第50話 久豆流詩織の提案
「お久しぶりです冬柳さん!突然ですが私とお友達になりませんか?」
「はあ?」
突然現れた金髪ハーフ(推定)美少女はいきなり冬柳さんにお友達になりましょう宣言を開始した。
何となく漂っていたいい感じなムードは彼女の登場のおかげで四散し消えて無くなった。
しかし金髪ハーフ美少女は冬柳さんの次に俺に視線を向けニコッと微笑みかけてきた。
こんな眩しい笑顔を向けられたら恋に落ちてしまいそうなもんだか色々拗らせている俺には効かないね!
「貴方が真島拓真さんですね!お噂はかねがね伺っています!」
「へ?」
おいおいこんな美少女に噂されるほど僕はキャラが立ってないはずだけど!?
「はぁ、ズカズカと…そう言う所は兄と変わらないわね貴方?まずは名乗るのが筋ではないの?」
兄…?誰かの妹なのか…?まさか加藤…?
アイツこんな可愛い妹がいたのか!?
「あら!ごめんなさい、申し遅れました!私、久豆流詩織と申します!」
「くずりゅう………久豆流!?え?まさか君…あの久豆流創真の妹なの!?」
「はい。」
に…似てない…いやイケメンと美少女なんだから遺伝子的には正しいのかも知れないが色々と似てない…!
「この度は兄が色々とご迷惑をお掛けしたみたいで本当に申し訳ありません」
「え?あぁ…いや…」
「ええ!本当に迷惑してるわ!今日なんて私からタクちゃんを奪おうと…!盗もうと!虎視眈々と機会を伺ってたらしいからね」
「はい?…兄は生粋の女好きですからその様な事は絶対に無いと思いますけど?」
「何故そう断言出来るの?私は久豆流創真と言う人間をろくに知らないわ!彼に同性愛者としての隠れた性癖があっても誰も否定出来ない!どんな事でも疑ってかかるべきよ?」
「え…と…どうしてそう思うに至ったんですか?」
「あの男は事もあろうに授業中に私のタクちゃんに熱い視線をずっと送っていたのよ!実際私もあの男がタクちゃんを凄い形相で見つめているのを見たわ!」
「えぇ…何か理由があるのかも…」
色々と誤解が広がっている。
好きか嫌いかで言えば余裕で嫌い側の久豆流だけど流石に妹さんにホモ疑惑がつくのはしのびない。
「えっと久豆流さん、ちがうからね?」
「え?」
「お兄さんは冬柳さんが好き過ぎる余りに彼女の彼氏である僕に嫉妬して睨んで来てたんだよ…それを冬柳さんが熱い視線がって勘違いしてるだけだからね?」
うーん。
我ながらかなり思い上がった発言だ。
冬柳さんの彼氏の僕に嫉妬して睨んでた。
昔の僕なら絶対言わないセリフだ。
「あぁーなる程!それなら納得です!兄も家でよくブツブツと真島さんに対して呪詛を吐いてます」
「あはは…」
呪詛か…
想像はつくけど普通に嫌だな。
「それで?貴方は何しに私を探してるの?まさか本当にお友達になりたいなんて理由じゃないでしょ?」
「え?普通にお友達になりたいだけですよ!!」
「へ…?」
「………。」
「騙されないわよ?どうせ兄に指示でもされてるんじゃないの?」
「あはは!まっさかー!私が兄の味方なんてするわけないじゃないですかー!だって私、兄の事嫌いですもの!」
「え?そうなの?」
「はい、昔はそうでも無かったんですけどね、最近の兄を見てると恥ずかしくなります。」
「ああ…」
妹からしたらあの兄はさぞかし恥ずかしく見えるだろう。
何と言うか…普通に痛いし…。
「愚痴っぽくなるのであまり多くは語りませんが取り敢えず私が兄の味方をする事は絶対にありえません」
「ふーん、まぁそれならいいわ、でも解せないわね、私は貴方に好かれる様な人間では無いとおもうのだけど?」
「逆に問いますけど何故そう思うのですか?」
「何故…?」
「私…あの日のレストランで貴方を見てからずっとお友達になりたいと思ってたんです!直向きで自由!何者にも屈しない!他人の色に染まらない!個としての自分に絶対的な自信がある!貴方の強烈なキャラクター性に惹かれたんです!!」
レストランでの1幕。
話は冬柳さん本人から断片的に聞いてるけど何があったらここまで興味を持たれるんだ?
もうこの子冬柳さんのファンみたいなもんじゃないか?
「ふーん、つまりは私の事を面白可笑しく観察したいと…そう言う事?」
「否定はしませんよ…貴方をみてるとインスピレーションが湧き上がって来るんです、是非とも近くに置いてほしいです。」
「私は貴方の見世物じゃないんだけど?」
「勿論タダでとは言いませんよ?」
「?」
「もし私のお友達になってくれるなら久豆流は冬柳を全面的にバックアップします」
「子供の貴方にそんな権限があるとは思えないけど?」
「ふふ、そこは大丈夫です、私…冬柳グループの時期社長ですから♪」
「はあ?」
「ど…どう言う事?」
「あまり言っても信じてもらえないかもですが私今の久豆流グループをもっと飛躍させる発明を数個発案してるんです、それを量産し表に出せば久豆流グループはさらなる飛躍を可能としてます。嘘や比喩じゃないですよ?お祖父様やお父さんもその方向で動いてますからね。」
「え…え〜と…」
子供の虚勢あるいは頭良い自慢にしか聞こえない。
見た所中学生くらいか?
そんなんで企業が傾くレベルの発明とか普通に無理だろ?
この子も結局は兄貴と同じホラ吹きなのか?
「タクちゃん…」
「え?何…?」
「この子…今飛び級で大学に通ってるらしいわ」
「はっ!?…大学生?」
「ええ、小学生の時に高校生の問題を解いてしまえる程らしいわ…今は大学に通ってるって、しかも論文を書いたら大学の教師達は皆卒倒する程の物を書き上げて来るんですって」
「ま…マジで…?」
マジもんの天才じゃないか?
「信じてもらえましたか?私がグループのまとめ役兼社長になれば衰退した冬柳を押し上げるのなんて訳ありませんし冬柳の御老公方にも文句は言わせませんよ?」
「へぇ…それはまた…至れり尽くせりね」
「もっとも…貴方が私にとって"面白い"人間であり続けるなら…ですけどね?どうです?悪い話じゃ無いと思いますが?」
「………。」
あの冬柳さんが迷っている。
それだけ美味しい話だと思ってるんだ。
そりやそうだ、今回久豆流創真を退かせる事は出来たけど今後もお見合いをさせられる可能性は多いにある。
久豆流詩織の後ろ盾があればそれもなんとかなるかも知れない。
彼女の言葉が虚勢にしてハッタリにしろ…将来的に盾となってくれるならその可能性は捨てきれない。
「冬柳さん…彼女と友達になろう。」
「タクちゃん…」
「断る理由もないし僕等としてはメリットしか無い」
「そうね、私達の将来にこの子の力は必要かもね…でもね久豆流詩織…いえ詩織!」
「は…はい!?」
「貴方の力…財力に目がくらんで友達ごっこに興じるなんてみっともない真似はしないわ!なるなら貴方としっかりとした友達になるつもりよ?その上でこの私に貢ぐ価値があると分からせて上げるからかくごなさい!!」
「は…はわぁ〜!!はい!!是非ともお願いします!!」
おいおい…この人凄い男前だよ。
言ってる事が熱血主人公だよ…。
メンヘラは何処にいったよ?
こうして天才美少女久豆流詩織が新たな仲間になった。




