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二十五話 紅蓮の勇者の戦い

読者の皆様


おはようございます。

作者の青春詭弁です。

第二部の方を大幅に改稿いたしました。

よろしければ第二部の一話からお読みくださいますよう、お願い申し上げます。


あとがきにて、だらだらと書籍化のお話します。よろしければ、是非お読みください!

お読みいただけたら……やる気が――出ます!




 影で埋め尽くされた荒野――その黄昏時の空を機敏に飛んでいるのは、エレシュリーゼだ。

 宙にいるエレシュリーゼに向かって影が、幾度も襲いかかっている。影は意思を持った獣の如く、すみやかに反応。エレシュリーゼを追って、その軌道を曲げる。

 さらに影は巧みだった。地面から伸びた影は一つではない。二つ、三つと影は数を増やし、エレシュリーゼの進路を妨害するなど、動きに緩急を施す。


「くっ……」


 エレシュリーゼは苦悶の表情を浮かべる。

 時間が経過するごとに、エレシュリーゼを追う影はが増えていた。まるで、ゲームを楽しむかのように……。


「うふふ……そろそろ五分ね。影ももう一つ追加よお」

「嬉しくないですわね……! それは!」


 ミラエラの言葉通り、再び影が地面から伸びた。これで五つの影が、エレシュリーゼを追うことになる。

 地面にさえ足をつかなければ、初見で脚を食い千切られた時のようなことは起こらない。空中機動は、炎を操るエレシュリーゼの得意とするところ。実際、ミラエラの影達は、空中でエレシュリーゼに追いつけていなかった。


「しかし……こう数が増えると……!」


 全てに気を配らなければ、自ら影に突っ込むような事態になりかねない。一瞬たりとも気は抜けない。


「うふふ……頑張ってる。頑張ってる」

「…………このっ!」


 エレシュリーゼは自分を小馬鹿にした笑みを浮かべたミラエラに、苛立ちを覚えた。確かに、力の差は歴然だ。奇襲の形ではあったが、脚を片方失ったのだ。

 しかし、馬鹿にされたままというのは、エレシュリーゼのプライドが許さない。特に、ラッセルやエレシュリーゼが頑張っているというのに、自分だけ敵の攻撃から逃げ続けているというのは……情けなくて仕方ない。


「だから……!」


 エレシュリーゼは再び、炎の中から己の愛剣を取り出す。先ほど、ミラエラに喰われたが、魔法で作られているため折れても復元は容易だった。

 徐に剣を取り出したエレシュリーゼに、ミラエラが眉根を寄せる。


「あら……逃げに徹するべきだと思うのだけれどねえ?」

「確かに、あなたとわたくしには決定的な力の差がありますわ! それでも、わたくしが何もできないわけではございませんのよ!」

「……?」


 エレシュリーゼの妙な自信に、ミラエラは首を傾げる。エレシュリーゼは、影の攻撃を掻い潜ると、全身から炎を迸らせる。纏った炎の光量は上昇を続け、一帯がエレシュリーゼを中心に明るくなる。


「な、なに……?」


 ミラエラが困惑の声を上げた次の瞬間。

 ミラエラが地面に広げていた影が縮小――それに伴い、エレシュリーゼに襲いかかっていた影達も小さく、薄くなってしまう。


「影……ならば、明るくすれば消えますでしょう?」

「あらあら。うふふ……考えたわね。エレちゃん」


 エレシュリーゼの言う通り、荒野を埋め尽くしていた影は消えた。だが、ミラエラは含み笑いを浮かべ、


「うふふ。でも、残念ねえ。影は光が強くなればなるほど、濃くなるのよ?」


 ミラエラの言う通り、彼女の背後に色の濃くなった影が広がっていた。だが、これはエレシュリーゼの想定内だ。


「分かっていましたわよ。けれど、近づけませんわよね?」


 先ほど、エレシュリーゼの近くにいた影は、少なくとも消えた。ミラエラの言う通り、光が強くなれば、影も濃くなる。しかし、光源に影が近寄れるかと言えば、否だ。

 これはエレシュリーゼにとっての活路だ。

 影を操るミラエラとの相性差――エレシュリーゼがミラエラに勝てるかもしれない、唯一の希望だ。


「…………」


 ミラエラは扇子で口元を隠し、宙を飛ぶエレシュリーゼを見つめる。やがて、六分が経過すると……小さく微笑んだ。


「うふふ。正解よ。確かに、エレちゃんの言う通り、影は近づけないわ……」

「っ……!」

「けれど、その状態はいつまで持つのかしらね?」


 エレシュリーゼは押し黙った。それが答えだ。

 元より、この六分間……ただでさえ消費魔力が激しい『エレメンタルアスペクト』を全力で行使していたのだ。その上で、出力を無理矢理に上げたことで、魔力は底の抜けた水甕のように失われている。

 それをミラエラは見抜いている。


「あと、四分間くらい……やってやりますわよ!」

「できるかしらねえ? この私を相手に……」

「なにを……あなたの影はわたくしには――!?」


 通用しない。

 そう言いかけた折、ミラエラが一歩を踏み出したことで、全身の筋肉が硬直した。

 ミラエラから尋常ではないプレッシャーが放たれたのだ。


「うふふ。確かに、影は使えないけれど……私は動けるでしょう?」

「……っ!」


 エレシュリーゼは歯噛みし、プレッシャーを押し退けてミラエラから距離を取る。だが、瞬きの間にミラエラはエレシュリーゼの進路に先回りしていた。


「なっ……は、速い……!?」

「うふふ……さあ、逃げて逃げて逃げなさいな。うふふ。うふふふふふふふふふ」


 ミラエラはエレシュリーゼに回し蹴りを見舞う。流動するエレシュリーゼの体に、本来物理攻撃は通用しないはずだが――。


「うっ……!?」


 エレシュリーゼはミラエラの痛烈な回し蹴りに、空から地面に向かって叩き落とされてしまう。

 地面へ落ちたエレシュリーゼの体は衝突と同時に炎となって拡散。再び、体が再構築された頃には、先ほどまでの眩い光量は失われていた。


「あらあら、もうお終いなの? わたしの影、動かしちゃうわよ?」

「くっ……!?」


 エレシュリーゼはなんとか再び出力を上げて、再び眩さを取り戻す。


「うふふ。それでいいわ……。さあ、頑張ってね?」

「い、言われなくても……!」


 気丈に振る舞うエレシュリーゼだが、余裕は残されていない。

 エレシュリーゼは考える。僅かな時間の中で思考を加速させる。このままでは、自分の敗北は必至――あのミラエラの猛攻を食い止めなければ、恐らく自分は死ぬ……。


「わたくしは、こんなところで死んでられないのですわ!」


 エレシュリーゼは右手の剣を強く握りしめた。




 先日から進めている書籍化作業も終わり、そろそろ皆様に、でら可愛いレシアをお披露目する日が近くなって参りました。


 余談ですが、ヒロインそれぞれ靴下を指定いたしました。ハイソックスとかニーハイとかタイツみたな感じです。


 是非、レシアが一体どんな靴下を履いているのかをお楽しみいただければと思います。


 我ながら良い仕事をしました。どれにするか悩みましたが、結果的にレシアのヒロイン度が上がったと思います。トビラ絵ではさらに、でら可愛いいレシアや各登場人物達のカラーが載る予定です。私は見ました。


 挿絵では、でら可愛いレシアがたくさん出てきます。控えめに言ってレシアを押しすぎてはいないかと思った今日この頃。メインヒロインだし、まあ別にいいかなと思ったり、思わなかったり……。


 さあ、そんな可愛いレシアがたくさんたくさん見られる書籍ですが、特に注目していただきたいのはレシアの表情です。


 基本的に担当の絵師様から頂いた絵は、イメージ通りだったので修正という修正はありませんでした。しかしながら、一点だけ……ものすごく申し訳なく思いながらも、変更していただいた部分があるのです……!


 そう、それがレシアの表情です。こだわりぬいたメインヒロインのでら可愛い表情にご期待ください!


 といったところで、原作とは違って加筆修正が施され、イラストも付き、特典SSなんかも付けちゃった『物理的に最……長いなおい。


 物理というと、物理の授業を思い出して嫌な気分になりますが、今後ば面倒くさいので『物理』と呼ぶことにします。


 これからも『物理』をよろしくお願い申し上げます。


 書籍についてはまた改めて……ではでは(´◉◞౪◟◉)


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