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詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


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花を売る娘さん

 小さな花屋で、その娘は働いている


 一目見たとき、なんと可憐な娘だと


 それはそれは、まるで雨後に咲いた


 しめやかなる一輪の鈴蘭のよう




 可憐な娘さん


 店の奥にある椅子に座り


 うつむき加減に本を読んでいる娘


 その姿は一輪の石南花しゃくなげのよう




 ある晴れた日にその娘を見ると


 それはそれは、輝かんばかりの若さと


 あふれんばかりの瑞々(みずみず)しさをもって


 店先に立っていた


 凛々しく、清廉なふんいきをたたえて


 花屋の娘さんは、にっこりと笑う


 その笑顔は、たおやかなる紅梅のよう




 花屋が閉まっていたある日


 その花屋の娘さんは


 お店に帰って来るところだった


 黒い礼服を身に着けて……


 その姿は哀しげで、くらい横顔


 そんな娘さんは、まるで彼岸花ひがんばな




 長い、濡れたような黒髪


 赤い唇


 その姿に、わたしは死の予感と


 生命の隠された蠱惑こわく


 きつけられてしまった


 わたしの心には


 人には見えざる


 花が咲く

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