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詩集 ~世界とわたしと、人々と~  作者: 荒野ヒロ


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地蔵彫り

 年月としつきながれゆき


 年末が近づく


 巷間こうかんにあふれる


 浮ついた気配


 おれには関係がないと


 昨日も今日も石を削る


 地蔵、地蔵だ


 地蔵を彫り出す




 小さな地蔵も彫った


 大きな地蔵も彫った




 ちまたは聖人の生誕だのなんだのと


 飾り立て飾り立て


 華やかにきらびやかにと


 祭だなんだと


 騒いでいる


 おれには関係がないと


 とにもかくにも石を削る


 地蔵、地蔵だ


 地蔵を彫る、彫りつづける




 おれが倒れるその日まで


 何百もの地蔵を彫りつづける




 あるやつがおれに言った


 一円にもならない地蔵を彫るなんてばからしい


 時間の無駄だと




 ああ、何を言っているんだ


 おれはおまえのために彫っているんじゃない


 おれはおまえのことなど知らんし


 おれにかまうのをやめればいい


 おれは地蔵を彫るだけだ


 誰のためでもない


 金のためでもない


 ただ地蔵を彫りつづける


 時間が無駄だと言うのなら


 そんなことをいちいち言いに来る


 おまえのほうがよほど無駄だ




 おれは地蔵を彫っている


 ただ地蔵を彫るために


 世間の連中が聖人の生誕をどうしようと


 おれには関係がない


 電飾を飾ろうが


 七面鳥を焼こうが


 好きにしてくれ


 おれにはおれの規定がある


 おれにはおれの役割がある




 だが世の人よ


 たまには地蔵を思い出してくれ


 おれたちの生活を見守っている


 閻魔えんまの優しいまなざしを

己と向き合う者の話。

地蔵と閻魔さまの関係については、地蔵を使って人々の監視をしているとか、地蔵は閻魔さまの分身だとか言われているらしいです。

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