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清楚の皮を被った自己中メンヘラ美少女JKの冬柳さんと僕は上手く付き合って行けるのだろうか?  作者: ムラタカ


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第48話  同情する気は無いけどね。



はぁ…。


深めのため息が漏れる。


何故ならとある人物から熱い視線を感じているからだ。

4時間目の授業中…ずっととある人物からの視線を感じている。


それは長い黒髪の一見すれば清楚で包容力のある美少女の冬柳雫さん………の事では無く………。

いや、彼女からも一定の圧は感じているけど今問題なのは彼女の方ではない。


久豆流からの熱い視線を授業中にずっと感じていた。

ちゃんと授業を受けろよ……。

兎に角だ…。

女の子から視線を感じるのは冬柳さん(ある理由)のせいで冷や汗物なのだが嫌かどうかと聞かれたら別に嫌では無い…。

むしろウェルカムだ。

しかしヤローからの視線なんて物を感じたく無いと思うのは男としては普通だと思う。



(これ…昼休みになったら絶対に絡んでくるな…)


それが分かるから嫌なのだ…。

かくなる上はあの方法しかない……等ともったいぶった言い方をした所で取れる対応策は1つしか無い。



キーーンコーーンカーーンコーーン。



お昼休みを告げる鐘の合成音が鳴り響く。



「え?タクちゃんから私の所にくるなんて!?どどどどうしたの!?」


僕は一目散に冬柳さんの所に向かった。

何故か?

それが久豆流にとって、もっとも友好なガード手段となると思えたからだ。


「久豆流が僕にずっと熱い視線を向けて来るんだよ…冬柳さんの近くにいれば安全だと思ってさ」


「あぁ、あのすねかじり男ね、でもどうしてタクちゃんにアイツが絡むの?関連性無いとおもうけど?」


「それ本気で言ってる…?」


「うん?」



どうやらメンヘラと言う生き物は自分以外のことに関してはとことん無沈着になれるらしい。


久豆流はある種のメンヘラを引き起こしている。

俺様系キャラの彼は周りからの承認欲求が人一倍高く、プライドの権化だ。

他者を見下しながらも他者からの承認欲求なくして彼のプライドは維持できない。

しかしその彼のプライドをへし折れる唯一無二の存在が冬柳さんだ。

彼が数多いる女子の中で唯一レベルで好意を持った冬柳さんには相手にもされず今や彼女に対して無自覚のメンヘラを発動している。

しかし…。


男のメンヘラって需要ないよな…。



「アイツ…あっ!…久豆流の事ね!冬柳さんの事好きでしよ?なのにその冬柳さんからは相手にされず冬柳さんの矢印はずっと僕に向いてるでしょ?」


「そんなの当たり前でしょ?」


「それが久豆流的には我慢ならないみたいなんだけど結果僕に熱烈な視線を向けてきてる訳」


「……。」


「久豆流と言う光線級モンスターから身を守るには冬柳さんの近くがより安ぜ…どうしたの?」


冬柳さんはいきなりすっと立ち上がると突然歩き出そうとして…しかし立ち止まり何やら思案を始めた。



「…………でも……しかし……」


「あの……冬柳さん…?」



暫くすると彼女はストンと自分の席に着席した。


「私のタクちゃんに不躾にも視線を一方的に向けるなんて万死に値する愚劣な行為よ…ゆるせないわ…!!

でもそのおかげで今日はタクちゃんが自分から私の席まで来てくれた記念すべき日になった…。

……はぁ…どうしょう……止めたらこの不愉快な現象も解決するわ…あのすねかじり男にタクちゃんが取られる懸念も無くなる!!」



「いや…取られねーよ…」



「でも放置すれば明日からは……いえ!次の瞬間からタクちゃんが自分から私の席に来てくれてそれがあたりまえになる!!手放し難い事実だわ!!」



わぁーお。

そんな事考えてたのか…。

僕はてっきり久豆流を避ける為に彼女の権威、影響力を利用しようとした僕に対して急な蛙化を引き起こしたのかと思った。

とりまそんな事にならなくて安心した…。


今はそんなことよりもだ…。


何が一番恐ろしいって僕と久豆流がくっつく可能性が彼女の中では有るって言う大変おぞましい発想がある事だ…。

彼女の中では性別の差は些細な問題らしい。

いやはや恐ろしい。


「僕としてはトイレに行くのも何するのもアイツに監視されてるのとか普通に嫌だけどね」


「そうね…私も普通に不愉快だわ。」


そう一言呟くとまたもや彼女はガタっと席を立つとズカズカと今度こそ久豆流の所に向かって行った。


因みに久豆流は今も僕と冬柳さんの事をそりゃもう物凄い形相で睨みながら監視している。

しかしその監視している人物の片割れがズカズカと歩み寄って来たからか久豆流はあからさまに挙動不審にアタフタしだす。



「ねえ久豆流君」


「へ?なっ何かな雫」


「はぁ…前も言ったけど私の事を呼び捨てにしないで!不愉快だし虫唾が走るわ!!今度呼び捨てにしたら私は貴方にゴミってあだ名付けるから覚えておいて」


「ごっゴミ…?」


「まぁ今はそんな事はどーだっていいのよ、本題は"私"のタクちゃんに汚らわしい視線を寄越さないでくれる?」


「は…?見つめ…へ?」


「タクちゃんを見つめて良いのは恋人たる私だけよ?」


「ちょっ?雫!?それは違う!!」


「何が違うの?塵君は私の大事なタクちゃんを授業中もずっと見つめてたでしょ?タクちゃんは私のものよ?塵君みたいな新参者にタクちゃんはゆずらないわ!!」


「はぁ!?ちょっまって!その前にゴミって俺の事か!?俺はゴミじゃな 「黙れ!」 い!俺は……」


「私さっき言ったわよね?呼び捨てにしたら塵って呼ぶって?再三に渡って呼び捨てにするなって言ってるのを平然と破る塵にどうして気を使う必要があるの?それとも呼び捨てにするなって言葉の意味が分からないの?」


「お…俺はただ…」


「ただ何?」


「ただ……俺とし…冬柳がどちらが上か…思い知らせる為に…」


「はあ?馬鹿なんじゃないの?貴方?」


「はあ?馬鹿…?」


「たかだか学生如きに上だとか下だとかある訳無いじゃない」


「はぁ!?お…俺は名門!!財閥の御曹司の……久豆流創真だぞ!!俺が…俺が上だろうが!!」


「だから何?」


「へ………?」


「久豆流家が凄いのは認めるわ、でもそれは貴方のお祖父様やお父様が凄いだけ、久豆流社に務める労働者の方々が凄いだけ!貴方が凄い要素なんて何処にあるの?何処にもないじゃない!親のすねかじりでイキれる貴方のハッピーな思考回路はある意味凄いけどもこうなりたいとは毛ほども思わないわ。」


「あ……ぐ…」


「はぁ…。正直そんな事はどうでも良いのよ?私が言いたいのは1つだけ!!私のタクちゃんに色目を使うな!!タクちゃんは私のタクちゃんだ!!私からタクちゃんを取ったらこ◯すぞ塵野郎!!」


「は………あが………!?」



お〜……。

またもや冬柳さんのオーバーキルが炸裂している。

そしてまた久豆流か真っ白に燃え尽きて燃えカス…まさしく塵と化している。

いつぞやの再現だろこれ……。



でも久豆流が一番ダメージ食らってるのって自分が真島《僕》を意識してると勘違いされてる事何じゃないか…?


僕だったら絶対に嫌だもんな…。

好きな相手からホモだと思われるなんて…


正直始めて久豆流を可哀想だと思った。

同情する気は無いけどね。

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