感謝と罪悪
ニュースで見た事柄を詩に。
災害の爪痕
線路は寸断され
列車はやってこない
静かな 長閑な 田舎町に
長い静穏な 表情のない 寂しい期間を経て
鉄道が再び 走りだす日
小さな町の人々が その試運転を見守る
ある人は線路のそばに立ち
ある人は線路に近い 自宅の庭から
ある人は畑仕事の手を休め
列車に手を振る
純朴な人々の想いが その行動に満ちている
それに引き換え わたしたちは
日々の生活に なんの喪失もなく
変わらずに すごしているのだ
あの人たちのように
小さな喜び 愛情 感謝を
誰かに伝えただろうか
当たり前の日々だと 思い込んで
それらを享受するのが 当然のように振る舞う
まるで でたらめな
心の腐敗、錆びつき
恥を知る ああ 恥を知る
そのような 純朴な感謝の念も 持てずにいる者の
あきれた振る舞いを
感謝もせずに
当たり前のように 人を値踏みするような
恥を欠いた振る舞い
そのひとつひとつの 行動 態度が
自らをどこまでも 貶めている




