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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第54話 準決勝

「……次の試合も、頑張りなよ」

「そこは頑張りなよじゃなくて、勝ちなよ、じゃないの?」

「私だって、そこまで無責任な発言は出来ないさ。

……次は、私達が勝つ」


試合終了の挨拶の後、大槻さんと一言だけ会話をしてベンチに戻る。大槻さんはあまり気落ちしていないように見えるけど、試合終了直後、ネクストバッターズサークルで項垂れていた姿は忘れられない。


神奈川のベスト4に入ったという喜びを実感したいところだけど、次の試合を観戦するために急いで観客席へ移動する。


この球場の2試合目は、Bブロックのシード校同士の戦いだ。部員数100人越えの古豪日大茅ヶ崎と、神奈川県一の強力打線を誇る横浜高校との戦いで、前評判では日大茅ヶ崎が3、横浜高校が7ぐらいの割合かな。


横浜高校はこれまで楽な相手ばかりだったから、全試合でコールド勝ちだったのかもしれない。そんな印象は、今日の試合で完全に崩された。


「クリーンアップが凄いね。3番の今藤(こんどう)さん、4番の筒井(つつい)さん、5番の倉持(くらもち)さんは、全員がドラ1候補か」

「下位打線も、よく打っています。7番の下鶴(しもづる)さんに、8番の古藤(ふるどう)さん、9番の松池さんの3人も打率が5割は超えていますね。他は概ね6割から7割前後」

「……その松池さん、134キロを投げているんだけど。神奈川って、130越えの速球を投げられる投手が多すぎない?」

「激戦区神奈川だからこそ、ですね。母数が多いので、その分凄い選手も多いです。それに神奈川最速の女、向中高校の渡辺さんは136キロを出してますよ。今日の第1試合で、向中高校は負けましたけど」


久美ちゃんが纏めたデータを流し読みすると、横浜高校の異常な強さというものがよく分かる。全員、絶好調の小山先輩以上の打率と長打率だ。ベンチ入りメンバーに3年前の全中覇者の姿も確認出来たし、記録員は最速127キロの変則左腕だ。


……日大茅ヶ崎対横浜高校の試合は、横浜高校が14対0で5回コールド勝ちを果たした。横浜高校が後攻だったので、4回までで14点を取っている。


決して、日大茅ヶ崎の投手が弱かったのではない。むしろ、全国レベルだったと言っても良いと思う。ストレートのMAXは128キロで、コントロールは良く、スライダーもシンカーも大きく曲がっていた。特に2種類のスライダーは、湘東学園だと絶対に打ちあぐねていた。ただ、横浜高校の打線が異常だっただけだ。


横浜高校の先発は松池さんで、5回までで13奪三振と色々とおかしい。外野に1球も飛ばないとか、外野手が要らないように思える。全試合で登板しているけど、試合自体が5回までなので疲れている素振りは無い。日大茅ヶ崎もこれまで何度かコールド勝ちをしているのに、1回戦かと思ってしまうような、圧倒的な力量差がそこにはあった。


一応、横浜高校対策の練習は1日だけ出来る。準々決勝と準決勝の間に、1日だけ休みが入るからだ。5回戦と準々決勝は連闘だったし、投手陣にとっては非常に助かる休みの日だ。しかしそれは、向こうにとっても連戦の疲れが取れるということで……。






「ありがとうございました!」

「ありがとうございました!!」


横浜高校との試合は、9対3で横浜高校の勝利となった。大野先輩は2回を投げて3失点、久美ちゃんは2回を投げて4失点、私は2回を投げて2失点と、投手陣は全員が点を取られた。アウト優先で守備にミスも無かったのに点を取られ続けたのだから、9失点は私も含めた投手陣全員の責任だ。


……4点を取られた4回裏は、久美ちゃんの気持ちが切れていればそのままコールドになるまで大量得点を許していたと思う。むしろよく、4失点で納まったなという印象だ。そして私も筒井さんにホームランを打たれたので、緩急を使えない投球に限界を感じた。


松池さんが135キロを出せるのだから、131キロのストレートは怖くないというか、慣れているのだろう。せめてカーブを同じフォームで投げられるようにならないと、今後も痛い目を見そう。


そして打線は、私のツーランホームランと小山先輩のソロホームラン以外で得点に結びつく攻撃は出来なかった。松池さんが私と全打席で勝負していても、8対7だったので追い付かない試合だった。……全ての打席でホームランを打てるかは、結構怪しかったな。


結局、離れすぎた総合力の差は埋められなかった。たぶん決勝でも、横浜高校が勝つかな。反対側の山を勝ち上がって来た統光学園も普通に強いけど、格が違い過ぎる。というか横浜高校は今年、夏の甲子園で優勝しそうなほどの勢いだ。


私の初年度の夏は、小山先輩や大野先輩の最後の夏は、神奈川県ベスト4という結果で終わった。甲子園まで、あと2つだったと言えば聞こえは良い。だけどその2つは果てしなく遠い道のりだと、全員が感じたと思う。






「あーあ。カノン先輩、負けちゃったか」

「うーん、準決勝で負けちゃうなら2泊3日の計画が台無しだなぁ……」

「ひじりんは、横浜高校に湘東学園が勝つと思ってたの?

まあでも、明後日まで泊まるでしょ?」

「もちろん。明日の横浜高校対統光学園も見たいし……明後日までごちになります!!」

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