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「……うん?」
なんだか前世で馴染み深いワードが出てきたな。
「それって爆弾が作れるってことでしょ? 強くない?」
「それが、その……まだ上手く扱えなくて。あ、でも大丈夫です! 急に爆発したりはしないので! ちゃんと導火線があって、それが燃え尽きるまでの猶予はありますからっ、もし発動しても、あの、ちゃんと離れたところで爆発させるのでっ」
「あっ。そういうね。そっか」
スキルには習熟という概念がある。使えば使うほどに加減ができたり、できることが増えて強力になる。僕も昔は紙を切ったり繋げたりするのが精一杯だったのを、娯楽のなさに飽きてひたすらスキルで遊んでいた結果、ようやく今のレベルまで使いこなせるようになったのだ。
ただ、最初から加減ができるスキルなら別として。爆発するようなスキルを子供が持っていたら、そりゃ習熟できるほど使わせるわけにはいかないだろう。
危なくて使えない。使えないから危ないまま。結局は堂々巡りだ。
「まあ、うん、分かった。大変だったね」
労わる気持ちで声をかける。
イリアは叱られるのを怖がる子どものようにおずおずと僕を見上げている。
「……ご迷惑、ですよね?」
「いや、別に。急に爆発はしないんでしょ?」
「は、はい! ちゃんと猶予があります! 早めることできますけど!」
「うん、早めるのはやめてね。勝手に発動したときはすぐ教えて」
すぐ爆発しないなら、まあ大丈夫だろう。安全装置がついてるなら使い道はある。何より爆弾って、なんかこう、男心にぐっとくるんだよね。
「あの……ありがとうございますっ。わたし、頑張ります」
「うん、よろしく。それじゃ、今日はこの四人で迷宮探索をしよう。目標は支配者のウォーリア・ゴブリンの討伐。でもまずは肩慣らしって感じで、ゆっくりやってみよう」
三人が僕を見て頷く。
「……というか、流れで僕が仕切ってるけど、いいのかな」
「もちろんです!」とミド。
「あたしは不満ないわ」とクロエ。
「リーダーはトモス様でよろしいかと」とイリア。
多数決で視線と、僕がリーダーを務めることになった。未来ある娘さんたちの保護者か、気をつけねば……と責任も重大だった。
「それじゃ、行きますか」




