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三人揃えば異世界成長促進剤~チート無し・スキル無し・魔法薄味~  作者: 森たん
第二章 第二節 ラビット

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16話 年長者の憂鬱・壊れた教師

ブックマーク10件突破しました。ありがとうございます!


 狩り四日目終わりの夜。

 我が家で慎ましくご飯を食べる。

 干し肉は飽きてきたけど、赤い木の実はマジで美味い。

 某有名苺もびっくりの美味さだ。


 呑気にたべていると先生が話し出した。


「赤井君」

「ほ? なんでしょう」

「捕獲器とか作れないもんかなぁ」

「ふむ、どんなのイメージしてます?」

「こう……餌に食いついたら扉が閉まって逃げれないような」


 テレビとかでみたことのある罠にはまると「ガシャーン」タイプのやつだな。

 たしかにウサギが食べるものは把握できている。葉っぱや赤い木の実である。

 捕獲器があればいけそうな気もする。


「……材料がない」


 設楽さんの切れ味の鋭い返答。

 まぁたしかにそうだよな。


「そうだね、捕獲器だと、檻が必要だけど」

「難しいか……」


 罠はそこそこブラッシュアップできている。

 ウサギの通る場所が大体判別したからだ。


 だが、仕留めきれない。

 落とし穴に落としたとしても、穴を掘って逃げられる。

 ツタを使ったトラップはそもそも引っかからないし、齧られてしまう気がした。

 ちなみに次に考えてるプランはこれだ!

  ①落とし穴の中にツタトラップを仕込む

  ②落とし穴の中に石を敷き詰め、掘れないようにする


「明日は一番引っかかってる落とし穴を強化してみますよ」


 プラン①を実行しようと思う。プラン②はしんどいから奥の手だ。


「――そうだな」

「まぁ、干し肉もまだありますし採取も順調です。一つ一つやっていきましょう」

「……あぁ」


 先生は物思いにふけっている。疲れているなぁ。

 いいことあればいいんだけど。

 次の一手としては、村のハンターに教えを請うことも検討しないといけないかもな。


 翌朝も早起きして森に向かう。

 俺は二時間ぐらいかけて一つ目の強化罠が完成した。

 なかなかの出来だ! 採取担当の設楽さんが採ってきたツルを使った、試作強化罠一号機。

 ふふふ、こいつは強力だぜ!


「それじゃ、僕は2号機を作ってきますね」

「わかった」


 トラップマスター赤井は今日もせっせと罠づくりですよ。


―――先生視点―――


「はぁ」


 思わずため息が漏れる。


 5日目にして成果無し。

 楽観的に考えていた自分が嫌になる。

 『探知』を使えば捕まえるのなんて簡単だと思ってた。


「何がなんとかなるだ」


 このまま続ければいつかは捕まえれるだろう。

 だが、良くて1日一匹か二匹だ。

 異世界の発展? 自分たちのご飯さえままならないのに。


 設楽さんは優秀な子だ。知能が一番高い。

 探究心もあるから、いつか大きな結果をだすだろう。

 今考えれば、ミックが最初に彼女を召喚したのも一番期待しているからだ。 


 赤井君は、学生っぽさが抜けない社会人だと思ったがそんなことはない。

 人付き合いが上手く、なにより忍耐がある。

 そもそも彼がいなければ村で生活できたかも怪しい。


 俺は口下手だ。率先して発言するのが怖い。

 いつからだろうか。喋らずに褒められることをしてきた。


 バスケもそうだ。

 練習したら上手くなる。上手くなったら褒められる。だから頑張る。

 サボると怒られるから怖くてサボれない。

 「金子は真面目だな」、違う!怒られたくないからだ。 


 そんな延長線上でインターハイに出場できた。


 勉強もそうだ。

 勉強すれば成績が上がる。成績が上がれば褒められる。だから頑張る。

 成績を落とせば失望されるから怖くてサボれない。

 だから勉強もそこそこできた。

 そんな延長線上で教職に就いた。


 熱意があって教師になったわけじゃない。

 手に届く範囲の仕事で、周りからの評価も悪くないからだ。

 

 だから今が怖い。

 このままうだつの上がらないことで失望されることが。

 努力しても成果が得られないことが怖い。

 年長者なのに、一番無能になることが怖い。

 ウサギ……はやく捕まってくれ。


「はっ!!」


 ウサギが現れた。


―――


 再度『探知』を発動する。

 ウサギに気づかれないギリギリまで近づき、息をひそめる。

 赤井君の作った罠に近づくウサギだ。


 緻密に計算された罠まで、あと五メートル程。


 罠のポイントは考えに考え抜いた。

 ラビットの行動パターンを考察し、確実に通過する場所を断定した。

 ……断定したと思いたい。


 落ちるはずだ。

 落ちろ!落ちろ!落ちろ!!!落ちろ!!!!

 落ちた!!!落ちた!!!


 再度『探知』を張る。ウサギは落とし穴の中でもがいている。

 ツタの罠にはまるはずだ。

 はまれ!はまれ!!はまれ!!!

 おお、絡まってる。いいぞいいぞ!


 む、穴を掘っているな。

 が、ツタが絡まっている。逃げれるはずはない。

 あ、ツタが噛み千切られた……。


 しまった、なぜ落ちた瞬間に向かわなかったんだ。


「くっっっそおおおおおおお!!」


 叫んだ、

 罠まで走った、

 罠の中にはウサギに掘られたであろう横穴。


「――あああああ!」


 右手で体を支え、無我夢中で左手を穴に突っ込んだ。

 穴は、左肘まで突っ込んでも余裕があった。


「なんでだよぉぉぉぉ!!」


 穴の中で精一杯手を振り回した。捕まえれるわけなんてないのに。

 怒りの左手は獲物を求め彷徨う。

 烈火のごとく怒った後は、喪失感が襲う。


 左腕を穴に突っ込んだまま、彼は沈み込んだ。


「指が痛い……」


 そのとき違和感に気付いた。


 穴の中を『探知』していた



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