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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第180話 2番最強打者論

夏の蒸し暑い日に、南神奈川県大会準決勝が始まる。横須賀港高校の先発は、もちろん長谷川さん。準決勝まで隠し通せていたこと自体、ある種の怖さも感じるし、向こうからも絶対に甲子園へ行くという意思を感じる。



湘東学園 スターティングメンバー


1番 左翼手 伊藤真凡

2番 一塁手 本城友樹

3番 三塁手 木南聖

4番 中堅手 実松奏音

5番 右翼手 江渕智賀

6番 二塁手 鳥本奈織

7番 遊撃手 鳥本美織

8番 捕手  梅村詩野

9番 投手  春谷久美



今大会での打率が良い奈織先輩を6番に上げて、打撃面で不調気味の詩野ちゃんが8番まで下がった。よって2番に本城さんを置くという、上位打線に厚みを持たせる打順になっている。


長打を量産出来る打者を2番に置くというのは、近年メジャーなどでも流行している。最強打者を2番に置いた方が良いという説もあるし、打率も長打率も良い本城さんを2番に置くのは間違ってない。


ただ1番2番3番がヒットを打って、4番がホームランを打つという構想は今でも間違っていない。1番から3番までの上位打線が良く打つチームであれば、4番に最強打者を置くのも良いと思うし、もしもこれが絶対的な間違いであれば、もっと早くに2番打者最強論や3番打者最強論が流行るはずだからね。


そもそも、こういうのは絶対的な正解というものが無いから議論が起こるんだと最近になって思うようになった。結局のところ、打線の理論はそれがチームに合致するか否かで正解が決まるかな。


詩野ちゃんの打撃不振は気になるけど、元々打撃に関しては波が激しいタイプだし、詩野ちゃんに関してはノーヒットでも守備で十分にお釣りが来るからスタメン落ちは100%無い。ベンチ入りしている捕手の坂上さんや原田さんにとって不幸なのは、詩野ちゃんが先輩だったことだね。


……たぶん詩野ちゃんが、チーム内で1番練習をしていないと思う。他の1軍メンバーが練習をし過ぎているから相対的に練習量が少なく見えるだけだろうけど、あの時に言った「才能が無かったら野球はしていない」という言葉に嘘は無い。


横須賀港高校対湘東学園は横須賀港高校の先攻で始まり、久美ちゃんが先発を務める。横須賀港高校はスクリューを投げる左投手が相手だった時の打率が低いようで、序盤はスクリューを中心に組み立てると言っていた。


ただ、その弱点は克服しているかもしれないから賭けにもなる。スクリューが通じるなら、スクリューを投げられる左投手が2人もいる湘東学園が有利だと思うけど……克服しているなら、私の登板するタイミングが早くなりそうだ。


「みっつ!」

「ぁい!!」



久美ちゃんは1番を三振に抑え、調子が良さそうだと思ったら、早速2番にツーベースヒットを打たれる。ライトの智賀ちゃんがサードへ好送球したのを見て、すぐに2塁へ戻る辺り、攻撃は本当に手慣れているというか、手強そう。


ワンナウトランナー2塁となり、センター前ヒットを打たれてワンナウトランナー1塁3塁。この場面で横須賀港高校の4番、武藤(むとう)さんに打順が回るも、湘東学園は中間守備を崩さない。


……こういう場面で、4番がスクイズをする可能性は考慮しておかないといけない。久美ちゃんのフィールディングは良い方だから、そう簡単には決められないと思うけど。


そして武藤さんの鋭い打球はレフトへ飛び、簡単に犠牲フライとなる。スクリューが苦手というのは、克服したのかたまたま打てて無かっただけなのか。久美ちゃんのスクリューは初お披露目のはずなんだけど、案外打たれている。


それでも大きな変化のドロップカーブとフォークボールを駆使して、5番を三振に打ち取りツーアウトランナー2塁のピンチは防ぐ。


1対0で、試合は1回裏へ。先頭バッターの真凡ちゃんがヒットを打つものの、本城さんはサードライナーでランナーは動けず。ワンナウトランナー1塁になって、聖ちゃんが左バッターボックスの1番前に立つ。


……あれは、全球カットするつもりだね。バッターボックスの投手寄りの位置に立った時の聖ちゃんは、カットの鬼になる。情報が少ないから、なるべく引きずり出すためかな。




南神奈川県大会の準決勝が2試合行なわれるため、超満員の球場では1試合目の1回裏から球場が騒めき始める。木南がどんな球にも食らいつき、追い込まれてから10球以上をファールで粘っているからだ。


ボール球にもバットを当て、ファールにさせる姿は投手である長谷川にとって小さな鬼に見えた。


(四球にも出来ないし、勝負するしか無いのだけど……これの次がカノンとか、湘東学園の打線がバグってるよ)


伊藤にも球数を放っている長谷川は、ここで木南に球数を割くのは得策ではないと理解している。理解しているものの、ここで木南を四球で出し、カノンを敬遠するのであれば、ワンナウト満塁で江渕に打順が回ることを危惧した。


(せっかく貰えた最後のチャンス、絶対に活かしたいし、甲子園のマウンドに立ちたい!)


ボールを強く握り、先程までより大きく落ちるフォークボールを投げるものの、木南は見逃し、フルカウントとなる。20球近く投げ、結果的に木南を四球で塁に出してしまった長谷川は大きく息を吐き、次のバッターを見据える。


打席には、カノンが立っていた。

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