいますよね。

 ……そんな下着姿まで忠実に再現したお姿で育っちゃった、なんとも卑猥なヒトニマンドラ。

 ごめんね……純粋に成長したかっただけだろうに、そんなモザイクだらけにしないと人前に曝せないような卑猥な姿にさせちゃって、ごめんね。ヒトニマンドラ……!

 私の同情を一身に集めながら、鉢植えの上では不思議な植物が「うっふん❤❤❤」って効果音が聞こえてきそうな堂々たる姿を誇示しておりました。うん、その誇らしげに胸部を強調した姿、地味に見る者の心を抉りますね……! なんか、「うわ、見ちゃった……」っていう気持ちになります。

「それでこれからどうするの、リアンカちゃん」

 立派に(直視できない姿に)育った、不思議植物。

 もうこの段階で遠くから毛布に潜ったまま鍛冶神様がチラッチラッとこっちを見ている気配がするんですが。

 もうこのまま献上しちゃっても良いような気がしないでもないんですが。

 でも、まあ……一応、ここまで来たら最後まで進めましょうか。

 昔の偉い人も初志貫徹って言っていますし。

 という訳で、人形制作は第二段階に入ります。

「ロロイ、ロロイー、それじゃあこの哀れなヒトニマンドラさんを凍らせちゃってー。びしぃっと氷柱になっちゃう勢いで。あ、さっき言った通り、魔力を練り込めてね。何が何でも融けない様に」

「了解だ、リャン姉」

 本当は、粘土とかの方が良いんだけど。

 この溶岩地帯で粘土探す方が面倒なので……いえ、もしかしたら鍛冶神様が持っていたかもしれませんが。でもやっぱり面倒なので。

 ロロイに速攻でヒトニマンドラを融けない氷に閉じ込めてもらい、ヨシュアンさんに内部の植物の部分だけが燃え尽きる様に内側から焼いてもらいました。

「――よし、これで『型』が完成です!」

「うわぁ。なんかここまでやると、何がしたいのかわかってくるね」

「道理で精巧な人形が出来る筈です」

「うん、大人二人の呆れ眼なんて見えないかな! それじゃあ最終局面ってことで……」

 中身に流し込むのは、特殊な……『謎の液体X』です。

 製法は門外不出。ハテノ村の薬師に代々受け継がれる謎製法で作成された謎の液体……材料はイソギ……いえ、なんでもありません。材料は秘密です☆

 手持ちの分の作成は自分でしたんですが、なんであの材料をあんな作成手順で合成してあんな汁が出来上がるのか謎で仕方ありません。製法を開発した人も謎だったらしく、そのまま名前になったくらいですし。

 元は偶然の産物のようですが、イロイロと使い道があるので代々製法をハテノ村の薬師の間で受け継いでいます。

 『謎の液体X』は通常時はなんてことない液状ですが、一度熱した後で急激に冷やし固めると独特の弾力を持った固形状の塊となります。

 液体の内なら形状にも自由度があり、加熱することで成形し直すのも簡単。

 手持ちの量じゃ少し足りませんでしたが、そこは混ぜものをすることで誤魔化しました。

 さて、後は冷やし固めれば第二段階の終了です。

「中々良い出来じゃないでしょうか」

「うん、そうだね。下着も髪の毛も境なく全部同じ色で不気味だけどね……」

「これから着色です。人肌を塗るのは慣れてますよね、画伯?」

「この面子で、ソレで俺の右に出る奴はいないぜ☆」

「という訳で人形の下地を塗って下さい。サルファ!」

「はいはーい♪ わかってるよ、リアンカちゃん! ふ……っこの化粧セット一式が役立つ時がやってきたぜ☆」

「そうですね、サルファそれ以外に荷物ありませんしね。活用できる機会があって良かったですね?」

 化粧道具一式が詰まった鞄から、私には用途不明の種々様々な筆をずらぁっと取り出して構えるサルファ。その姿がちょっと様になっているのはどうしてですかね? こいつ、化粧師じゃなくって軽業師でしたよね……?

 少々釈然としないモノを感じつつ、私とりっちゃんは別の支度があります。

 ……人形とは言え、まさか下着姿のまま提出とかあり得ませんよね?

 下手したら神への冒涜に引っ掛かります。いえ、作ってる時点で女神を冒涜する気は満々ですが、万が一にでも鍛冶神様の御気分を害す訳にはいきませんから。もしも鍛冶神様が勇者様程とは言わないものの、ある程度の貞操観念をお持ちでしたら……下着姿の女体人形(しかも嫁)なんて贈られて怒る可能性がなくはないかな、と。

 ……さっき、とっても気になってる様子で毛布の隙間からチラッチラッこっち見てましたけどね! 私は知っています。

 まあ、何はともあれそんな訳で。

「私達はお人形に着せつける衣装の製作です! 三着くらい作っておきたいですね(着せ替え機能)」

「衣服一体型の人形にした方が手間も少なかったのでは?」

「それだと布地が揺れないから不自然なんですよー。人の目を騙すくらいの人形にしたいなら、衣服は後からちゃんとした物を着せた方が自然です」

「なんですか、その無駄に細かいこだわりは……理には、適っていますけれど」

 という訳で、私とりっちゃんのお裁縫が出来る二人でせっせと女神人形の服を縫いました。相手が女神を模した人形だと思うと、つい雑な仕上がりにしてしまいそうで(精神的に)一苦労です。

 リリフとロロイは私達の周囲をうろちょろしながら全体の補助に回り、せっせとそれぞれが………………無駄な職人根性を発揮して、必要以上にこだわりまくりました。


 そして出来上がったモノは……


 …………………………素材(モデル)に不服は残りますが、それにさえ目を瞑れば最高の出来上がりといっても良いと思います。

 それぞれが全力で得意分野を活かした、納得の出来栄えでした。


 ……ちょっとばかり遊び心が弾けて、変な衣装も混ぜちゃいましたけど。

 新妻エプロンとか、メイド(ミニ)とか、かつて勇者様が試合で戦ったマジカルな爺さんの衣装とか。


 なんだか見ているだけで精神面がガリガリと削られていきそうです。

 でも私達よりも、こんな人形作られた女神様の目の前に突き付けた方が精神面への攻撃(アタック)になるかも……?

 そう、しかもこの人形を顔面偏差値が残念な地上の男性にばら撒くとか言ってみたりしたら、どんな反応が……?

 そんなことをしみじみと考えて、私は皆に言いました。

「もう一体作りましょうか!」

「「「何故に!?」」」

 仲間から疑問の返事が返ってきたのも当然だ、と。

 一時間後、正気に戻った私は思うのでした。





 みんなで力を合わせて共同制作!

 それで出来上がったのがコレっていう……。


リアンカ「宴会芸ver.メイクのヤツとかも良いですね!」

サルファ「ええ? それって赤マルほっぺにおちょぼ口とか? 顔面白塗りの麿眉でー? バランスが難しいんだよなぁ、アレ系」

リーヴィル「貴方がた本気で作る気ですか!?」


ヒトニマンドラ

 品種改良の末、人為的に生み出されたマンドラゴラの亜種。

 成長過程で近辺にいた生物に擬態し、獲物(エサ)を誘う習性をしている。騙されてうっかり近付くと幻覚作用と麻痺成分のある芳香を放ち、獲物を養分とするらしい。

 しかし花の部分を蕾の内に切除してしまえば、ただ生物に擬態するだけの無害な植物と成り果てる。

 品種改良した薬師がハテノ村の村人や魔王城の魔族に擬態させまくって遊んだ結果、この名前がついた。

 根っこはちょっと栄養価が高い野菜止まりの効能しかないが、根の部分だけ切り落してしまうと普通のマンドラゴラと見た目的には区別がつかなくなる。

 ニンジンにブロッコリーとパスタの茹で汁を混ぜたような味がする。


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