表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/388

第133.5話 2軍試験

「凄い」と観客席に居た湘東学園野球部の1年生部員達は次々と呟く。誰かが手元にあるスマートフォンへ視線を落とせば、そこには今日の試合の結果が載っている。



3回戦 湘東学園対日大茅ヶ崎 18対0


打順 名前 打数-安打     内容

1番 伊藤真凡 4-3 ①右安  左安1 中安2④三ゴ

2番 梅村詩野 3-3  投犠  右安  右二1 中安

3番 木南聖  3-3  中安1 中二2 四球  左安

4番 実松奏音 1-1  四球  四球  四球  左安

5番 江渕智賀 4-2  二併  三振  左本4 左二3

6番 本城友樹 4-3 ②右安  右飛  中本1 左安1

7番 鳥本美織 4-3  左安 ③中安  左安  三振  

8番 鳥本奈織 3-2  左二2 四球  遊ゴ  右安

9番 西野優紀 0-0  投犠  投犠

  勝本光月 1-0          三直

  島谷浩美 1-0              三振



奏音以外の先発野手全員複数安打という記録に、もはや奏音だけ勝負を避ければ良いという打線では無いことを球場に居た偵察班は痛感する。日大茅ヶ崎は決して弱い高校では無く、むしろ昨年夏の神奈川県大会でベスト8という成績を残している中堅校の中でも上位に入る高校だ。


それを圧倒した上に、新しく木南や勝本、島谷と言った中学で有名どころだったのが新戦力として使われていることも他校にとっては問題だった。来年どころか再来年も、湘東学園は厄介な敵になることが確定したからだ。


同学年である木南の活躍を目にした1年生達は、将来的に獲得できるレギュラーの椅子が1つ減ったことを悟る。よっぽどの怪我でもしない限り、木南が使われ続ける可能性は高いからだ。


湘東学園に入った1年生達は、推薦組を除くと平均的なレベルはさほど高くない。彼女達は他の強豪校に推薦で入れなかった、いわゆる推薦漏れの選手達になる。そんな彼女達の中には、1年生でもベンチに入れる確率が高いからという理由で湘東学園を選択した者も多い。


『初心者歓迎!どんな初心者でも徹底的に鍛え上げます』と書かれた野球部のホームページを見て、それでも覚悟を決めて入って来た連中だ。今日の試合を見て、レギュラー陣とどれだけの差があるのかというのは嫌でも理解することが出来る。だから彼女達はまず午後に行なわれる試験で、2軍に入れるようアピールしないといけないと考えた。




その2軍を決める試験を、2軍監督兼コーチの萩原が行なう。1軍が反省会とミーティングを行なっている最中に集まった、1軍以外の野球部員37人は、軽く準備運動を行いながら試験内容を聞いた。


「まずは、体力のテストから始めます。2軍の練習について行けるだけの体力があるのか、そこからですもんね。皆さんは、グラウンドに置かれたコーンの外側を走って下さい。皆さんが走り出してから10秒後に、私も走り始めます」


萩原の言葉に、1年生達はグラウンドに視線を向ける。グラウンドの4隅には赤いコーンが置いてあり、それなりに1周が長い距離であることは把握することが出来る。


「私に抜かされたら、その時点で脱落なのでひたすら走って下さい。10人が脱落するか、20周した時点で終了にします」

「20しゅっ!?……私達は、陸上部に入りに来たわけじゃないのに」

「ああそれと、あなたたちの上級生は毎朝6時からグラウンドを20周しています。その時のペースが20周を30分程度なので、私はそれより少し遅いペースで走る予定です」


試験内容を聞かされた時、誰かが小声で呟いた内容は、萩原の追加の説明の声にかき消される。グラウンドを20周すれば、およそ5キロ程度の距離になる。この距離を朝練を始めた時から走り続けている今の2年生や3年生は、30分程度で走り終えることが出来るようになっていた。


準備運動が終わり、37人の1年生達は一斉にスタートを切る。流石にスタートで出遅れる人が出ることは無かったが、全員気持ちが高まっていたのか早いペースになっていた。そのことをいち早く察知した高谷は、徐々にペースを落として集団から取り残される位置で走る。


「高谷さんでしたか?10秒のハンデ、もう無くなってしまいますよ?」

「別に大丈夫です。体力には自信あるので、このペースなら喋りながらでも大丈夫ですよ」


しばらくの間、萩原と高谷は喋りながら走った。1軍への試験の時、既に伊藤から2軍が出来ることを聞いていた高谷は、ベンチ入り試験でわざと落ちている。1軍でベンチに座っているよりも、2軍で試合に出た方が自身の成長のために良いと判断したからだ。


試験は徐々に先頭集団が細切れになり、ペースについていけなくなった1年生が出始める。萩原に抜かされた最初の脱落者は、ペタリとへたり込んでしまった後、内側の方へ入って寝転んだ。


最終的には7人の脱落者が出たため、この試験で2軍候補は37人から30人となる。その30人の中に、高谷は居た。常に監督の前で走っていた高谷はもちろん注目されるが、それ以上にずっと喋りながら一定のペースで走り続けた萩原の方が何者だと1年生達は騒めく。


次の試験内容は、くじ引きで10人ずつのチームを組んで試合をすることだった。5イニングの試合を3試合行なう総当たり戦で、成績が最下位以外の2チームを合わせて2軍とすることを伝えられる。


くじで決まった高谷のチームには、投手が1人しか居なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓にランキングタグを設置しました。ポチっと押して下さると作者が喜びます。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ