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集団墓地(合葬墓)
その地に眠るは
誰とも知らぬものたち
骨となり 灰となったものたちの
寄り合う墓地の丘には
互いに名も知らぬものたちが 集い合う
だがそれは 生前に知り合っていたとして
死の丘の向こう側では
なんの意味があるだろう
人生という演目から 演者を 死が連れ去った
その終幕後に
演者と観客の垣根など
なんの意味があるだろう
眠りに落ちた意識が
誰のものでもないかのように
個人としての意識も 捨て去ってしまうように
死のまどろみの中では
すべてがうつろで
正否もなく
ただ終演を迎えたものたちの
密やかな語らいのみが
いつまでも残響のように
人の心に残りつづけるだけ




