表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第五章「中央大森林」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/171

第百五十一話


「――どっちも性格良くないの」

 少し考えたのちに口を開いて出たこの言葉がエミリの二人を見た率直な感想だった。


「あー、まあ、うん。確かに……あれだけ人がいるなかで言い争う時点でどうかと思うよなあ」

 素直な感想を聞いたハルは苦笑する。

 そういう意図で質問をしたわけではなかったが、エミリの言葉は二人のことをシンプルにとらえていた。


「そうですねえ、品性というものも大事だとは思います。能力的にはどうでしょうかね? あのミスネリアさんという方は確か優勝候補と目されている方だというお話でしたけど……」

 思い出すように口元に指先を当てるルナリアは話をもとの流れに戻して、二人の人格以外の部分に焦点をあてていく。


「まあ、言いあいをしていただけだからその実力のほどはわからないか」

 やれやれと肩をすくめたハルが話を締めるかのように言うと、エミリは首を横に振っている。


「その優勝候補のミスネリアって人は、魔力がかなり高いと思うの。魔力操作能力がどこまで高いのかはわからないけど、正面切って魔法の打ち合いになったらあの人に勝てる人はそうそういないと思うの。ルナリアだったら圧勝できるだろーけど」

 淡々とそう言うエミリはルナリアの魔力量が化け物クラスであることを理解した上で、冷静に判断する。


「なるほど、強敵クラスだけど最強クラスではないってことだな。それで、もう一人のブラウンの髪のほうはどうだ? 口はなかなか悪かったみたいだけど」

 エミリの評価に興味をひかれたハルはミスネリアの話に続いて、もう一人の候補に話をうつす。


「もう一人……いたのは覚えているけど……どんな人だったかな?」

 思い出すように首を傾げたエミリは冗談で言っているのではなく、本気で言っているようだった。


「――まあ、つまりはそういうことだよな」

「ですねえ」

 ハルとルナリアは苦笑して顔を見合わせた。

 エミリの印象に全く残っていないということは、その程度の強さであり、エミリの敵ではないということを現している。


「あ、でも……なんか嫌な感じはしたかもなの。挑発的な態度をとっていたけど、なにかを隠しているというか……」

 エミリはブラウンの髪の巫女候補を思い出しながら、そんなことを呟く。


「確かに、それはあった。怒ったような口調だったが、芯は冷えているみたいな」

 あのやり取りを観察していたハルもエミリが感じた『嫌な感じ』に似たものを感じ取っていた。


「つまり……あの方も油断ならないということですね。他にも候補の方はたくさんいるようですし、本番で気をつけないと」

 優しくエミリの髪をなでながらルナリアは彼女が怪我をしないかということを心配しているようだった。


「難しいのは心から応援していいのか、負けを願ったほうがいいのかってところだよなあ。うまい具合に脱落できるといいんだけど、手を抜いたらバレそうだし、本気でいけばエミリはかなり強いからなあ。というか、そもそもどんな試験になるのやら……」

 腕を組んだハルはエミリが戦いで負けるという心配はしておらず、いかに綺麗に脱落するかを心配していた。


「正直、どうなるかわからないの。でも、私が願っているのは二人と一緒に旅を続けること。もし全て勝ち抜いたとしても、最後は辞退するの」

 三人で色々と考えて、巫女選抜の儀式に参加することに決めたが、最終候補にまであがったうえで辞退するのが一番だとエミリは考えている。


「そうか……もしかしたら、エミリは色々辛い思いをするかもしれない。だけど、何があっても、どんなことが起こっても俺とルナリアはエミリの味方だってことは忘れないでくれ」

「です!」

 ハルが真剣な表情でエミリに言い、ルナリアも拳を握って熱い眼差しを送っていた。


「ふふっ、二人が見てくれていると思ったら、どんな困難でも越えられるの!」

 二人が味方であることを実感して、エミリは花が咲くように自然と笑顔になっていた。


「とりあえず、二人だけど他の候補を直接見られたのはよかったよ。しかも優勝候補を見られたのはデカいしな」

 ただブラブラするために出てきたつもりだったが、思わぬ収穫にハルは満足そうだった。


「誰が相手でも関係ないの。とはいえ、あの人たちに会えたのはいい刺激だと思うの」

 エミリは競争相手を見たことで、心の中でメラメラと燃えていた。


「ようっし、色々わかったから……」

「どうします?」

「どうするの?」

 ルナリアとエミリはハルの次の言葉を待つ。


「宿に戻って休もう」

「はい!」

「うん!」

 なんだかんだ先ほどのやりとりで疲労感を感じていたため、ハルの提案に二人は反対しなかった。






 宿に戻った三人は、お茶とお菓子を受付で注文してから部屋に戻る。


「さて、改めて今後の予定を確認しよう」

 三人は大きなベッドの上に座って、今後の予定が記されている用紙を見ていた。


「まずは巫女選出の儀が行われるのは今日から三日後……おそらくエミリが到着したから決まったのかもしれないな。この日付の部分だけあとで付け足されている」

「ということは、エミリさんが最後の候補者だったのですね」

 もし、もっと遅れていたら期限切れで不参加扱いにされたかもしれないと思うと、間に合ってよかったと二人は安堵する。


「全部で二日間行われて、初日は全員参加の試練。二日目は残った面々で直接実力を競い合わせる……二日目はトーナメントみたいな形なのかな?」

 直接実力をという部分を読んでエミリが推測する。


「恐らくはその通りかと思われます。私が調べた限りだと、過去の選出の儀では初日の内容が異なるだけで、二日目は必ず巫女候補同士の戦闘になっていたかと」

 その説明をしてくれたのは、お茶とお菓子を持ってきてくれたリカだった。


 彼女なら色々知っているだろうと、確認している間部屋に待機してもらっていた。


「じゃあ、まずは初日を突破することと、二日目の相手が誰になるか次第ってことだな」

「あの、他の候補の方の情報をもう少し詳しく集めてみましたので、よろしければ情報の共有をしませんか?」

 リカの思わぬ提案に三人は何度も頷き、その日は遅くまで情報の確認を行うこととなった。


*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:4

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷性強化5、自己再生

     火魔法4、爆発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

     骨強化5、魔力吸収3、

     剣術5、斧術3、槍術1、弓術1、短剣1

     開錠1、盗み1、精霊契約


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

     水魔法3、光魔法4、闇魔法3

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************



*****************

名前:エミリ

性別:女

レベル:-

ギフト:体術2、格闘術2、魔闘術1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

*****************


お読みいただきありがとうございます。

ブクマ・評価ポイントありがとうございます。

書籍一巻が発売中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ