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痛みに理由を求めては
自分の存在が希薄になっていく
わたしはそのたびに
手首を傷つける
痛み、傷、死の恐怖
生きたいのか、死にたいのか
それすらも曖昧で
でも刃物の冷たさは
わたしを正気に戻してくれる
わたしには勇気がないのだ
手首を傷つけ
その一瞬の感覚や感情に 溺れているだけ
もしわたしが
人に優しくできるなら
わたしの人生は一瞬で
華やかになるのかしら?
そんな想像もしてみるけれど
自分を変えられるほど
わたしは強くないのだと悟るだけ
そしてまた
わたしは わたしを傷つける──




