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目を閉じる
目を閉じれば、つまらぬものを見なくて済む
考えるときは目を閉じているもの
自らと向き合って答えを知ろうと取り組む
まわりのつまらぬ物事のひとつひとつに
いちいち反応したくない
それらの何が愉しいと言うのか
どれもこれも自分には縁のないものたち
そんなものになんの価値がある?
そのような幻想に、つまらぬ世事に
わたしは振り回されるつもりはない
ことさらに正しさを唱える者の
なんと薄気味悪いことか
そのような方便は、まったく信義に耐えない
偽りばかりの詭弁を泳がして
自らそこで溺れてしまえばいい
心魂を腐らせた者には
理解という言葉も理解できぬということか
ああ侘しく、物憂いかぎりだ
そのような者は見るに耐えぬ
哀れに涙散る
人の世の儚さよ
悪意に満ちた魂が
自分は潔白だと謳う
ああなんと気味の悪いことか
だからわたしは目を閉じる
そのような腐り果てたものを
見なくて済むように




