第四十五話 これにて一件落着です!
アフェリに騙されていた事を知って、良かったと笑うラテル。
その真意とは……?
どうぞお楽しみください。
玉座の間では、ラテル以外の全員が目を丸くしていました。
アフェリがラテル一行を騙していた事が明らかになったにも関わらず、ラテルは「良かったぁ!」と満面の笑みで言ったのですから、無理もないでしょう。
「お、おいラテル。『良かった』とはどういう事なのだ?」
いち早く冷静さを取り戻したソレイユの問いに、ラテルは笑顔のまま答えます。
「だってさ、ずっとソレイユもエトワルもリュンヌもぴりぴりしてたから、ものすごい悪い事してたのかと思ってたんだもん! だから安心しちゃった!」
「そ、そうか……」
「いや待てよ! 俺様達の旅の邪魔をしたんだぜ!? それを許せるのか!?」
勢いを失うソレイユに代わって、エトワルが続けますが、ラテルの笑みは崩れません。
「でも誰も怪我してないし、エトワルのお陰で一日ですんじゃったし、サンセルさん達の手伝いもできたし、悪い事ないよね?」
「け、結果としてはそうだけどよ……。おい、リュンヌ、何か言えよ」
「無理」
三人がラテルの笑顔に言葉を失った時、
「わあっはっはっはぁ!」
王様が大きな声で笑いました。
「いやはや勇者ラテル! 若いと思っておったが、これほど懐の広い者だったとは! アンシャンテ王の目は確かであったようだの!」
「え、あ、どうもありがとうございます……」
突然の大笑いと絶賛に戸惑うラテルをよそに、王様は上機嫌に続けます。
「そなたらには儂の持つ船の中で、少人数用でかつ最高の船を与えよう!」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「良い良い! ペパの種の礼と魔王討伐への投資としたならば、まだ足りぬくらいである! そうじゃ! この町での買い物は全て儂が持つとしよう!」
「何と……! ありがたい御言葉ですが、しかし……」
「いいじゃねーか。くれるっていうものはありがたく貰っとこーぜ?」
「賛成」
「ありがとうございます!」
「うむうむ!」
満足そうに頷いた王様は、呆然としているアフェリに目を向けました。
「そこな行商人」
「はっはい!」
「本来ならば国の法を詐欺に用いた上に、世界の悲願である魔王討伐を妨げた罪、極刑とて過大ではあるまい」
「は、はい……」
「勇者ラテルが許した以上、罪を減じる事は吝かではないが、罪は罪。罰を受けてもらおう」
「……はい……」
再び震えるアフェリに、王様はにやりと笑いかけます。
「そなたには海を渡った大陸で、現地の民と協力して共に新たな町作りを命じる!」
「えっ!?」
「町を完成させるか、勇者ラテルの旅に役立つものを手に入れるまで、他の場所での商売は認めぬ! 良いな!」
「あ、あたしが、開拓地の商売を、一手に……!?」
商売人として夢に見てもおかしくない大仕事に、アフェリの目に涙が浮かびました。
「アフェリさん!? あの、嫌だったら王様に僕からもお願いするから……」
「ち、違うんです……! ありがとう……! ラテルさん……!」
笑い泣きするアフェリに慌てるラテル。
その様子を王様も他の三人も、微笑ましく見つめるのでした。
読了ありがとうございます。
いよいよ船を手に入れ、旅は新たな展開を見せます。
次話もよろしくお願いいたします。




