冒険者の意地 ⑤
戻ってきたエル。
暴れる女が2人を振り払い、エルに抱き付く。
「この女、高位呪文使って暴れやがった……」
部屋は無残に散らかり、本は燃え、テーブルは酸で溶けていた。
「疲れた、早く帰ろうぜ……」
エルの顔は生気を失っており、疲れ果てていた。
脱出呪文の光が全員を包み、瞬く間に地上へと戻った。
勿論サキュバスも一緒に……。
「じゃ、俺はこいつを城に突き出してくる。
後でいつもの場所でな!」
リーダーが足早にその場を去った。
「俺達は換金してくる。後で会おう」
グレイとカリンはボッタ商店へ……。
「じゃあオイラも……」
2人の後を追うフェリー。
「私も寺院へ戻るわ。それ、何とかしといてよね」
リースは未だに抱き付く女を指差し、寺院へ戻った。
1人残されたエル。抱き付く女の温もりが無駄に暖かい……。
「エル様!やっと二人きり!!
――――する!?―――かしら!―――なんてどう!?一度やってみたい事があるの!」
エルは負ぶさるように抱き付くサキュバスを引きずり、悲しくその場を後にした……。
「よっと、おまたせ!」
リーダーが努めて明るい雰囲気で、1人を除き昼間のメンバーが集まる酒場へと到着した。
この日はいつもより席が埋まっており、見知らぬ顔もチラホラと散開していた。
「エルはどうした?」
リーダーがグレイの隣に座り、ビールを注文する。
「今日は来ないわよ♪」
リースがにこやかに話しかけた。
その顔は憑きものが落ちたように爽やかだ。
「何でも、あの女に掛けた呪文が解けなくなったんだってさ」
「今ごろ家で頑張ってるんじゃない?」
人の不幸は何とやら、と言った感じでリースは酒が進む。
「これは換金した金だ」
グレイが袋をリーダーに渡す。
リーダーは中身を確認し、満足そうに全員に分配した。
「さて、捕まえたアイツなんだが……」
頼んだビールを飲みながらリーダーが切り出した。
「城のお抱え召喚士だったらしく、
城勤めに嫌気がさして逃げたそうだ。
口止め料含めてかなり貰ったぞ」
リーダーは自分の袋から金貨をゴッソリと取り出し均等に分配した。
「カリンとグレイには俺の取り分からオマケしとくな」
「ありがてぇ!」
「素直に受け取るわ。ありがとう」
2人は喜びの声を出し、懐に金貨をしまった。
「他にも色々あるけど、おいおい話そう」
まるで親睦会の様な雰囲気の中、反省会が行われた……。




