コミックス2巻発売おめでとうSS
ウェンディール王国は大陸北部にあるせいか、夏でも比較的涼しい。
が、しかし暑い日がないわけではない。
見よ、このどこからともなく仕入れられてきた立派な氷を!
使えと言わんばかりに氷室に置いてあった。
保存のために置いてあるのではない。ご自由にお使いください、と札が貼ってあるのだ。
間もなく夏季休暇で遠方の貴族以外は帰省するから、うちのお嬢様は帰省の準備を行っている。
そんなお嬢様への差し入れに、かき氷とかピッタリでは?
「なんですか? これ」
「氷の塊? 少しいただいて涼んでいただこう」
おや、と思う。
他の執事やメイドたちは、氷を砕いて桶に入れるとそのまま持っていく。
中には冷製パスタなどに使っている者もいるが、これはまさか——。
「義兄さん、義兄さん、これなんだべさ?」
「あー氷だよ。マーシャ、ちょっとデザート用のグラスを持ってきてくれないか? 落とさないように細心の注意を払うように」
「アイアイサー!」
不安だが事前に気をつけろと言っておけば大丈夫だろう。
マーシャが持ってきたグラスにタオルで巻いた氷を添える。そして——。
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」
「うわー! すげー!」
見よ、我が包丁さばきを。
俺はお嬢様のためならば、包丁さばきだけでかき氷も作って見せようぞ!
「なにこれどうやってんだべ? 義兄さんすげーべさー」
「高速、かつ薄く削った」
「お嬢様が関わると義兄さんマジに人間離れするべさ」
「ふっ、当然だな」
「褒めてないけど」
「じゃあマーシャの分はなし、と」
「うそうそ! 食べる食べたい食べたいですー!」
結構疲れるんだけどなぁ。
しかし暑いのは俺も同じ。
俺とマーシャの分はあとで作るとして、氷が溶ける前にお嬢様の分を完成させる。
細かく薄く削ったかき氷。皿の縁に添うようにカットしておいた果物を数種類飾っていく。
ヤギのミルクに砂糖を混ぜたものを氷にたっぷりかけ、その上にまた氷を削る。
ふう、これで完成だぜ。
「わあ〜、綺麗」
「これをお嬢様に上手に運べたらお前の分を作ってやろう」
「絶対やり遂げるべさ! 行ってきます!」
トレイにかき氷とスプーンを載せて、マーシャに持たせる。
正直不安しかないが、女子寮にはマーシャしか入れないからな。
ま、あとは実家に帰ってからまた作ればいいだろう。
ケリーにも食べさせてやりたいしな、かき氷。リース家の作っている果物は、どれもみずみずしいからかき氷に合うだろう。
「そんなことよりコミックス2巻、買ってくれよな!」
完
載せようか迷いましたがせっかくなので載せました。
Twitterで流したコミック2巻発売おめでとうSSでした。
はい、コミックス2巻、発売されております!
(2巻出ないかと思った? 私もだよ……出て嬉しいよ涙)
どうぞよろしくお願いします〜!







