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TS転生したから野球で無双する  作者: インスタント脳味噌汁大好き


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第101話 甲子園

全国でもトップクラスに練習量の多い高校で、狂ったように練習をし、血反吐を吐いて努力を続けた3年の夏、俺はレギュラーに選ばれなかった。ただ打撃能力は買われ、控えとしてベンチ入りはしていた。背番号は、16番。


最後の夏、県大会決勝。相手は2年生の時から甲子園を知っている同世代ナンバーワン左腕。2対1と1点差で負けている最終回のワンアウトランナー無しという場面。エースの代打として出された俺は、151キロのツーシームを確かに捉えたはずだった。


しかし高く上がった打球に相手のセンターは追い付き、俺の公式戦初打席はセンターフライで終わった。最後の最後で貰ったチャンスが外野フライで終わってしまったからか、俺は負けた時に泣けなかったし、大学まで野球を続けようという気にはならなかった。


その対戦相手の高校が甲子園の3回戦で負けている姿を見て、どの道プロにはなれないと諦めたんだっけ。




6回表、真凡ちゃんが今日初ヒットで出塁すると、詩野ちゃんの一塁線に転がるファーストゴロで真凡ちゃんは2塁へと進塁する。ワンナウトランナー2塁となって、私の打席。当然のように敬遠されるけど、悔しさよりも申し訳無さの方が勝ってくる。


ワンナウトランナー1塁2塁となって、本城さんがライト前ヒットを打ち湘東学園は1点を追加。10対7となり、3点差まで点差を広げる。本城さん、怪我してる方が綺麗に流し打ちを出来ているし、余計な力は抜いた方が良いんじゃないかな?


その後、智賀ちゃんの三振と久美ちゃんの四球でツーアウト満塁になるも、7番の優紀ちゃんがセカンドゴロに倒れてスリーアウト。今日の優紀ちゃんは4打数ノーヒットだけど、そういう日もあると受け入れるしかない。


「元気出して!その調子だと、守備でもやらかすよ」

「うん、大丈夫だよ」


思っていたよりも優紀ちゃんは元気なので心配は要らないと思いたいけど、優紀ちゃんのように能天気な子でもプレッシャーは感じるのかな。守備に就く前に深呼吸をしていたし、終盤になるにつれて動きも鈍くなっている。


6回裏からは私がマウンドに上がり、6番から始まる山梨学園の打線を三者凡退に打ち取る。一方で7回表は、山梨学園の3人目の投手がマウンドに上がり、湘東学園の打線を三者凡退に打ち取った。


最終回、3点差のマウンドか。打たれる気はしないけど、この回は赤石さんを含む上位打線に回る。9番の先頭バッターは、確実に打ち取りたいところだ。そう思ったところで、山梨学園は代打を送る。


「左の代打だし、セーフティバントには警戒して……ねぇ、聞いてる?」

「ん、聞いてるよ。……フラグ、立てておこうか」

「は?」

「私、この試合で勝ったらみんなに焼肉を奢るんだ」

「まじで言ってる?言質とったからね?」

「あと、久美ちゃんと付き合う」

「へー。……いや、それだけは止めた方が」


リラックスをするために、フラグを立てておく。ワンオクターブ低い詩野ちゃんの「は?」も聞けたし、緊張は和らいだかな。軽く深呼吸してから、バッターと向き合う。


3点差で先頭バッターとして代打で出て来るバッターなら、勝負強いバッターではなくてアベレージ型のバッターだろう。初球、引っ掛けさせるためにツーシームを膝元に投げ、代打で出て来た1年生は、その球を打ちに来た。


そして見事に引っ掛かり、サードゴロとなる。よし、と思った瞬間に、優紀ちゃんのグラブがボールを弾いた。


ヤバい、と思ったけど、そのまま優紀ちゃんは右手でボールを掴み、ファーストへ送球。ギリギリアウトになって、ワンナウトランナー無しだ。エラーなんてものは無かった。


打順はトップに帰ってバッターボックスには今日2安打の赤石さん。秋季県大会で、打率7割は伊達じゃ無かったし、山梨学園の精神的な支柱であることは間違いない。初球、強ストレートを投げて赤石さんは空振り。球速は、130キロだったか。


向こうにも速球型の槙野さんが居る以上、速い球には耐性があるだろうし、赤石さんなら確実に普通のストレートをアジャストして打つ。2球目は縦スラを振らせて、カウントは0-2となった。


そして4球目、バックスピンを最大限意識して投げた強ストレートを、赤石さんは打ち上げる。高いフライになった打球は、センターの久美ちゃんがフラフラとしながら捕球をする。これで、ツーアウトだ。


ツーアウトから2番に、山梨学園は代打を出した。この子も、この回の先頭バッターと同じく1年生かな。4球使って追い込んだ後、カウント2-2から5球目、低めいっぱいのストレートで三振に打ち取り、湘東学園は秋季関東地区大会ベスト4進出を決めた。


「勝った……?」

「勝ったよ。何でカノンが1番信じられていないの?こういう時も、いつも堂々として受け入れているイメージなのに」

「いや、うん。落ち着いてはいるんだけどね。何か、呆気無かったなって」

「……燃え尽き症候群とかにならないでよ。心配はしないけどさ」


詩野ちゃんに促されて、整列して挨拶をする。10対7で、湘東学園は山梨学園に勝った。次の対戦相手は、神奈川2位の東洋大相模と千葉1位の多久大光陵の試合の勝者だ。私達の次に試合をするので、私達はそのまま同じ球場で観戦することになる。

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