エピローグ
第2章完結です。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
◆◇◆◇◆ セリディア王国北方の地 ◆◇◆◇◆
「うわ~!」
広い平原を見て、僕は思わず声を上げてしまった。
ここはセリディア王国最北端に広がる平原だ。地平まで広がるほど大きな土地ではないけど、手つかずの自然が溢れている。エストリア王国の森も美しいけど、視界いっぱいに見える風景もまた綺麗だった。
これなら小麦も農作物も存分に作り放題だ。今まで飼えなかった牛を飼うのも悪くない。西に少し向かえば川もあるし、水源の確保も問題ないだろう。これでエストリア王国の自給率を上げることができる。そうすれば、国民の生活も安定するし、何より畑や牧畜がうまくいけば、雇用も生まれる。
この土地は未来のエストリア王国にとって、なくてはならないものになるはずだ。
「皇帝陛下、ありがとうございます」
「礼にはおよばぬ。そもそもお前が成人すれば、治めたかもれぬ土地だ」
セリディア王国の王族は成人になるとすぐに直轄地を与えられる。どこを与えるかは国王陛下の胸先三寸だけど、可能性がなくはなかった。
「いっぱいおいしい料理を作って、また陛下の舌を唸らせたく思います」
「こいつめ。我の舌を唸らせるのはそう簡単ではないぞ。だが期待しておこう」
「はい!」
返事すると、ここまで大狼になって連れてきてくれたアリアが僕の頬を舐めた。
「ボクのぶんもあるんだろうね」
「もちろんだよ、アリア。ボクは――――」
女王の料理番だからね。
7年前、長く続いたとある大陸の戦乱が終結した。
大陸の覇者となった帝国は、戦乱終結の立役者となった獣人たちにエストリアという国を与えた。多くの者が野蛮人の国と恐れた国に、1人の少年が現れる。
獣人の女王の舌を唸らせた少年は、後に料理番と認められ、獣王の国の料理長あるいは、女王の料理番と呼ばれた。
「ようこそお越しくださいました。女王より饗応役を仰せつかっております。女王陛下の料理番ルヴィン・ルト・セリディアと申します。今宵は存分に料理を楽しんでいってくださいね」
わずか6歳の小さな少年が、勇気と知識、そしてその料理の腕を持って、首も据わらない生まれたばかりの王国を、後に大国へと成長させていったというが、それはまだ先の話である。
第一部完結です。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。
そして、ありがたいことに書籍化することが決まりました!!
これも日頃応援いただいている読者の皆様のおかげです。
改めて感謝申し上げます。
詳細については、第2部が始まる頃にご連絡させていただく予定です。
さほど時間は空かないと思うので、どうぞブックマークはそのままにお願いします。
可能であれば、評価の方を入れていただけると嬉しいです。
引き続き拙作をよろしくお願いします。




