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うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。【WEB版】  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
戦争編

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アニム攻略?

 

『ほほう? 人間族はやたら余裕がある様子だったが、他種族などハナから相手ではなかったと。そうか、貴様らの最初からゴルゴダを討つつもりだったのだな?』

「我々は『大陸支配権争奪戦争』そのものの開催を未来永劫封印すべきだと思っているのです。そんなことをしなくても、我々は他の種族と手を取り合って新たな未来を歩んでいける。そして、俺たちは亜人族もまた、世界に根を張る仲間だと思っています」


 そうだろ、クレイ。

 お前も、メグも、他の亜人たちも、いい加減穴蔵から出たいもんな。


「亜人族の定義を『大陸支配権争奪戦争』という括りで否定し続けるゴルゴダを、必要ならば討つべきだとも」

『……なるほどな! 面白い!』


 俺の発言に機嫌が悪そうだったイシュタリアが満面の笑みになった。

 え、それはそれで怖い。


『止めるなよ、妹たちよ! わらわはこの人間の意見に賛同するぞ!』

『止めても無駄ですし、亜人族に関しては我もどうにかすべきと思っていました。人間族が受け入れるというのなら、むしろありがたいくらいかと』

『私も賛成です』

『わたくしもです!』


 おお!

 満場一致で女神族が全員味方になってくれた!


「あ……で、では!」

『よかろう! ゴルゴダを倒す運びとなった折は我ら女神族、貴様ら人間族に力を貸そう!』

『ですが、明日の妖精族との最後の戦いは傍観させていただきますよ』

『ゴルゴダが最後にあなたたちになにもしないとも限りません。十分にお気をつけを。……アニムといいましたね』

「は、はい!?」


 上の姉というイシュタリアとナターシアは、味方とするならば心強いが極めて冷静。

 アニムに話しかけるたのはティライアス。

 まさか話しかけられると思わなかったのだろう、アニムは小さな体をバイブレーションのごとく震わせる。

 なんか可哀想。


『今聞いていた通り、ゴルゴダは私たち天神族の中の禁忌を犯している反逆者です。あなたたち妖精族にも、自身を追い詰める人間族への手駒としてなにか持ちかけてくるやもしれません。なにを言われても努努(ゆめゆめ)聞き入れたりしないように』

『そうですわ。きっとあなたたち妖精族のことも、道具のように扱うつもりです! 従属妖精たちを見ているでしょう? 口車に乗ってはダメですよ!』

「は、はい! わかりました、女神ティライアス様、女神アミューリア様……!……あ、ぁぁ……め、女神様に声をかけていただけるなんて……!」


 緊張のバイブレーションのあと、アニムは感動のバイブレーションと化した。

 顔を真っ赤にして涙まで浮かべる姿に「あ、こいつ俺と同じ属性(ドルオタ)だな」と確信して頷く。

 なんか仲良くなれそう!

 推しがいるって幸せだよな!


『では、元の場所に戻します。くれぐれも気をつけてください』

『エメリエラを宿す魔宝石を持つ者——戦巫女、あなたは特に』

「ありがとうございます!」

「はい! わたしも気をつけます!」


 ナターシアの力で空間が黒に滲んでいく。

 最後にティライアスが真凛様に念押しして、空間は閉じていった。

 なんとなく、白昼夢でもみたかのような不思議な気分。

 アニムは感涙していまだに震えていた。


『女神族は冷静で話がわかるようだな』

「ああ、心強いな」

『だが、相手はゴルゴダ。曲がりなりにも神だ。神と戦うには神力を使わねばならない。主人にはこの鈴緒丸がいるが、他の者は神力を持たない。もし本気で戦うのであれば女神の力は必須だろう』

「そ、そういうものなのか」


 神には神にしか通じない力があるらしい。

 雷蓮ぐらい強いと、“神力”なるものの領域に片足突っ込んでるから戦えてしまうらしいが……。

 今の俺には付喪神となった鈴緒丸がいるから、通用する。

 だが、レオたちは女神エメリエラと、先程の四女神の力を借りなければ戦えないだろう、とのこと。

 なるほど、神と戦うにはそれなりに準備が必要なのか。

 くっ、もっと早く知りたかった。

 鈴緒丸やエメリエラは聖域だからこそ、こうして俺たちに姿も見えるし言葉も交わせるんだよなぁ!


「あの、アニムさん」

「はっ! ……し、失礼。お見苦しいところをお見せしてしまった。し、しかし許してほしい。女神族は、我ら妖精族にとって全員が憧れの存在なんです! と、特に僕は女神ティライアス様の慈悲深いところに感銘を受けていてですね! あ、も、もちろん女神イシュタリア様や女神ナターシア様、女神アミューリア様も素晴らしい伝承をいくつもお持ちですが!」

「アニム殿はアルト様と話が合いそうですね」

「あ、そうですね! アルトくんは宗教学に詳しいですから」

「しゅ、宗教学……? アルト……? だ、誰です?」


 アルトはうちの国の公爵家のご子息ですよ。

 と、まあアルトについてアニムに教えられる範囲のやんわりとした情報を教えてやる。

 すると、アニムの方も「め、女神信仰に関する研究……!? そ、そんな素晴らしい文化が!!」と大層感銘を受けてくれた。

 あこれはこっちの方向にも適性があるなアニム。


「ぜひご紹介いただきたい!」

「じゃあ戦争が終わったらぜひ『ウェンディール王国』へ! アルトをご紹介しますよ」

「ぜひ! ぜひ! あ、ま、まずは人魚族の領域へ行かれるんですよね! どうぞどうぞ、こちらですよ!」

「ありがとうございます!」


 まさかここにいないアルトに助けられるとは。

 ふふふ、これはアニムのルート完全破壊だな!


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