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第三十一話 美味しいご飯は幸せです!

魔法の新たな活用法を見つけたと思ったらそんな事はなく、自分の浮かれっぷりに落ち込むラテル。

ソレイユとエトワルは、食事がそれを解消してくれると期待しますが……?


どうぞお楽しみください。

 宿屋の食堂で、ラテル一行は夕食の卓を囲んでいました。


「おいしー! やっぱり海の近くはお魚だねー!」


 生魚と生野菜の盛り合わせに、ラテルは舌鼓を打ちます。


「あぁ、そうだな」


 ラテルの正面に座るソレイユが頷きながら、気付かれないように安堵の溜息をつきました。


「ラテル、こっちの揚げたのも旨いぞ」

「いただきまーす!」


 ラテルとソレイユの様子を見ながらエトワルが差し出した揚げた烏賊の料理を、ラテルは笑顔で受け取ります。


「ラテルご機嫌。さっきは」


 リュンヌが先程の闇落ちしかけたラテルの事を聞こうとしたその時、


「ら、ラテル。次に食べたい物を選んでおいてくれないか?」


 と、ソレイユが献立表を渡しました。


「え、僕が決めていいの!?」

「あぁ、好きな物を選んでくれ」

「やったぁ! えーっと、どれにしようかな……」


 ラテルが献立表に夢中になっている間に、ソレイユはエトワルとリュンヌに事情を説明します。


「ラテルが水で身体を洗った後、火球の魔法で身体を温めた。それが大きな発見だと私に報告してくれたのだが、私が水を温めてほしいと頼んでしまって……」

「お前、それは……」

「ほぼ全否定」


 二人の責めるような口調に、慌てて小声の弁明をするソレイユ。


「わ、私はラテルの発想を高く評価したつもりだったんだ……。だから戦い以外に魔法を使う発想は他者に真似のできないものだ、と言ったのだが……」

「……あー。俺様最悪の場面で、魔法で水をあっためるって言っちまったのか……。悪い……」

「どちらも悪くない。強いて言えば運が悪い」

「そういう訳だからこの件は有耶無耶にしてほしい」

「わ、わかった」

「了解」


 密談が終わってもなお、ラテルは献立表を見つめています。


「お魚ばっかりだったし、ここはお肉かな……。でもここでしか食べられない物をいっぱい食べておくってのも手だよね……。うーん……」


 先程の件など既に忘れているようなラテルの様子に、三人は安心と共に微笑ましいものを見るような気持ちに包まれるのでした。

読了ありがとうございます。


闇「美味しいご飯には勝てなかったよ……」


新キャラを出す予定でしたが、それは次回という事で……。


次話もよろしくお願いいたします。



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