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50 ワキ毛
ある北国の山奥深くに一人の雪女が住んでいました。
若くて美しい雪女でした。
「あー、なんでだろう」
真っ白な着物の袖をまくしあげ、鏡をのぞき見た雪女は、今日も深いため息をつきます。
彼女には一つ、だれにも言えない、とてもこまった悩みごとがあったのです。
彼女の悩みとは……。
それは雪のような真っ白な体に、まったくにつかわしくわない黒いワキ毛で、剃っても剃っても際限なくはえてきます。
これでは美しくてはかないという、雪女としてのイメージが崩れてしまいます。
雪女はワキ毛に向かって恨めしそうに顔をしかめました。
「あんた、ほんとやっかいなのよね」
ワキ毛が悲しそうにつぶやきます。
「そんなにケギライしなくても……」




