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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第六章 異世界ブレインストーミング

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94話 クラドル友好会議

総合評価700ポイント越えました、ありがとうございます!


 なんとかアイシャさんに説明が終わった。

 お喋りアイシャさんに犬の悪評を広められたらとんでもないので念入りに。


 マシンガンのように喋るアイシャさんの話をとにかく聞いた。

 一話すと十返ってくるが仕方がないことだ。

 最後は旦那のロッシさんが、「アカイ君が言うんだし大丈夫だろう」と助けてくれた。



 予想以上に時間が経過してしまった。

 家に戻り、犬を世話してくれた先生にお礼を言った。そして先生は授業のために出発した。


「処理もしておいたから、ははは」


 ドレークはいい感じに捌かれていた。先生はハンターとしての腕も上がっている。


 ドレークは半分がアッシュのご飯になった。

 ご飯を食べるアッシュを見ながら考える。

 村の中を歩かせても大丈夫だろうか……。村の中を歩けるぐらいにはしたいものだ。

 まあ、焦ることは無いな。ゆっくり村に馴染めばいい。


 まずはゼツペさんに会いに行こう。アッシュを置いていくわけにもいかないから村の外側をぐるっと回って、昨日のアッシュを預けておいた納屋に向かうことにした。


――――


 村を出て、西側から村の北部に向かう。


「ワン!」

「え?」


 急に北の山に向かって走り出した。


「お、おい!」


 仕方なく追いかけることにしたが、森に入る頃には見失った。


「か~、速すぎだろ! ん?」


 遠吠えが聞こえた。それを頼りに向かう。

 小さな水場があり、アッシュがいた。そしてリンクスとゼツペさんも。


「アカイか」

「あ~そういうことですね」


 ゼツペさんは水場で肉の処理をしていた。

 えっと、また鹿ですね。まさに鹿殺しゼツペ。


「鹿ですか?」

「うむ、この辺りの鹿は警戒心が強いの」

「はは、また首折ったんですか?」

「これが一番美味いからな、リンクスと協力して殺った」

「バフ!」


 とんでもないコンビだよ。ハンター十人分ぐらいの戦力があるのではないだろうか。


「で、どうしたんじゃ? 朝っぱらから」

「いや~ゼツペさん何してるかなと思って。あとは村長のとこにも行きますよね?」

「ああ、忘れとったわ」

「忘れないでくださいよ」


 ゼツペさんは鹿を棒に括り付け背負った。

 奈良公園で見たことがある鹿より大きいのに、なんなく持ち上げる。


「んじゃ、帰るかの。リンクスは山で遊んでおれ」

「バフバフ」


 そっか山で遊ばせとくことも出来るのか。


「ゼツペさん、アッシュも遊ばせておいても大丈夫ですかね?」

「問題なかろう。ああ、これをやる」


 ヒョイと投げつけられたのは笛のようだ。


「これは……笛ですね」

「犬笛じゃ、吹いてみろ」


 吹いてみるとモスキート音ってやつなのかな? 高音だけど良く聞こえない音が鳴った。


「ふむ、アッシュにこの音を覚えさせてやれ」

「わかりました」


 アッシュに向けて犬笛を吹き、アッシュに音を覚えさせた。


「この音が聞こえたら、戻ってきてくれるか?」

「ワン!」

「それじゃあ、山で遊んでてくれ。俺は少しお仕事してくるからな」

「ワン~」


 アッシュは山を駆けて行った。リンクスも追うように駆けていく。

 俺たちは見送った後に村に戻ることにした。


「いや~、犬が村に馴染むか不安なんですよねぇ」

「ふむ、じっくりやるしかなかろう」

「そうですよね」

「じゃが、ハンターのやつらならすぐ馴染むじゃろ。一度狩りにでも一緒に行けばいい」

「確かに!」


 いい考えだと思った。仲良くするには共通の何かをするのが一番。


「あとは、出来るだけ誰かと一緒に行動するようにすればいい。アカイとアッシュと村の誰かとな」

「なるほど、それもいい考えですね! 流石ゼツペさん」

「ふん、褒めてもなんもでんわい」


 ゼツペさんは褒められるのが好きだ。長い事付き合ってきたからわかる。

 可愛いお爺ちゃんだ。


「そうじゃの、狩りにでも行くか」

「今ですか?」

「いや、ハンター達と一緒にの。リンクスとアッシュも連れてな」

「おお、それはすごい」


 この時は楽しみとしか思わなかった。この時は……。


――――


 村に着いたので、ゼツペさんは荷物を取りに行った。

 村長宅で待ち合わせして一旦別れた。

 俺は先にヨドさんのところに行くことにする。キジと魔法ナイフを渡しに。


――――


「おばあちゃん、いますかー? 赤井でーす」

「ん? おお、開いとるからお入り」

「はーい」


 家に入るとおばあちゃんは、何か煮込んでいた。


「忙しかった?」

「ふぉっふぉ、そうでもないさ。坊のほうは忙しそうだ」

「はは、なんかそうですね」


 確かにやることは、思い浮かぶだけでも結構ある。

 色々回り道もしたからタスクが溜まっている。タスク管理とか苦手だったなあ。

 「メモ取れ! 赤井!」って何回か怒られたなあ。


「今日もこれから、村長とお話なんです」

「ほう、何しに行くんじゃ?」

「ドルゼ村と交易が回復できそうなので、その話に」


 ヨドさんは目をパチクリ。


「ドルゼ村じゃと?」

「そうです」

「もう二十年近く犬猿だったのにか?」


 そういえば二十年も経過してるのか。始まりは子供の喧嘩みたいな理由だったのに、大人ってのはどうしてこうこじらせるかなあ。


「まあ、いろいろあってですね。あ、先にプレゼント渡しますね」


 キジと魔法ナイフを渡した。


「こりゃキジか。いい肉付きしとる」


 ご満足いただけたようだ。


「こりゃ……ナイフか」


 鞘から引き抜いて刀身を確認する。

 うむ、なかなか似合っている。サイズもぴったりじゃないか。


「ええ、魔法ナイフですよ」

「ま、魔法ナイフじゃと? また高価なもんを!」

「ははは、ぜひ使ってください。多分設楽ちゃんがすぐ複製しそうですし」


 実はもう出来ているかもしれないな、設楽作の魔法ナイフ。


「ほ〜ん」


 ヨドさんは魔力を籠めて、キジを捌く。

 継ぎ目でもあるかのように肉は捌かれていく。部位ごとに綺麗に切り分けられていった。


「こりゃすごいの」

「いや、ヨドさんの腕がすごいです」

「ふぉっふぉ、最近は力仕事がキツくてねえ、ありがたいよこりゃ。大事に使うよ、ありがとうね」


 ヨドさんはニコニコしている。プレゼントした甲斐があるよ、よかった。


「いえいえ、おっとそろそろ村長のところに行かないと」

「おや、残念だねえ。キジ鍋でも作ろうかと思ったのに」


 むむ、これは嬉しい提案だ。久々におばあちゃんの料理が食べたい。


「うーん食べたいなあ。でも待たせるわけにもいかないし」

「そいじゃ、話が終わったらおいで。待っててあげるから」

「ありがとうございます! あ、ドルゼ村のお客さんも連れてきていいですか? 前の村長なんですよ」

「いいよいいよ、連れておいで」

「じゃあ、早めに終わらせてくるよ!」

「ふぉっふぉ、行っといで」


 さっさと終わらせてご飯だ!

 俺は意気揚々と村長宅へ向かった。まあ目の前だけどさ。




「……前村長ねえ」


――――



「お待たせしました」

「うむ」


 ゼツペさんは村長宅前で座って待ってた。


「さっさと終わらせるぞい」

「そうですね。あ、お話が終わったらキジを食べましょう!」

「ふむ?」

「あそこの家のおばあちゃんが料理上手なんですよ! キジ料理準備して待っててくれるそうなんで」

「ほーう、それは楽しみじゃな。面倒ごとはさっさと終わらせよう」

「はは、そうですね」



――――


 クラーク村長との話は、スムーズに終わった。


 まずはゼツペさんが砂糖大根とチーズを渡した。


「少ないが、ドルゼ村からの友好の証と思ってくれ」

「はあ」


 村長は、終始ゼツペさんの雰囲気に押されっぱなしだった。


「長いこといざこざがあったみたいだが、ワシも知らなくてのすまんかった。今後は手を取り合ってやっていってほしい」

「はあ」


 何か言いたいんだろうけど、言いにくそうな村長。


「ぜひ今度、ドルゼ村まで来てくれんか? もてなすのでの」

「それは……かまいませんが」

「うむ、すまんな」


 あー、ドワーフさんからの伝言を伝えないと。


「村長。村へ行く際はお酒を持って行ってあげてください」

「酒か」

「ええ、ドルゼ村は酒不足みたいです」

「そうか……。酒ならあとは麦も必要じゃろう。昔を思い出すわい」


 そっか昔は仲良くしてたんだもんな。


「まあ、行くときはワシもついていこう。また喧嘩されたらかなわんからな! はっはっは!」


 ゼツペさんの高笑いと、クラーク村長との苦笑いでクラーク村とドルゼ村の会談、『クラドル友好会議』は終了した。


――――


 肩をゴリゴリ回すゼツペさん。


「いやー肩が凝ったの。あーゆうのはめんどくさいわい」

「お疲れ様です」

「まあ、倅の尻拭いじゃからの、はっはっは」

「はっはっは。さてさて行きますか」

「うむ!」


 匂いにつられヨドさんの家に。

 久々のヨドご飯に胸が高鳴る。



「ヨドさーん」

「おお、入っといで」


 呼ばれて中に入る。ゼツペさんを連れて。


「お待たせ」

「お邪魔するぞ」


 ヨドさんは俺たちを見た。違うなゼツペさんを見た。



「こりゃまた、大物を連れて来たねえ」

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