死地より愛を込めて ⑦
地下8階へ続く階段には真新しい足跡がいくつか在り、姉妹たち4人が降りていった事は明白であった。
「なあ、やけに嫌な気配がしないか?」
エルが難しい顔をして階段の先を覗き込む。
「ええ、私もそう思うわ。何か変な感じね」
リースとエルが違和感を感じながらも、6人は地下8階へ降りる事にした。
「くっ!こいつはキツいな……」
少しでも離れるとお互いが見えなくなる程の闇雲に、6人は探索の足が思うように進まない。
「あ゛だっ!!」
伸ばした手の先が壁に触れ、電流の罠が発動した。
「すまん……壁に電気が流れてやがった」
リーダーは指の先に息を吹き掛け、数回振って体制を立て直す。
電気を浴びながら進んでいくリーダー達。
マッピングした地図だけを頼りに足を進める。
「あ、うわぁぁぁ!!」
やっとこダークゾーンを抜けた6人が目にしたのは、大量の飛行型モンスターの群れだった!!
空飛ぶ驚異 9
空飛ぶ驚異 9
空飛ぶ驚異 9
空飛ぶ驚異 9
「撤収!!!!!!!!」
リーダーの怒号に近い大声が辺りに響き、エルは直ちに脱出呪文を唱え始めた!
「詠唱の時間を稼げ!!」
リーダー、グレイ、フェリーが壁を作るように一列に並び、エルとリースを護り始める。
「……行け」
カリンが矢の先に特別な道具を付け、勢い良くモンスターの群れの中へ放った。
すると風を切る音が超音波となり、近くにいた飛行型モンスターはバタバタと地面へ落ちては苦しむ様に暴れ出した。
「いいぞ!」
リーダーが後ろを見ると、エルから眩しい光りが漏れ始めていた。
「脱出する!」
白い光が辺りを包み、6人は地上へと舞い戻った……。
「はぁ……」
リーダーから溜息が漏れる。
「いきなりアレはびっくりしたわ」
「金目の物は得られなかったが、次からは地下8階に行けるんだから十分だろう……」
リーダーの視線の先に、ダンジョンから出て来たばかりの兵を引き連れたデアスが目に入る。
デアスもリーダーに気付き、此方へ近付いてきた。
「失礼。その様子だと先程までダンジョンに居たとお見受けする」
「……ああ」
リーダーはこっそりダンジョンに潜入したのがバレていると思い、無駄な嘘はつかない事にした。
「ナデシコ様を見なかったか?」
デアスの表情はかなり険しい。『知っていることを全て吐け!』と言わんばかりの形相だ……。
「地下7階で会った。地下8階へ降りたみたいだが、そこから先は知らないな」
「何故止めなかった!!!!」
デアスはあらん限りの声を張り上げた。
怯えた城兵の視線がこちらへ向けられる。
「……女2人とホビットの男と一緒だった。姫様が望んで追いて行ったから別に止めはしなかったさ」
リーダーは冷静に事情を話した。
「探索隊! 行くぞ!!」
デアスは直ぐさま振り返り、兵を引き連れてダンジョンへ帰って行った……。
「けっ、知るかよ……」
リーダーはやり場の無い怒りを少しだけ漏らし、気持ちを切り替えた。
「よし!今日は終わりにして解散しよう! グレイもカリンも今日は色々とすまなかった」
リーダーは小さな袋に金貨を入れ、2人に手渡した。
「じゃ、俺は一足先に帰るぜ。姫様の事は城の奴等に任せるよ……」
リーダーはトボトボと1人で帰って行った……。
「ま、今日は飲む気には、ならんわな……」
エルも1人帰路へついた……。
「あの姉妹が心配じゃないの?」
リースの言葉にエルは足が止まる。
「ま、アイツらならそう簡単にはやられないだろ……」
エルは振り向くこと無く手を振った。
「だと良いけれど……」
……その後、幾多の犠牲を払いながらもデアス隊は地下8階の探索を続けた。
しかし、発見されたのは力尽きたコットンと、小部屋にあった塵の山が2つだけだった……。




