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コクウの影響力

日刊ランキング18位になりました!いつもながらビックリしています!

皆様評価・いいね・ブクマなどなどありがとうございます!力になります!

今後とも宜しければ、ご評価・いいね・ブクマ・感想などお願い致します!

『各地のペットショップでカラスが売り切れる空前のカラスブーム到来!野生を捕まえる違法者も続出』


「……嘘でしょ」


『カァ?』


焼きたてのパンを喰みながらテレビを見ていると、様々な局でカラスブームの話が上がっていた。俺に関する話題はあくまでサブのよう。


カラスのペット化……コクウを引き取ってから色々調べたけど、ペットショップから購入する場合と、野生もしくは雛を引き取るパターンがあるらしい。


場合によっては許可が必要になるらしい。


しかし……カラスがそれだけ流行るとはなぁ。しかも発信源が俺たちなわけで。まさか流行を作る側になるとは思わなかった。


ただ問題はこれから発生していくのだと思う。



カラスは基本的に害鳥である。ゴミは漁るし、ゴミからでた腐った食べ物を撒き散らしたり持っていったりするし、挙句フンは落とすし。


なまじ人間慣れしているせいで人間の生活圏で害が発生してしまう。


最も、害虫や腐った死体を食べる事もあるので、益鳥としての側面もある。


また、そもそも野生に居たカラスは人間に慣れてはいるが、余り懐かない。懐かせるなら、ペットショップで販売されている個体か、雛から接していく必要がある。


野生を違法に捕まえている連中は、そういう事をする奴らだからこそカラスどころか鳥の飼い方すら知らないのだろう。その扱い辛さなどもあってすぐに手放すに違いない。


そして半端に人間に慣れ、半端に餌を与えられたカラスが、人間に直接害を成してくる可能性がある。


「一筋縄では行かないなぁ……」


『……』


だがコクウは反応せず、窓から外を見ていた。


「ん?どうした?外出たい?」


『カァ』


コクウは翼を広げて頷いた。コクウがこういう仕草をする時は、決まってやりたい事がある時だった。俺は立ち上がると、窓を開け放った。


「夕飯までには帰って来いよ」


コクウは頷くと、窓から飛び立っていった。





…………





空を我が物顔で飛べるのは何時もの事で、だがコクウは広過ぎる空を感じて危機を察していた。


とあるビルの屋上。


ここはコクウが良く来る場所で、他にも多数のカラスが来る溜まり場の様な場所でもある。だがビルの屋上にカラスのフンは落ちていない。



コクウがビルに到着すると、どこからともなく多数のカラスが集まってきた。


『カァカァ』


『カァ』


『カァカァ?』


カラス達は鳴き始める。


ここは謂わば、カラス達が情報交換をするための場所でもあるのだ。普段情報を知れない者、そもそも人間の言葉がわからない者がいるが、コクウがそれをカラス用に変換して情報を伝える。


ここに居るカラス達はコクウの部下のような者で、コクウが長年に渡って培ってきたコミュニティでありネットワークである。


だが、周りに情報を伝えると同時に、集まってきたカラスの数が少なくなっている事に気付いた。どうやらコクウのコミュニティにも、今回のブームで被害に遭った個体がいるようだ。


コクウのコミュニティに属するカラス達は益鳥としての役割を果たしている。害虫を見れば積極的に食いに行くし、フンをする場所は予め決めてあるため、人々に害を与える事はない。


これ以上コミュニティに被害を出すわけには行かず、コクウは彼らにこう伝えた。


『ブームが冷めるまでは人里離れた場所に住むか、人が来ない高さに集まる事』


コミュニティのカラス達も危機は察知しており、コクウからの情報もあって、特に反対意見は無かった。


そこで、ある一羽から提案があった。


コクウは数秒悩み、コクリと頷く。すると集っていたカラス達は四方八方に飛んで行った。コクウ自身も、今回の事を逆にチャンスと捉え、仕事をするために飛び立っていった。




…………



「いや、うん……なんで?」


『カァ?』


「いや、カァ?じゃなくてさ……」


『ちゅんちゅん』


「いやチュンチュンでもなくてね?」


夕飯時、コクウが帰ってきたと思ったら何故か一羽のスズメを連れてきたのだった。


「なんで?餌?」


首を横に振る。


『カァカァ』


「うん……ん?まさか挨拶?」


首を縦に振る。


コクウの様子を見るに、どうやら近隣のスズメが挨拶に来たらしい。挨拶って何?いや可愛いんだけどさ。


「……あぁ。あれか。カラスが少なくなったのと、ターゲットにされがちだから、スズメを使うって事?」


『カァ!』


首を縦に振る。


実は昔コクウを外に連れ出している時、多数のカラスに囲まれた時がある。かなりビビったのだが、どうやら全員コクウの仲間のようで、特に害はなかった。


コクウが築き上げた独自のコミュニティ。そこにスズメを加えようって事か。


「因みに……これを機に縄張り拡張したり、逸れたヤツ仲間にしようとしてる?」


『カァ!』


頷いた。


マジかよ……いずれこの地域全体がコクウの支配下に置かれる可能性も出てきたぞ。


もし他のカラスも独自のコミュニティを持っていたとして、そのコミュニティが今回のブームを皮切りに弱体化したとする。


それをチャンスと見て、コクウ達がそのコミュニティを吸収。スズメ達の協力もあるとなると、かなり広大なネットワークになりそうだ。



「お前怖い事考えるなぁ」


『カァ?』


「恍けんなし」


そう言いながらコクウの多少荒れた毛並みをコクウ専用ブラシで整える。それをジッと見詰めるスズメ。


一応ソッとスズメに手を伸ばして撫でてみる。スズメは全く怖がる事なく俺の手を受け入れ、気持ち良さそうに目を細めた。


「スズメ撫でたの初めてだな。中々、悪くない」


俺は片手でコクウの毛並みを揃え、片手でスズメを撫でながら至福のひと時を味わうのだった。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の相棒がワタリガラスなんて、鳥好きとしては非常~~~に羨まし過ぎる!!! 更に『スズメが仲間になった!』だと!? う、羨まし……くない! 私もスズメたちが仲間にいてた! 呼んだら来…
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