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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
19章 レベルアップと北の聖域

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1147/1188

第1147話 オーランド滞在④宴

 騎士に再び呼ばれて、会場へと赴く。

 会場は正面に少し高く盛り上がったところがあり、そこに王族たちが座り込んでいた。厚手の絨毯は室に円を描くように置かれている。真ん中はステージになるようで空けてあるみたいだ。

 わたしたち来賓は王族たちの隣に座れということらしい。

 王族の横に案内された。


 夫人や王女たちのレートの丈は長いやつだ。当たり前だ。絨毯を引いたところにそのまま座り込むんだから。こんな膝上のスカートだと、足が丸見えになってしまう。

 つくづくパーニエを借りられてよかったと思った。


 王さまの隣がアダム。

 その隣が兄さま、わたし&もふさま。その隣がイザークで、わたしは守られた形だ。赤ちゃんたちはおネムなので、まとめて籠に入れている。


 王さまの掛け声で宴は始まった。

 第二大陸から訪れてくれた友人たちを歓迎してと杯を掲げた。

 音楽が奏でられる。

 タルのようなものに弦がひいてあり、爪弾かれると不思議な音を出している。

 同じくタルに生地を張って、太鼓のように叩いたり。

 渋めの音の演奏だけど、それはそれで耳に心地いい。

 新たに飲み物や料理が配られ、ステージ中央では、薄い衣をまとった踊り子さんたちが舞い始めた。


 お皿代わりに葉っぱを使っている。資料では読んだけど、どんな葉っぱだとそんなことが可能なのかと思っていたので、本物を見られたことが嬉しい。

 硬めの葉っぱで、大きく、耐久性もありそうだ。

 大皿から好きな具を自分の葉っぱに乗っけていって、全部混ぜて食べるんだよね。左手を使って指で摘んで食べるのも特徴的だ。

 イザークの横に来た王太子さまが具の説明をしてくれて、好きなものを取ることができた。手で混ぜながら指で食べるのはなかなか難しい。

 手を洗う桶が用意されていて、それをあまり汚さずに食べるのが上手な食べ方らしいけど、わたしの桶はすぐに水が濁ってしまった。

 先ほど着替えを手伝ってくれた頭の少女がその桶を持ち上げ、綺麗な水と交換してきてくれるようだ。


 味はあっさりめかな? アボカドみたいな脂?っぽい実を潰して繋ぎのディップ的に使っている。何かのお肉みたいのと山芋みたいなのを一緒に食べるのの味が好みかな。ケッシーという調味料が何にでも入っているし、お皿にもこんもり盛られていて、さらにかけて食べるみたいだ。山椒の実に近いかな。ポイントとして使うのは賛成だけど、こんなに入れ込まれると……味変したい。


 王子殿下たちがわらわらと寄ってきて、ドラゴンのことについて聞かれる。

 その答えを陛下や夫人たち、王太子殿下の大人組が聞いている感じだ。

 眠っている赤ちゃんたちを、好奇心塊の目で見ている。


 視線に気づいたのか、鼻息が当たったのか、緑龍ちゃんが目をぱちっと開けた。途端にミューミュー大声をあげたものだから、他の子たちも暴れて起き出す。わたしが見えてやっと安心したみたいで、パタパタと飛んでわたしのパーニエにひっついた。


「飛んだ!」

「大きな目だな」

「鳴き声可愛い!」


 成人してそうな王子殿下たちもドラゴンを身近で見た感想を言ってはしゃいでいる。

 それに対して夫人や王女殿下、侍女たち女性は、嫌なものを見るような目だ。

 うん、畏怖とかそっちではなく、嫌なものを見る目。

 ……そうか。それは考えていなかった。

 ドラゴンを忌み嫌う人がいるなんて。

 怖いのはわかるんだよ。けど、嫌いな虫を見るようにドラゴンを見る人がいるとは。

 だってこの大陸で馬のように走らせているのはギャンってドラゴンの小型化のような容姿だから。そこまで忌避があるとは思わなかった。

 けれど、何より現実。

 ここの女性たちはドラゴンがお嫌いのようだ。


 踊り子さんたちが舞いながらやってきて、王族やわたしたちに手を伸ばす。

 一緒に踊ろうということらしい。

 2度断ったけれど、さらに誘われ、仕方なくみんな腰を上げる。

 わたしはわざわざもふさまを膝の上に抱き上げて、踊らねーぞのアピールをしたのに、踊り子さんに手を取られた。断ったのに周りから拍手され、仕方なくもふさまをおろして立ち上がる。ブローチで止めてもらっているけれど、激しく踊ったら絶対ずるっとパーニエが落ちる気がするし、足だってよく見える。


 いくら前世でミニスカートを履いたことがあるといっても、こんな人前で頼りなげな衣装で知らない踊りなんか踊れない。

 踊り子の一番前で踊っていた美人さん、きつめのお化粧の人に連れられて、ステージへと。スッとする匂いの香水がふっと香る。

 美人さんがわたしに耳打ち。リズムに合わせて体を揺らしてくださいと。手を取って上に上げたらくるっと回って、と。

 アダム、兄さま、イザークは、すでに複雑なステップをこなしている。

 もふさまに引っ付いた赤ちゃんたちがひたすらわたしを見ている。

 仕方ないのでリズムに合わせて揺れる。


 ああ、やっぱり。

 揺れていると肩に回したパーニエがずれ落ちそうになってる。交差したところを掴んで衣装を直しながら揺れるけど、これは最悪パーニエが落ちそうだ。そしてレートの肩もずり落ちる。


 城の中だけど大丈夫だよね?

 わたしはそっと服全体をコーティングした。わたしが解除しない限り、肩からパーニエとレートがずり落ちてイヤンなことにはならない。魔力をそう使うわけじゃないけれど、王族のいる中で使うと何かしたとか言われたら面倒だ。


 こちらの国側には感知されなかったけど、赤ちゃんたちはわかったみたい。

 聖歌もだけど、わたしの魔力も好きみたいだからね。パタパタと5頭がわたしに向かって飛んできた。銀龍ちゃんはわたしの首に巻きつき、他の子は肩や腕に止まったけど、狭い上に揺れているので、それぞれ兄さまやアダム、イザークのところに飛んで行った。

 踊り子さんに手を取られ、くるりと回される。2回回転して、反対方向に一回転。うー、くらっとするね。

 コーティングしなかったら危なかったよ、この衣装。

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― 新着の感想 ―
忌避があったとしても国賓に向ける目じゃないでしょうに。王族なのに取り繕わないなんて王女以外も甘やかされてきたのか? 衣装のこともしつこいダンス勧誘も誰も気にしないってことは国ぐるみで貶めるつもりみたい…
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