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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第105話 ナックルボーラ―

準々決勝があった次の日、準決勝が行われる。第1試合の和泉大川越対中欧学院の試合は、和泉大川越が6対3で勝った。あの大槻さんから3点を取っていることからも分かると思うけど、中欧学院も普通に強かった。ただ、大槻さんは2回以降ほぼパーフェクトなピッチングだったし、点差以上の差は感じた。


そして、第2試合は私達湘東学園と多久大光陵の試合だ。今日の試合は、本城さんがベンチスタート。たぶん、本城さんがどんなに出たいと言っても、御影監督が試合に出さないと思う。



湘東学園 スターティングメンバー


1番 中堅手 伊藤真凡

2番 遊撃手 鳥本美織

3番 二塁手 鳥本奈織

4番 一塁手 実松奏音

5番 右翼手 江渕智賀

6番 投手  春谷久美

7番 捕手  梅村詩野

8番 三塁手 西野優紀

9番 左翼手 水澤千代


ということで、ガチガチに緊張している水澤さんの初試合。関東大会の準決勝と言うことで、お客さんは満員だから、この衆人環境の中が初プレーというのはある意味残酷だ。しかし、チーム事情的に水澤さんか相馬さんを出さなければ棄権ということになってしまうから仕方ない。


まずは立ち上がり、1回表の守備に就く。多久大光陵の打線は、それほど強い打線ではない。エースの芳田さんの下にある程度の選手が入って、守備練習に時間を費やしたのか堅守ではあるけど、破壊力は無いかな。


一応、芳田さんが4番を打っている。その芳田さんも長打率は高くなく、あくまで勝負強いから4番に置かれているだけだ。


今日の久美ちゃんのピッチングは、かなり際どいコースにポンポンとストレートを投げ入れられているから、調子は良さそうかな。詩野ちゃんも、あまり外野フライにはならないようなリードを心掛けている。それでもセンターに打球は飛んだけど、真凡ちゃんがしっかりと掴んでスリーアウト。


1回表を無失点で切り抜け、少しホッとしたので久美ちゃんに声をかける。


「ナイスピッチ。今日は調子良さそうだね」

「はい。ファーストにカノンさんがいると、常に見つめ合えますからね」

「……そう言えば、やたらと視線が合ったね」

「ファーストを守るカノンさんを特等席で見られるんですから、やる気もマックスですよ!」


すると、あまり気付きたく無かった事実に気付く。久美ちゃんは左投げだから、マウンド上から1球ごとにこちらを見つめることが出来る。本当にそれが理由で調子が良さそうなので、今日は完封しそうな勢いだ。零封してくれれば、勝てる可能性は十二分にあるけど……。


1回裏の攻撃は、真凡ちゃんから。全球ナックルを投げて来る、世間でのあだ名はナックル姫、掲示板でのあだ名はナックルキチこと芳田さんは、初回からナックルしか投げて来ない。そのナックルに、2球目で掠ることが出来た真凡ちゃんのバットコントロールは相当なものになっている。


カウント2-2から7球目、一層落ちるナックルに引っ掛けてピッチャーゴロになったけど、前に飛ばしただけでも大したものだ。続く美織先輩と奈織先輩は、追い込まれてから振るスタイルで4球ずつナックルを投げさせていたけど、2人とも三振。残念ながら湘東学園の攻撃も、三者凡退になってしまった。


そして2回表。とうとう、ボロが出始める。


「バックだよ!もっと!」


レフトに打球が飛び、私は精一杯声を出して水澤さんに指示を送り続けるけど、水澤さんは打球に追い付けない。先頭バッターの芳田さんがレフトオーバーのツーベースヒットを打つと、ワンナウトから今度はセンター前へのヒットを打たれ、多久大光陵が1点を先制した。


……真凡ちゃんも送球はかなり良くなったけど、捕ってから投げるまでがまだ遅い。レフトならまだ目立たないけど、センターになると少し目立つかな。


ワンナウトランナー1塁から3塁線に飛んだ打球を優紀ちゃんが処理し、5-4-3のダブルプレーで打ち取ったけど、水澤さんの守備が怪しいことはもう露呈した。芳田さん以降、打者は明らかにレフト方向への意識を持って打席に立っているし、スイングもワンテンポ早くなった。


2回裏は、私からの打順。打席に立ち、球筋をよく見るためにキャッチャー寄りに立つ。すると、勝負をしてくれるようで私に対してもナックルを投げて来た。打席で立って見ると、本当にブレて落ちるという感じだ。


1球目は真ん中から、外角低めのボール球になるコースまで変化した。キャッチャーが追い切れなくて、零している。だけど、後ろには絶対に逸らさないという意思を感じるブロッキングだった。これは、振り逃げが成功する可能性も無さそうだね。


2球目、真ん中高めから内角低めに決まるナックルを見逃してストライク。カウント1-1となり、可能な限り打席のピッチャー寄りの位置に立つ。3球目は、当てることだけを考えてカットするも、自打球となった。痛い。


この変化のナックルをよく4球もファールにしたよと真凡ちゃんを心の中で褒めて4球目、見せ球のスローカーブを見逃した。私が敬遠球でも打つ女だからか、かなり大きめに外したね。


カウント2-2となったから、次の球は決めに来るはず。どうにかして当てに行くか、打ちに行くかは悩ましいところだ。

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