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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第六章 異世界ブレインストーミング

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99/251

99話 熊殺しッッッ!!

総合評価が775です。あと一人のブックマークでスリーセブン……。


 朝に残ったコーヒーを飲んだ。幸せな一日の始まりである。

 今日は狩りなので、先生、ピコ、アッシュとともに出発する。


 六時ごろに出発したが早いとは思わなくなった。むしろ少し遅いと思えるぐらいだ。

 『クラーク村の朝は早い』ってナレーションが聞こえてきそうだぜ。


 設楽ちゃんはもちろん寝ている。コーヒー置いておいた。


――――


「おはようございます」

「おはようございます」

「おう~来たか」


 リーダーに迎えられハンター達と村北部で合流する。


「ふむ……今日は勢ぞろいですね」


 弓を担いだ先生がリーダーに問いかけた。


「ガハハ、爺さんが参加するからみんな興味津々よ」

「なるほど」


 そんな注目のゼツペさんはアッシュと一緒に山を見ていた。

 佇まいがカッコイイ。


 そういえば、ハンター達と普通の狩りをしたことは無いな。

 ストライクバードやワニといった年に一回のイベント的な狩りに同行しただけだ。

 ちょっとワクワクした。


 山を走るのは苦手だけど、ゼツペさんに結構鍛えられたし秘策もある。なんとかついていけそうな気がする。


「んじゃ~出発するぞ~」

「「「おう」」」


 リーダーの号令とともに山に出発した。


――――


「って、速!」


 北の山麓の森に入り、まずはリンクスが駆けだした。

 それを追うようにゼツペさん、アッシュと駆けていく。


「ガハハ~」


 笑いながらリーダーもついていく。

 あとは、リーダーの息子達も走ってついていった。


 はあ、しょうがない走るか。魔力を溜めて一気に加速した。


「え、アカィ――く……」


 なんか先生に呼ばれた気がするな。でも振り返ってる余裕が無かった。

 追いつくにはかなりギリギリな気がしたから。


――――


(いい感じで走れている!)


 俺は山を疾走する。多分追い付けるはずだ。



 平地はスキップ走法でかなり速く走れる。ただ、凹凸が多い場所や坂道は適さない。

 リズムよくピョンピョン飛んで走るから、着地点の変更が難しいんだよな。


 だから山で走るときのために色々準備してきた。


 まず準備したものはグローブだ。革で出来ていてかなり丈夫だ。

 そして山用に走り方を考えてきた。名付けてうさぎ跳び走法。


 両足を揃えて一気に踏み出す。六メートルぐらいは飛んでいると思う。

 着地時は、腰を曲げ腕が地面に着くぐらい前傾姿勢にする。

 そして再度一気に踏み出す。


 スキップ走法との違いは、一歩一歩の回転数は落ちるが、一歩の飛距離は伸びている点だ。

 そして重要なのは一歩ごとに方向転換が出来ることだ。方向転換が可能なので障害物にも対応できる。



(しかし……、難点は腰が痛いことかな)


 前傾姿勢なので腰と太ももに負担が大きい。

 ゼツペさんみたいな動体視力が無いので仕方ないんだけどさ。


 とにかく急ぐ。アッシュに、みんなに追い付かないと!


――――


「ほお」

「ん?」


 み、見つけた……!


「あ、アカイちゃんじゃねえか」

「ど、どうも、お待たせしました」


 リーダーは驚いている。ここにいるのはゼツペさん、リーダー、それとリーダーの三男のドライさんにリンクスとアッシュとピコだ。ピコは上空から降りてきた。

 確かに場違い感はあるな。


「よ、良く追いつけたな、へへ」

「まあ……ゼツペさんに鍛えられましたから。はは」

「ふむ、当然じゃな。はっはっは!」


 当然じゃないけどまあいい。

 あれ? リーダーの長男アインさんがいない。


「アインさんは?」

「アイツはみんなのところに場所を伝えに行った。渋々だったけどな。ガハハ。

 爺、張り切り過ぎなんだよ」

「ふん、たるんどる」


 リーダーはやれやれって感じだ。


「さて、なに狩ろうかの?」

「おう、どうする? いつもはボアとかホッグだな。鹿は警戒心強いから運がいい時だけだな」


 この前はゼツペさんが鹿殺してたからな。


「熊とかヤマネコはおらんのか?」

「ガハハ、ヤマネコなんておとぎ話だろ? 熊はたまにいるぜ」

「ヤマネコは美味いんじゃがのう……、この辺にはおらんか。なら熊じゃな」


 ヤマネコ……。多分想像している猫ではないはず。

 巨体なんだろうか……。めちゃ怖いんですけど。


「ガハ…ハ、熊か」

「よし、行こうかの」


 ゼツペさんは歩き出す。適当に歩いているようで何か探して歩いている。

 長年の経験なのか、何かしらのサインがあるのかはわからないけど、スタスタ歩いていく。

 俺たちはそれについていく。


「バフ」


 リンクスが小さくゼツペさんに合図した。


「ふむ」


 ゼツペさんがハンドサインで俺たちを静止した。そして木に登る。


「おったの、静かについてこい」


 俺には全然見えないけど見つけたらしい。静かに進む。

 目の前には少し下った傾斜面だった。


(――いた)


 熊がのそのそ歩いている。大きさは動物園で見たことがある熊より少し大きい。

 アッシュと同じぐらいのサイズではないだろうか。アッシュがスタイリッシュだとすれば、熊は熊らしく肉厚な感じだ。


「警戒しとるの、熊は鼻がいいからの」


 へ~そうなんだ。喋っていいのかわからなくてただただ頷いた。


「おい、ナイフいるか?」

「熊にはきかん。体毛と筋肉で刃が通らん」

「んじゃ、どうするよ」


 リーダーの提案を却下し、右手を上げた。

 ゼツペさんの手には赤ちゃんの頭ぐらいの石がある。いつのまに持っていたんだろう。


「行ってくる。お前たちはここで見とれ」

「お、おい」


 ゼツペさんは立ち上がりリンクスに何か耳打ちした。

 そして熊へ無防備に進んでいく。


「ど、どうするんでしょうか」

「しらね~よ、熊狩りなんてやったことねえ」

「……」


 リーダー、ドライさん、俺は緊張しつつ様子を見守ることにする。


 熊は斜面を下るゼツペさんに気づいた様子だ。

 警戒レベルを上げたのか、威嚇しているように見える。

 ただ鳴き声はちょっと間の抜けた感じだった。俺には「へええぇえ」と聞こえた。


 ゼツペさんは回り込むように近づき、一本の木を背にした。

 熊との距離は八メートル位だろうか。睨み合っている。


(や、やばいんじゃないのこれ)


 ゼツペさんは左手から何か投げたようだ。石か木の実か。


 激昂した熊はゼツペさんに向かい走り出した。

 走る熊を初めてみたがとても速い。一瞬で距離を詰め左手を突き出した。


「今じゃ!」


 そう叫びゼツペさんが飛翔する。一度見せてもらった大ジャンプ。

 五メートルぐらい飛翔し木の枝に飛び乗った。

 目標を失った熊の手は木にクリーンヒットした。


 熊は捉えたはずの獲物がいないので戸惑っているようだ。

 後で聞いた話だと、熊は耳と鼻は利くが、目は良くないらしい。


「バフ!」


 気配を消していたリンクスが熊の背後から飛びかかった。

 飛びかかるとわかる、サイズはほぼ同じだ。

 背後から押さえつけられた熊は暴れているようだが、押さえつけられた経験などないのだろう、ただバタバタしている。


「ふん!」


 そしてゼツペさんが落下して熊の頭蓋に石をぶちこんだ。

 なかなかグロい光景だ。まだ動いているようなので数度石をぶちこむ。

 ゼツペさんは数秒確認した後、俺たちを呼び寄せた。死亡確認が完了したのだろう。


 絶命した熊は寝そべったままだ。外傷は頭だけなので綺麗な死骸だった。


「す、すごいですね」

「あ、ああ。爺すげえな」

「ふむ、なかなか、すりりんぐじゃったわい」


 ゼツペさんは非常に満足そうだ。やはりゼツペさんは規格外である。

 リンクスはアホ顔で「バフバフ」喜んでいる。


「次はお前たちの番じゃな、アッシュ、ピコ」

「ワン! ワン!」

「ピッ! ピッ!」


 アッシュもピコもヤル気満々だ。

 しかし……この熊どうするんだろうか。五百キロぐらいありそうだけど。


 熊殺しの目撃者となった俺たちは、目の前に寝そべった熊を見て呆然と立ち尽くすのだった。


 さあ……、狩りは始まったばかりだ。

読んでいただきありがとうございます! 明日は100話です。

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