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55 蜘蛛の糸1
ある日のことです。
お釈迦さまが蓮池の淵から地獄の底をご覧になりますと、そこには見覚えのある罪人の男がおりました。
その罪人の男。
現世では悪事ばかりを働いていたのですが、それでもたった一つだけ善いことをしていました。
山道を歩いていて、一匹の蜘蛛の命を助けたのです。
幸いそばの蓮の葉に、蜘蛛が銀色の糸をかけておりましたので、お釈迦さまはそれを地獄へと垂らし、男を助け出してやることにしました。
お釈迦様は蜘蛛の糸を手に取りました。
ところが蜘蛛の糸はからみ合い、ついには糸団子のようになり、それに腹を立てたお釈迦さまは糸団子を蓮池に放ってしまいました。
蜘蛛の糸はオシャカになりました。




