53/105
53 決まりて
千秋楽の夜。
この場所の優勝力士である雷電山の相撲部屋には、多くのテレビ局のレポーターや新聞社のスポーツ記者たちが詰めかけていました。
優勝カップを抱いた雷電山のとなり、そこには親方のほかに彼の婚約者が笑顔で座っていました。
彼女、なかなかの美人です。
記者の一人が祝福の言葉を贈りました。
「関取におかれましては優勝と婚約、このたびはおめでとうございます」
「ごっつあんです」
雷電山は満面笑みです。
「関取、まさに両手に花ですね」
「はい、ありがとうございます」
「それでやはり、彼女には関取得意の押しの一手で?」
「まっ、そうですね」
婚約者がとなりで答えました。
「いいえ、私の勇み足だったんです」




