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38 スリの手口
ここはある都会の駅のホーム。
電車から降りた一人の女の腕を、あとから追うように降りてきた男がつかんだ。
女は伝説のスリ師。
男はベテランのすご腕刑事であった。
「あんた、なにすんのよ!」
女が叫んで腕を振りほどく。
「スリの現行犯で逮捕したのだ」
「スリだって?」
「ああ、電車の中ですった財布を出すんだ」
刑事は鼻息荒く女に迫った。
「財布だって? そんなの知らないわよ!」
「あきらめろ! この目で見たんだからな」
「だったら証拠をお見せよ」
女はホームで服を脱ぎにかかった。
結局。
証拠となる財布は見つからず、女はその場で無罪放免となった。
駅のトイレ。
「さあ、お出し」
女が手の平を広げると、そこにあった口が財布を吐き出した。




