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己に無知なる人
自分の見方が正しいのだと
わたしの感じ方が正しいのだと
いつも自分を中心に考える
それを無知という
その結論が正しいと
なんびとに伝えるのか
どのような作為的な言葉で?
己の本性を隠した偽りの言葉で?
人は本質的に己を知らぬもの
人は己に無知なもの
それを理解してはじめて
己の無知を遠ざけられる
ゆえに自分が正しい訴え
わめきちらすものは
まったく信用に足らない
そうしたものが語る言葉には
虚偽と欺瞞が満ちている
* * * * *
心理学や哲学をかじるとわかる、あれやこれやについて詠った詩。
言葉は他人に伝えるものだけれど、それを使用している人間は本質的には、自分自身を理解していないもの。そしてその言葉によって自分が自分の言葉で「操られてしまう」ことも。




