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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
10章 準備が大切、何事も

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第405話 オババさまの占い③繋がり

「なぜワシが人族ではないと?」


「わたしに人族かと尋ねられました。人族であればそんな問いかけはしないでしょうし、〝隠蔽〟が効かないのは他の種族であると思いました」


「ほう。隠蔽しているのか。あい、わかった。ワシもお主のことは漏らさぬゆえ、人族でないことを見逃してほしい。ワシだけのことではすまないのでな」


 種族がわかるとまずい何かがあるのだろう。お孫さんがいるんだものね、彼女を守るための秘密なのだ。わたしは誰にも言わないと約束した。


「じゃが、星見料はもらうぞ? これはどんなに爵位が上だろうが貧乏人だろうが、一律もらうことにしている。ワシの矜恃じゃ」


 わたしは7000ギルを机の上に置いた。もふさまは端に寄っている。

 ババさまは7000ギルを手にしてしっかり数えると、腰にぶら下げている袋にそのお金をしまった。


「星に導かれし迷い子よ、生まれと出身地を」


 伝えると、指をテーブルに3回打ち付け、何かに気づいたような表情になった。


「娘、カプチーノを知っておるか?」


「はい、学園の占星術の先生です」


「先日、何十年ぶりだったか、教え子のカプチーノと会ってな。星々から見事に干渉を受けないことなどあり得るのでしょうかと相談を受けた。娘のことだったようだな?」


「そうだと思います。星の加護がなさすぎるけれどと、励ましていただきました」


 珍しいネイタルチャートだと言っていたから、わらわらいるはずもなく、恐らくわたしのことだろう。


「教え子が間違ったことを言ったようだ、謝る。娘の生まれは確かに変わっているが、干渉を受けてないわけではない。どちらかというと逆だ。恐ろしいまでの干渉を受けているゆえに、ご破算になり何事にもとらわれていないように見えるだけだ」


 わたしは星々の干渉のことより、先ほどの命にかかわる〝呪い〟のことを聞きたかったが、ものには順序があるしと思って、話を遮りたい気持ちを抑えた。


『干渉を受けるとどうなるのだ?』


「娘、森の護り手はなんと申した?」


「干渉を受けるとどうなるのだ?、と」


「森の護り手は知っていると思うが、我らは何度も死んでは生きて〝生〟を繰り返す。その生の記憶を星々に還している。記憶を手放し空いたところに、星々が祝福をしてくれる。娘の核は異界からきて、初めての生まれ変わりだったのだろう」


 わたしは息を飲んだ。そんなことまでわかるの?

 それはオババさまが特別なのか、占星術師はみんな知っていることなのか。


「記憶の形状が違うのか、界を渡った初めての生まれ変わりで記憶は還されず、生の記憶を持ったまま生まれるものがいるという。テンジモノと呼ばれたりするようじゃ。記憶を還さずとも、星々は祝福を贈りたがる。娘は星々から祝福を受ける前に多くの祝福を持っていたから、星々の祝福はそれ以上は入らなかったのだろう。だから星々に全く祝福されなかったわけではなく、いくつもの祝福を持っておるぞ。そうじゃな、わかりやすいのは五感だ。五感は全て星々の祝福と言われておる」


 五感て、視、聴、嗅、味、触の感覚のことだよね。そうだったんだー。

 わたしも星々から祝福、もらえてたんだ!

 ……いや、喜んでいる場合じゃない。


「わたしのネイタルチャートで、異界からきた初めての核とわかったのですか?」


「やはりテンジモノであるか。いや、ネイタルチャートではそこまではわからない。ただあまりに特殊であるゆえ、ひとつの可能性を言ったのみ。ワシは娘が思うより遥かに時を生きておる。ゆえに経験で知ってきたことも多い」


「では呪術のことは? それはオババさまの経験ですか? それとも占星術師はみんな知っていることなのでしょうか?」


「呪術がどんなものかとは占星術師も知ることぞ。呪術だけでなく過去ありて過去にあったことを踏まえて、占星術が確立されてきたのだからな。禁じられるようになったものがいくつもあるが、過去にそれを使ったからこそ発展したこともある。それは占星術に限ることではない。魔法士も魔道具を扱う職種も浅いか深いかの違いはあれど、学び、踏まえていることだろう。魔力、スキル、ギフト、なんでも別個のように思えても、全ては繋がっているものじゃて」


 繋がっている……そうか。魔法向上に規制が敷かれ、禁止されたいくつかのことがある。けれど、例えば占星術も呪術なくしては語りきれたことにはならないのだろう。もしかしたら他の職種でも、どうしても外せないことが案外残されて伝えられているかもしれない。そしてそれは呪術や魔法だけじゃなく、神話や他の何かでもそうなのかもしれない。だって全ては繋がっているんだもの。


「よし、これで教え子の過失分は返したからな。さて、娘、星を見てやろう。何が知りたい?」


「先ほどの命にかかわると言われた、呪い返しのことを詳しく聞きたいです。それから呪術に関してご存知のことを」


「全く星見と関係ないではないか。が、あいわかった。娘は光魔法で呪い返しをしたのだな?」


「呪い返しというか。呪いを浄化させたつもりでいました。呪われたのはわたしの母ですが、呪術は消え去ったように見えました。呪術師でないと、光魔法では呪いは消えないのですか? 母の呪いは解けていないのでしょうか?」


「いや、娘の光の力なら、それにご存命であるのなら、母君の呪いは解けたことだろう。だが、呪術でなく、光魔法で浄化したというなら、浄化した娘自身に呪いがわだちのように残る。呪術が禁止されていない頃は、光属性の者は必ず呪術を習ったのだ。呪いを浄化する際に、呪術として返さないと自身を蝕むだけだからな。人族は愚かにも、物事の表面しか見ずに呪術に蓋をした。だから光属性の者が早く死に、また生まれにくくなったのだ」


 母さまの呪いは浄化できていたんだ。

 ほっとすると余計なことが頭をかすめる。

 一瞬、この人何歳?と思ってしまった。

 種族が違うから、とんでもなく長生きな気がした。遥かに長生きと言っていたのは本当なんだ。呪術が禁止される前、魔法が規制される前に、すでに占星術を仕事としているぐらい生きているんだ。

 そんなことを考えたので、少しだけ恐怖心が治り、落ち着いて尋ねることができた。


「残った呪いはどうなるんですか? わたしを呪うのでしょうか?」


「その通りだ。娘は呪いに蝕まれている」


 ステータスには、呪われているなんて出ていないのに?


「だが、聖なる者といるからか、恐らく進みは遅いだろう。呪いを返したのはいつだ?」


「6年前です」


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