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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第310話 準決勝

準々決勝の平塚高校を相手に、エースの優紀ちゃんが投げ、私が継投し、湘東学園打線が爆発した結果、18対0の5回コールド勝ちを収めた。仮にもベスト8まで駒を進めた県内でも強い方の高校を相手に、この点差は湘東学園打線の強さを感じる。まあ、私と1打席も逃げずに勝負したからね。私に4本もホームランを打たれたのだから、この点差は仕方ない。


そのまま次の日に準決勝があり、対戦相手は横浜高校。今年は有望な1年生が沢山来たらしいけど、春の大会で出せる子はいないみたい。そして2年生中心ということは、横浜高校は完全に下級生の育成にシフトしている。


歴史ある強豪校だと、ここまで露骨じゃないにせよ甲子園が無理な年だと判断すれば下級生の育成に力を入れることがある。まあ、横浜高校の2年生達は湘東学園の2年生達と張り合える程度には強いので捨てているのかは判断し辛いかな。



湘東学園 スターティングメンバー


1番 右翼手 高谷俊江

2番 二塁手 木南聖

3番 左翼手 伊藤真凡

4番 中堅手 実松奏音

5番 一塁手 江渕智賀

6番 三塁手 水江麻樹

7番 遊撃手 北条文乃

8番 捕手  梅村詩野

9番 投手  春谷久美



横浜高校の先発は、2年生の本田さん。去年の夏の南神奈川県大会で、6回裏に左のワンポイントとして出て来た投手だね。1年生で夏の大会の、3対2と1点負けている状況での登板だったのに、涼しい顔をして投げていたからマウンド度胸はあるタイプ。


変化球はあの時カーブとフォークしか投げてなかったけど、カットボールも投げるようになっていて来年にはエース番号を背負ってそうな左腕だ。4番には去年の夏の大会に1年生ながら代打で出ていた音坂さんが居座っており、完全に来年を意識したチーム編成になっている。


まあこのことは、夏の県大会でほとんどベンチに1年生を入れてこなかった横浜高校が、去年の夏の大会だけ1年生を3人も入れていたことから分かっていたことだけど。こうやって大切に育てられた上で、図に乗ってなさそうなところを見るに性格は真面目で、しっかりと練習に取り組んできたのだと思う。


今日はじゃんけんに勝ったので、後攻を選択。初回、マウンドに登る久美ちゃんは少し調子が良くない。先頭バッターに、カウント3-1とボール球が先行。


その後、ショートへ打ってくれたので北条さんが捌いてワンナウト。守備に関しては、身体能力が最も求められるショートを難なくこなす時点で内野はどこでもいけそうなんだよね。肩の強さ的に、サードも良いんじゃないかな。


続く2番に決め球のドロップカーブをライト前に運ばれて、ワンナウトランナー1塁。……やっぱり横浜高校の上位打線は強いというか、去年の夏の大会で優紀ちゃんの未完成ナックルを意識付けさせる詩野ちゃんのリードがなかったら、上手くは躱せなかったと思う。


しかしまあ、久美ちゃんも3年生になって1年の頃と比べるとかなり成長した。調子が悪くても、悪いなりに抑えてくれる。続く3番バッターの、町原さんにセカンドゴロを打たせると、ひじりんと北条さんが淡々と送球し、4-6-3の併殺に、町原さんは去年、2年生で唯一のレギュラーだったかな。横浜高校の現キャプテンで、背がひじりんや真凡ちゃんほどではないにしろ低め。おかっぱ頭で可愛いらしい感じの女の子だから、試合前から眼福だった。


1回表は0点に抑え、迎えた湘東学園の攻撃は高谷さんからだけど上位打線の1番2番が左打ちで、左投手は苦手な部類なんだよね。ひじりんとか左投手が相手だと露骨に打率が落ちるというか、2割は落ちる。


まあ最近の打率、右投手相手の打率が7割で、左投手相手の打率が5割だから十分。1番の高谷さんは初球から落ちる球に空振りをしていたけど、カウント2-2になってからファールを打ち、6球目にストレートを捉えてライト前へのヒット。続くひじりんはサードへの打球になるも、1番2番が早いからオールセーフの内野安打に。


ノーアウトランナー1塁2塁で迎えた真凡ちゃんが、センター前ヒットを打って湘東学園は先制。もうこれ私要らないんじゃないかな。1点を取ってノーアウトランナー1塁3塁となり、私が打球を場外に飛ばす。1番2番3番に出塁率の高い選手を集めて、4番5番の大砲で返すという至ってシンプルな打線は、上手く行けば相当効率良く点を取れる。


続く智賀ちゃんはセンターフライになるも、水江さんが四球を選び、ワンナウトランナー1塁で北条さんの打席。横浜高校の先発の本田さんは、既に疲れてそうだけど1年生には負けたくないのか気合いを入れなおしている。


そして初球、初見のはずのカーブに北条さんはバットを合わせ、セカンドの頭を超えるヒットを打つ。1年生離れしている打撃能力は、やっぱりスタメンで使いたくなるな。


今までの県大会の成績も、9打数8安打とチームトップクラスの打率だ。1位は私の10打数10安打だから抜かせないにしても、現段階で打率3位?来年には、4番も任せられそう。


ワンナウトランナー1塁3塁になって、打席には詩野ちゃん。最近は三振率が上がっているけど、四球も選べるし前の試合では長打も打っているからパワーはあるんだよね。まだ点を取れるかなと思ったら、本田さんが1塁へ牽制球を投げる。左投手だし、クイックは早い方だと思ったけど、牽制球も上手いなら盗塁は難しそうなピッチャーだ。


この牽制球で、1塁ランナーの北条さんはアウトを宣告される。中学野球の感覚でリードを取っただろうから、素早い牽制球のせいで戻れなかったんだね。まあ仕方ないと思いつつも、どう注意しようかなと思っていたら、北条さんが起き上がらない。


「……右ふくらはぎの裏やな。帰塁の時に、思いっきり地面を蹴ったんやろ」


……怪我だけは避けるようにしていたつもりだけど、管理が甘かったとしか言いようがない。むしろ今まで、こういう怪我がほとんどなかったことの方が奇跡的だったんだ。……本城先輩の脇腹の怪我とか、優紀ちゃんのデッドボール右肩骨折とか、風呂場で転んだ島谷さんとか色々とあったけど、走塁中の怪我は洒落にならない。すぐに病院へ連れて行ってもらうけど、今は試合中。私達は私達で、試合に集中しないといけない。


初回の湘東学園の攻撃は結局4点で終わり、4対0で2回表を迎える。ポジションを変更し、私はセンターからサードに、水江さんがサードからショートに、そして光月ちゃんに、センターへ入って貰った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 北条さんは将来有望だし高校入学即通用しちゃってるから春の段階で怪我でつまずいたのは逆に良い経験かも。部活に怪我は付き物だし怪我するタイミングに泣く子は多いからね。
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