34話 いつも以上の日常パート
無理やりドラゴンとか出したくなってきます。
出さないですけど。
ストライクバードの巣のスープを食した後は、ホッグのサンドイッチを食べた。
こりゃまた香辛料がきいてて美味い。ヨドウェイをオープンしてほしいぐらいサンドイッチ美味いよ。
「じゃぁ、ストライクバードの巣はばあちゃんに預けますね」
「大丈夫じゃ、全部食ったりせんから。――ちょっとだけじゃ」
「ははは、今度みんなで飲みに来ますね」
「ピィ!」
みんな満腹天国。
「あ~忘れるとこでした、聞きたいこと二つ目です」
「うむ」
「なんか欲しいものありますか?」
「む?」
「いや~せっかく王都行くし、何かばあちゃんにプレゼントしようって、みんなと話してたんですよ」
「ふぉっふぉ、年寄りに”ぷれぜんと”なんていらんわい」
「まぁまぁ、そういわず。卵のおかげで金はありそうなんで、へっへっへ」
「おぬし、シマーに似てきたのぉ」
「えええ~!」
まぁ、あんなおじさんも悪くないけどな。
「まぁええわ、欲しいもののぉ。必要なもんは揃っておるからなぁ」
たしかにばぁちゃんの家には結構な道具がそろってる。
焼く、煮る、燻すなんでもござれ。
「調理器具とか、高級食材とか、後何があるかな~」
「ふ~む、まぁ王都なんて10年以上いっとらん。よさそうなもん適当に買ってきておくれ」
「そうですね、がんばります」
預けていた大量のホールラビットの燻製と干し肉を受け取り、満腹で幸せな余韻を味わいつつ、ヨド家を後にした。
「さて、このあとどうしよっかな。」
アイシャさん達のとこには夕方ぐらいに行くと言ったので、まだ時間はある。
「村の東でも歩いてみますか」
この村は、北側にハンターチームが住んでいて、
西側に俺たち、中心付近に村長、ヨドさんが住んでいる。
「ふふふ、東側はスラム街になっていてエッチなおねぇさんが、誘惑してくるかもしれないな」
東側に歩き出しだ。
「まぁ、な~んも変わらないな」
同じような家、同じような畑、同じような人達。
遊んでる子供たちに、ピコを紹介しつつ村の端までついた。
「その時だった、目の前に黒いフードの男が現れて、た、助けてくれ勇者よ……と言った!」
「ピィ?」
オイラ一人っ子なんでね、一人遊びは得意なのさ、やらしい意味じゃないよ。
「この道の先が王都なんだよな。」
村の端からすぐのところに、川が流れ橋が架かっている。
水は生活のライフラインだからなぁ。
橋の端に座って村を見る。
小麦がちょうど収穫時期だ。
小麦って冬に収穫するもんだと勘違いしてたよ、アホですんません。
「そっか、王都で小麦売って金にするんだよな」
なんか小麦をひっくり返して干してる。
何してるんだろうな~。収穫した後に色々するんだろうな~。
「はぁ、異世界人つったって無力だよねぇ~」
天気もいいし、お腹もいっぱい、1か月近くがむしゃらに頑張った反動か非常にアンニュイな気分だ。
「っへ、ガラでもないぜ」
アカイは感じていた。
異世界人だからってこの世界では大した影響力は無いことを。
アカイは感じていた。
与えられた魔法も三人の中で一番無力なことを。
アカイは感じていた。
自身の知識も能力も未熟であることを。
先日、先生が世間話程度に話していた。
「ガキの頃、親父が言ってたんだけどさ、過去にタイムスリップしたってなんもできねぇぞって。
『バスケでも広めるか?はははは』だってさ。
反論したかったんだけど、確かに大したこと思いつかなかったって納得したことがある。
この世界にきて、そんな話を思い出しちゃったよ、ははは」
先生の親父さんはなかなか哲学的だぜ。
二人の家族構成とか聞いてみたいけどな。その手の話はなんか、しづらいんだよな。
まぁ、俺にはできることをやってくしかないべ~。
普通人はつらいぜ。
夕方になるまで、ピコと戯れながら物思いにふけった。
「さてと」
土を払って家路につく。
村人と挨拶をかわしつつ、たまに自己紹介。
こういう、地道な活動が村での信用を得る、かもしれない。
アイシャさん家の前に着いた。
「アイシャさーん」
「あら、お帰りかい? ちょっと待ってな!」
玄関前でごそごそしてるアイシャさんに近づく。
「おぉ!」
箱一杯にパンや野菜が入ってる。
「ほらよ持っていきな!」
「こ、こんなにいいんですか??」
「いいんだよ! ホールラビットのお礼だよ!」
「あれ、このパン。」
「どう? 焼き立てフワフワパンよ!」
「おおー! こんなパンがあったんですね!」
いつもの黒パンとは違う。ロールパンに近いかな。
「メグが今日焼いたやつよ。食べてみな」
「メグさんが。ではいただきます」
パンは懐かしい味がした。コンビニで良く買って食べたマーガリンが入ってるバターロールのようなパン。
でも味が違う。小麦の主張が口に拡がる。
あぁ~異世界の飯はなんでこんなに美味いんだろう。
「あはぁ~」
「ははは! 気持ち悪い子だね」
「だって美味しいんですもん」
「収穫したばかりの小麦だからね! この時期だけのぜいたくさ」
「いや~幸せですねぇ」
食の力って偉大だわ。
そ~いや、腹減ってると魔法出づらいんだよな。
カロリーと魔法は関連があるかもしれないな!
設楽ちゃんに言ったら鼻で笑われそうだけど。
「それじゃぁ、これを」
ラビットの燻製二匹分を渡した。
「こりゃぁ、美味しそうだね!」
「僕もまだ食べてないんですけど、楽しみです」
――――
家に帰ってロールパンを見せたら大興奮だった。
やっぱり、パンに関しては不満があったみたい。
バクバク食いながら、
「パンがあるなら、米が欲しいですよね~」
「米か~、王都にあるんじゃないか?」
「いや~早く行きたいですね!」
「言わないようにしてたんだけどさ、醤油、味噌とかも欲しいよな~」
パンは美味い。ホールラビットの燻製は更に美味い。
もっとバリエーションを広げて、グルメタウンクラークにしたい。
目的は忘れてはいけない、
でも日々のモチベーションって大事だ。
明日から狩り頑張ろう。




