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74 運命の赤い糸
そのヤクザは運命的な女性と出会った。
女が懇願する。
「ヤクザをやめて、私と一緒になって」
「カタギになって食っていけるかどうか……」
迷う男に女は小指を見せ、それを男の小指にからめた。
「二人は赤い糸で結ばれてるの。これは運命なのよ」
「赤い糸か……わかった。ケジメをつけるのでしばらく待ってくれ」
男は女との運命を信じ、カタギになることを決断した。
「約束よ」
「ああ」
二人は子供のように指切りをした。
一週間後。
男は組を抜けるケジメとして小指を詰めた。
晴れてカタギとなったのである。
アパートへ帰ると置手紙があった。
「お別れします。なぜか急に、あなたとの運命の赤い糸が切れたみたいで」
男は小指のない手を見つめた。




